競馬アナリストGM
ヴィクトリアM
相馬眼予想

東京は晴れ、芝は良、ダートは稍重。土曜の12Rの前に雨が降ったがすぐに上がった。ダートが稍重に悪化したように夜に降ったようだ。気象レーダーでは府中近辺に雨雲が点在していた。芝は朝の時点で良馬場。日中は晴れて気温が上がることから大きな影響はなさそうだが、少しソフトな馬場になる可能性もある。先週のNHKマイルCでは各馬内を空けて進んだが、土曜は前に行った馬が内を空けるようなことはなかった。中間の回復分と馬場整備で雨の影響が残った先週ほど馬場は荒れていないようだ。ただし日曜はメインまで芝戦は5レースあるだけにそれなりに荒れてくるか。

土曜の川越特別(芝1600m)は中団を進んだテイエムアタックがメンバー最速の33.4秒で外から抜け出して1分33秒1の好タイムで快勝。2着は内ラチ沿いを逃げたケンブリッジマイア。京王杯SCはインセンティブガイの大逃げで2番手以降は実質スローな流れ。中団からメンバー2位の33.0秒で上がったスーパーホーネットが1分20秒8で勝ち、2着は中団から伸びたキストゥヘヴン(3位33.2秒)、3着は後方3番手から追い込んだスズカフェニックス(1位32.9秒)。ケンブリッジマイアが粘ったようにまだ内に伸びるところがあるようだ。前述2レースの上がりはかなり早く、切れ味優先の馬場。流れが緩むと33秒台の決め手が問われそうだ。

次に展開だが、確たる逃げ馬は不在。行くとすれば、先行脚質のヤマニンベルメイユ、前走逃げ切ったエイジアンウインズ、谷水氏がウオッカと2頭出しでG1初騎乗の的場騎手が騎乗するタニノハイクレアあたりか。エイジアンウインズは前走たまたま逃げて勝っただけで差す競馬もできる。的場騎手が思い切っていかなければ、ヤマニンベルメイユがハナを切る可能性が高い。好位にローブデコルテ、ブルーメンブラッド、レインダンスが続き、中団にニシノマナムスメ、ウオッカ、マイネカンナ、後方からベッラレイア、ピンクカメオ、パーフェクトジョイ、トウカイオスカーといった展開。エイジアンウインズは出たなりで好位から中団あたり。ウオッカはスタートが決まれば中団より前もある。

確たる逃げ馬がいないときは意外に流れが速くなることもあるが、今回はタニノハイクレアが飛ばさない限りハイペースになることはなさそう。土曜の川越特別と京王杯SCは2F目からラストまで最後まで12秒台に落ちることはなかった。川越特別は前半5F35.1秒と遅いが、ラップが落ちなかったため勝ちタイムは1分33秒1と早かった。ヴィクトリアMも流れが緩めば、2F目から最後までラップが12秒台に落ちることはなさそう。昨年のヴィクトリアMは前半5F34.6秒、5F58.2秒で2F目から最後までラップが12秒台に落ちることはなかった。勝ったのは好位を進んだコイウタで勝ちタイムは1分32秒5。

牡馬混合のマイル重賞ではハイペースで地力勝負になることが多いが、牝馬限定戦は特有の流れがあり、最後までラップが落ちないことが多い。昨年は先週のNHKマイルCのように各馬内をあけて回ったため、内を進んだ馬が上位を占め、外差しは届かなかったが、今年は土曜の競馬を見る限りは内をあけて回ることはないか。ただ馬場が緩んだため可能性がないとはいえない。各馬が内を空けて回るようなことがなければ、外から切れる脚を使った馬の差し切りもありそう。今の東京は切れ味優先。11秒台のラップを持続でき、かつ切れる脚があるというのが好走馬のイメージ。

これまでマイル戦で2F目から最後までラップが12秒台に落ちないレースを勝った馬はエルフィンSを勝ったウオッカのみ。エルフィンSは3歳春だけに価値がある。あとは晩春S2着(1着オレハマッテルゼ)のジョリーダンス、芝1500mではあるが大倉山特別を勝ったブルーメンブラッド。マイラーズCのラスト3Fは11.2-11.2-12.4秒だが、ニシノマナムスメは最後に差を詰めており11秒台で上がっている。マイラーズCは雨の影響が残り緩い馬場だったことを考慮しておきたい。阪神牝馬Sは芝1400mだが、逃げ切ったエイジアンウインズは2F目から最後まで11秒台で走り、メンバー最速の33.5秒で上がったブルーメンブラッドを完封している。

牝馬限定重賞は特有の流れあることから有力馬の牝馬限定重賞の成績を見てみるとウオッカ[2-1-1-0]、ニシノマナムスメ[0-1-0-2]、ベッラレイア[1-2-0-1]、ブルーメンブラッド[0-1-1-6]、エイジアンウインズ[1-0-0-0]、ジョリーダンス[1-0-0-4]、ローブデコルテ[1-0-0-7]。大きく崩れていないのはウオッカとベッラレイアでこの世代はレベルが高かった。ブルーメンブラッドは距離が伸びると率が下がり、ジョリーダンスは重賞で好走した阪神牝馬S、安田記念、阪神カップはいずれも前半5F57秒台以下の速い流れ。ジョリーダンスは牡馬相手の速い流れの方が合っているのだろう。切れる脚はあるが、流れが緩むのはプラスではない。

