桜花賞
レース回顧

ブエナビスタは後方3番手を進み、直線で大外から鋭く伸びて先に抜け出したレッドディザイアを差し切りレースを制した。上がり3Fはメンバー最速の33.3秒。コウエイハートが飛ばし、外差し馬場で外から差した馬が上位を独占。ブエナビスタは4コーナーで大外を回り、直線でジェルミナルが邪魔になり外に持ち出すロスがあったが、切れる脚を使って力で捻じ伏せた。最後はまだ余裕があったように着差以上の勝ち方。レースのラスト3Fは11.7−11.6−11.6秒で尻上がり&持続ラップ。これを後方から一気に差し切ったのだから凄い。安藤勝騎手は中団からの競馬も考えたようだが、馬を信頼して終い勝負に徹したようだ。直線に向いたときは並の馬なら届かない位置。3、4コーナーで慌てずに馬を信頼して直線勝負に賭けたことが勝利に繋がったのだろう。馬体のバランスが皐月賞前のディープインパクトに近づいていたのはやはりダテではなかった。パドックではひと叩きしたことで馬体の張りが良くなり、全体的にフックラとして気配が良くなっていた。落ち着きがあり、物事に動じないところがいい。一戦ごとに着実にパフォーマンスを引き上げており、全5戦とも上がり3Fはメンバー最速。次走のオークスでも有望だが、レッドディザイアがかなり強力な相手になりそうだ。

レッドディザイアは後方からメンバー2位の33.7秒で抜け出したが、最後に外からブエナビスタに差されて半馬身差の2着。前走のエルフィンSは前半5F60.9秒で勝ちタイム1分36秒0、今回は前半5F59.1秒で走破タイム1分34秒1。前走とは流れ、勝ちタイムが全く違ったが、きっちりと対応して切れる脚を使った。直線で外からジェルミナルに来られたことで手前を替えるのが早過ぎたぶん伸び切れなかったが、キャリア2戦でこれだけ走れば上々。相馬眼的に評価できる馬。やはり相当な能力を秘めている。パドック診断には「馬体が成長して一流馬の雰囲気がが出てきた。久々でも活気十分。キャリアは浅いがブエナビスタを力で捻じ伏せる能力は持っている」と書いた。ブエナビスタが強過ぎただけで例年なら桜花賞馬に輝いていたのではないか。元々オークスで最大パフォーマンスを発揮するとみていた馬。陣営もぶっつけで桜花賞を使ったように最初からオークスが目標なのだろう。ブエナビスタに切れ味では敵わないが、馬体の造りの比較からタフなレースで底力勝負になれば逆転の可能性がある。松永幹厩舎の渾身の仕上げ。これが条件になる。

ジェルミナルは後方からメンバー3位の33.8秒で上がって3着。好位からの競馬ができる馬だが、後方に控えていい脚を長く使い力を出し切った印象。川田騎手(コウエイハート)、福永騎手(ジェルミナル)、四位騎手(レッドディザイア)、鮫島良騎手(レディルージュ)は同じエージェント。川田騎手のコウエイハートが飛ばして他の3人が後方に控える作戦だった。岩田騎手も同じエージェント。レースごとに役割分担を決めているように思えるので今後も注意したい。ジェルミナルはタメれば切れる脚を使えることが分かったことは大きく、これなら距離はこなせそう。パドックでは馬体が減って腹目が細く映ったが、問題なかったようだ。ただし馬体が減ってきているのは、オークスに向けて気になる材料。今の時点ではブエナビスタとレッドディザイアを逆転するのは難しい。一気の馬体良化とパフォーマンスアップが必要になる。

ワンカラットは中団の後ろからしぶとく伸びて0.4秒差の4着。フィリーズRは先行して抜け出したが、今回はタメて差す競馬。直線で外から来れられてごちゃついたぶん少し脚を余した印象。それでも芝1600mで切れる脚を使って善戦したことは今後に繋がりそうだ。休み明けのフィリーズRで仕上げていたため、上積みはなかったが、引き続き張りのある馬体が目に付いた。次走は距離適性を重視してNHKマイルCに向かう予定。牡馬を相手にどこまで善戦できるか。

ルージュバンブーは中団の後ろを進み、直線で抜け出しかけたが、外から一気に交わされて5着。見せ場を作ったが、最後は切れ負け。それでもチューリップ賞から走破タイムを2.5秒詰め、上がりもこれまで最速の34.2秒。力は見せたが、今回は相手が強過ぎた。まだ1勝馬で賞金が足りないため、オークスに向けて出走権を確保する必要がある。次走はスイートピーSに向かう予定。ブロードストリートが相手になりそうだ。古馬になっても渋く活躍しそうな馬。

ダノンベルベールは好位の内を進んだが、直線で伸び切れず8着に終わった。直線でいつもの伸びがなかったのは、荒れた内を通ったことが応えたのだろう。内が荒れた馬場で1枠1番はかなり不利だった。栗東入りして調整していたが、馬体が8キロ減って少し細く映った。阪神競馬場に入厩してからイレ込むが激しかったようだ。関東馬が桜花賞で好走するのは難しい。オークスは距離が課題も東京コースは得意。終い勝負で一発狙いに徹しそうだ。

サクラミモザは3番手から伸び切れず10着。途中からコウエイハートに強引に行かれたことで折り合いを欠いていた。差し馬向きの展開で外が伸びる馬場。前に行った馬には厳しい競馬だった。パドックではしっとりした毛づやで馬体の張り、気配が目立っていた。馬体が2キロ増えていたように長距離輸送は問題ないようだ。チューリップ賞で逃げて2着に粘ったのはダテではなく、潜在能力は高い。次走は未定だが、スイートピーSに向かう可能性が高そうだ。

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