皐月賞
有力馬診断

[7+]ヴィクトワールピサ(1位評価)
未勝利戦はラスト2Fを高速ラップでまとめるヨーイドンの競馬、京都2歳Sはラスト5F58.0秒の持続力勝負の競馬、ラジオNIKKEI杯2歳Sは外から差し切る競馬、弥生賞は重馬場で馬込みの内でタメて内から捌く競馬。武豊騎手が色々な競馬を経験させて全てクリアしてきた。好走できるレースの幅を広げることに成功している。馬体の造り、走法などから皐月賞よりダービーの方が合うが、弥生賞では内から捌いて一瞬のうちに差し切ったように大型馬にしては反応が良く器用な面がある。ダービーを狙うなら皐月賞は負担をかけないようにお茶を濁すところだが、陣営はこれまで経験させたこと、弥生賞のレースぶりを見て3冠狙えるとみているのではないか。角居調教師はウオッカでダービーを制している。次の目標はダービー制覇というより、3冠馬を育てることなのではないか。過去10年で弥生賞と皐月賞を勝った馬はアグネスタキオンとディープインパクトしかおらず、連勝するのは簡単なことではないが、ヴィクトワールピサは弥生賞で1枠1番から内をロスなく回って追ったのは最後の100mだけ。重馬場でもスローの上がり勝負で負荷の掛からないレースだった。中山は雨が降ると導入したエクイターフの効果で内を通った馬が有利になる。JRAの枠順決定システムは本来なら大外枠に入れるはずだが、1枠1番に入れたのは、今後の活躍が見込めるため大事にしたかったのだろう。スプリングSでもアリゼオとローズキングダムを内枠に入れている。

昨年のロジユニヴァースも弥生賞を楽に勝ったが、皐月賞では馬体が10キロ減って惨敗した。ヴィクトワールピサは調教後の馬体重が前走より12キロ増。馬体が大きく減る可能性は低い。どんなレースでもできるため、まだ手の内がバレていない。これによって1番人気でも他の騎手たちにマークされにくい。流れが緩めばある程度前につけることもありそうだ。まだ速い流れを経験していないこと、33秒台の末脚を繰り出したことがないことに死角があるが、京都2歳Sでラスト5Fを58.0秒でまとめた馬。ハイペースで先行するようなことがなければ、速い流れにも対応できるのではないか。スピードがない訳ではない。中山は先週から時計が早くなったが、弥生賞は雨の影響が残り、時計、上がりとも掛かりそう。33秒台の末脚は問われない。重馬場の弥生賞を勝ったように走法から渋った馬場は苦にしない。芝2000mは色々な競馬をして4戦4勝。外枠から外を回る競馬になりそうだが、どんな競馬になっても走れるレースの幅はかなり広い。デビューからずっと騎乗してきた武豊騎手から岩田騎手に乗り替わるのはマイナスだが、岩田騎手は昨年皐月賞をアンライバルドで制している。タフなレースになる中山芝2000mは地方出身の追える騎手が合う。馬場が渋った3月6日のチューリップ賞とオーシャンSは地方騎手が大活躍。土曜の岩田騎手はフォームがバラバラでなくなった。

[7]エイシンフラッシュ(2位評価)
芝2000mは全てメンバー最速の末脚を繰り出して3戦3勝。京都の未勝利戦は中団から物凄い脚を使ってレッドスパークルを差し切った。レースのラスト3Fは11.9−11.8−11.6秒の尻上がり。エリカ賞はブルーミングアレーとのマッチレースをクビ差で制した。レースのラスト3Fは11.9−11.2−11.6秒。京成杯は大外13番枠から終始外を回って逃げたアドマイヤテンクウとの叩き合いを制した。レースのラスト3Fは12.4−11.4−11.4秒の尻上がり&持続ラップ。ある程度前につけて前脚を掻き込む独特のフットワークで11秒台のラップを持続できるのが持ち味。キングカメハメハ(父キングマンボ)に似たバネの利いたフットワークで走るが、父の父がキングマンボならそれも頷ける。父キングズベストは英2000ギニーでジャイアンツコーズウェイ(エイシンアポロンの父)に勝った馬。母ムーンレディはドイツで重賞3勝、アメリカで重賞1勝した馬。母の父プラティニは1993年のジャパンCで4着に入っている。社台は母ムーンレディをセールで7100万円で購入し、そのときにお腹にいたのがエイシンフラッシュ。その後、ムーンレディにはアグネスタキオン、ディープインパクトを種付けした。社台の期待は高いのだろう。

日本にいるキングズベスト産駒は芝2000mに強く、ビーオブザバンが1000万条件まで4戦3勝で美作特別では逃げてラスト4Fを11秒台のラップでまとめてアドマイヤジュピタを完封している。ネヴァキングダムは5戦2勝だが、ラスト5Fが57.8秒になった1000万条件を高速ラップを繰り出して差し切っている。エイシンフラッシュは3戦3勝。3頭とも芝2000mでラストを高速ラップでまとめることを得意にしている。これがキングズベスト産駒の持ち味なのだろう。皐月賞はハイペースになって派手な追い込み、捲くりが決まるときもあるが、基本的にはある程度前に行ける馬が有利。その点で芝2000mが得意で前につけて11秒台のラップを持続できるエイシンフラッシュは強調できる。鼻肺炎で若葉Sを回避したが、最終調教は内田博騎手がわざわざ駆けつけて、久々とは思えない動き。前脚の掻き込みがさらにダイナミックになり、走りは推進力を増している。鼻肺炎の影響はない。鼻肺炎でローテーションが狂った同厩のネオヴァンドームはきさらぎ賞を勝っている。飛びは大きいが、脚元、走法から渋った馬場はこなせるはずだ。エリカ賞のパドックでは走る馬独特の雰囲気があった。経験則でこういう馬はG1で激走することが多い。

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