ニシノマナムスメはフィリーズR8着は完成途上、中山牝馬Sは休み明けで緩い馬場とそれなりに敗因はある。愛知杯は53キロの軽ハンデだったが、ディアデラノビアに半馬身差の2着でアドマイヤキッスには半馬身先着した。アドマイヤキッスは常にG1で上位争いしており、それに勝ったことはひとつの目安になる。ベッラレイアの重賞実績は全て同世代のものだが、この世代は高レベル。今回初めて古馬と対戦することになるが、通用する下地はある。ウオッカは桜花賞でダイワスカーレット、休み明けの秋華賞でダイワスカーレットとレンダンスに負けたが、ダイワスカーレットに唯一先着している牝馬でもある(チューリップ賞楽勝)。

今回のメンバーでスピードの持続力と末脚の切れ味を総合的に判断した場合、ウオッカが抜けている。問題は海外遠征明けだが、調子が悪ければ2週連続で3頭併せで追うことはできない。最終調教は2頭をかなり後ろから追いかけたように負荷をかけてきている。今更、牝馬限定G1を勝ってもという感もあるが、ここを勝って安田記念に繋げたいのだろう。土曜の京王杯SCのスズカフェニックスの武豊騎手の騎乗はどうかと思うが、ウオッカはマイルなら折り合いはつきやすい。海外遠征明けだけに3着がありそうな気もあるが、ウオッカの実力を信じて本命で狙ってみたい。

ウオッカが牝馬限定重賞で負けたダイワスカーレット(アグネスタキオン産駒)とレインダンス(ダンスインザダーク産駒)はウオッカより前につけて切れる脚を使った馬でどちらもサンデー系。その点と今の調子を含めてアグネスタキオン産駒のニシノマナムスメとフジキセキ産駒のエイジアンウインズを狙ってみたい。ニシノマナムスメは[2-2-0-0]のマイルがベスト。アグネスタキオン産駒特有の切れ味を秘めた馬で抜け出すときに切れる脚を使える。ウオッカより前につけて直線でタイミング良く抜け出せれば面白い。頭が高く叩き合いに課題があるため、タイミングが鍵になる。前走牡馬混合マイルG2で連対して順調にきた強みを生かせれば。

エイジアンウインズは心斎橋Sでは出遅れて外から差し切り、オープン入りした直後の阪神牝馬Sは逃げてブルーメンブラッド、ジョリーダンスを完封した。心斎橋S2着のマイネルポライトはその後マイラーズCでニシノマナムスメに0.3秒差の6着、東京マイルの晩春Sでは外から豪快に差し切っている。鮫島騎手が下手に乗って1600万条件、G2連勝というのは、並の能力ではない。阪神牝馬Sのパドックでは馬体の造り、気合乗りが目立っており、重賞実績馬に引けを取ることはなかった。中京芝1200mの鳥羽特別では後方からメンバー最速の33.6秒で一気に突き抜けた。左回りの方が切れる脚を使える。

G1で初距離というのは厳しい条件だが、父フジキセキ、母の父デインヒルの血統構成、馬体の造りからも距離は持つはずだ。阪神牝馬Sでメンバー最速の33.5秒で上がったブルーメンブラッドを完封したのはダテではない。負けた馬より勝った馬の勢いを重視してみたい。藤田騎手に乗り替わるが、京王杯SC(後藤騎手)と安田記念(藤田騎手)を連勝したアサクサデンエンを思い出させる。ウオッカより自在性があるし、折り合いがつくため流れに乗りやすい。一発があるとすればエイジアンウインズなのではないか。ウオッカ、ダイワスカーレットとは同世代の4歳馬。穴で狙ってみたい。

あとはウオッカより切れる脚を使えるベッラレイア。休み明けでも乗り込んで力を出せる状態に仕上がっている。ハイペースの消耗戦で追い込むというより、緩い流れで極限の末脚を繰り出して追い込むタイプ。その点で今回の流れは合う。流れが緩んで縦長という最悪の展開にならなければ、大外から鋭く伸びてくるはずだ。ウオッカは秋華賞、ジャパンC、京都記念、ドバイデューティーフリーとラスト100mで少し止まりかけている。そこに尻上がりラップを繰り出せるベッラレイアに逆転の可能性を見出せる。新馬戦でインパクトのある走りをした馬。相馬眼的にG1を勝つものは持っている。

本命ウオッカ、対抗ベッラレイア、準対抗ニシノマナムスメ、穴エイジアンウインズ。ブルーメンブラッド、ジョリーダンスも気になるが、ここでは4頭にまとめてみたい。あとはパドックに注目したい。

◎ウオッカ
○ベッラレイア
▲ニシノマナムスメ
△エイジアンウインズ

[パドック診断](抜粋)
○6+:ウオッカ(2着) ▲6:エイジアンウインズ(1着) △5+:ブルーブラッド(3着)
ウオッカ:馬体は細身だが筋肉は落ちていない。今日は落ち着きあり気合乗りいい。エイジアンウインズ:馬体のバランス、気合乗り目立つ。仕上がり良く展開次第で一発も。ブルーメンブラッド:馬体の張り毛づやとも良くキッチリ仕上げてきた。

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