皐月賞のポイント
中山競馬場 芝2000m

荒れた馬場をこなせるか?
 皐月賞は3回中山8日目に行われ、中山で行われる春の総決算のレースとして 位置づけられています。1月から使い続けられた馬場は、当然荒れてきており、 この荒れた馬場をいかにこなすかがポイントになります。 実際、皐月賞で好走した馬の多くがダートをこなしたり、重馬場を経験しており、 荒れた馬場の適性を示していました。ただし、タートや重馬場を経験していれば 良いというのではなく、それ以外の実績も重要になります。また、皐月賞出走馬 は、タートや重馬場を経験していない馬の方が数が多く、それらの適性を見抜く ことも重要です。

 では、どうすれば適性を見抜けるのでしょうか。ダートと重馬場の経験は、今 までのレース結果をチェックすれば分かりますが、そこで注意したいのは、ダート や重馬場だけで好走しているような馬です。まずは、疑ってかかった方が良いで しょう。ダートや重馬場が得意なだけでは好走できないのが皐月賞で、芝の良馬 場でも実績を上げている馬、つまり芝のスピードがある馬でないと勝負になりま せん。つまりチェックとしては、芝の良馬場での好走実績とダートや重馬場での 好走実績を合わせて見るということになります。

 次に良馬場のみの経験馬の適性ですが、実際に走っていないので、これを見抜 くのは非常に難しいことです。しかし、走法、調教、爪の形で大体分かるのです。 まず走法ですが、一般的に飛びがきれいな馬、飛びが大きい馬は、荒れ馬場は 得意でないようです。また、前脚の掻き込みが小さい馬より、大きい馬の方が荒 れ馬場をこなせるようです。ただし、あまりに掻き込みが大きい馬も荒れ馬場で 体力を消耗するので注意が必要です。次に調教ですが、前記した走法のチェック はもちろんのこと、ダートコースや重のウッドコースや坂路コースで好タイムを 出しているかで大体判断できます。次に爪ですが、爪が小さく立っている馬は、 しっかりと馬場をとらえるために滑りづらく、重馬場が得意なようです。これら から、総合的に判断すれば、こなせる馬とこなすのが難しい馬に分類できます。

 以上から、荒れ馬場をこなせるかをチェックしましたが、一番大事なのは、そ の年によって、馬場が良かったり、また雨で更に馬場が悪化したりと条件が変わ るので、それにチェックすることです。また特に注意したいのが、仮柵の移動で す。仮柵を内側に移動した場合は、使われていない内側の馬場は絶好で、 そこを通れる逃げ先行馬が非常に有利になります。逆に外側に移動した場合は、 コーナーも緩やかになり、外のいいところを通れる差し追い込み馬が有利になり ます。98年の皐月賞は、仮柵が内に移動され、内の馬場が絶好の状態になり、 そこを通ったセイウンスカイが見事に逃げ切り優勝しました。その年は馬場の荒 れがひどく、仮柵を外した内と今まで使用していた外とでは、馬場の差は非常に 大きい状態でした。1番人気のスペシャルウィークは鋭く追い込むも3着で、 騎乗した武豊騎手が馬場差の不利を主張し当時話題になりました。その後、 JRAはこれを認め、仮柵の移動には非常に注意を払っており、以前ほど馬場差 がないような移動になっています。

 仮柵の移動も含め、前日の土曜日のレースを見て、タイムや好走馬のコース 取りをチェックする必要があります。毎年条件は変わるのでそれに合わせた予想 をすることが一番重要です。

適性1:ダートや重馬場経験馬→芝良馬場での好走実績が必須
適性2:良馬場のみの経験馬 => 走法、調教、爪の形をチェック
その年の馬場状態 => 土曜日のタイム、好走馬のコース取りをチェック

逃げ切りは一流馬のみ、差し馬が有利
 過去10年で逃げ切りで皐月賞を勝ったのは、ミホノブルボン、ジェニュイン、 サニーブライアン、セイウンスカイの4頭です。この4頭に共通点は、皐月賞を 勝った後にもG1を勝った点です。つまり、以降もG1で活躍でき一流馬でない と逃げ切りは至難の業と考えて方が良いでしょう。皐月賞に出走する時点でその 馬が一流馬になるかは分かりませんが、サインは出しているものです。つまり、 二千程度の距離で平均ペース以上で逃げて2着以下を離して勝った実績がある馬 と言っていいでしょう。また、皐月賞が行われる中山ニ千は直線の坂を2度通る ため、非常にタフなコースでここで逃げてかつ離して勝った馬が最も信頼がおけ ます。

 中山ニ千は上記した逃げ馬でないと逃げ切りは難しいため、差し馬が有利です。 過去の結果を見ても、差し馬の好走が目に付きます。差し馬が好走する理由は、 スタンド前の直線奥からのスタートでスピードに乗りやすく、G1レースという こともあって最初からペースが上がる傾向にあるからです。向こう正面である程 度ペースが落ち着いても、3コーナー手前から各馬スパートし、3コーナーでは 団子状態のままペースが上がりサバイバル戦になれば、当然差し馬が有利になり ます。団子状態でペースが上がると馬に与えるストレスも頂点に達し、馬込みを 気にするような馬の好走は難しいようです。馬込みを気にする馬が好走するには、 コースロスがある外を回っても差し切る脚を持っている馬となりますが、この場 合、向こう正面でペースが落ちないで息が入らない展開でないと余程の差し脚を 持っている馬でないと難しいと考えた方が良いでしょう。

 向こう正面でペースが落ちないと差し馬にも息の入らない展開になるため、後 方からの追い込み馬が直線で一気差すケースがあります。この展開を読んで騎手 は後方に控えるわけですが、一歩間違えると取り返しがつかないため、捨て身の 戦法と言えるでしょう。93年の皐月賞は、この捨て身の戦法で武豊騎手騎乗の ナリタタイシンが優勝しています。道中は最後方から進み、3コーナーから徐々 にスパートし、直線でまさに弾丸ライナーの追い込みでビワハヤヒデを差し切り ました。その後もナリタタイシンは、自慢の差し脚で活躍したように実力があり、 一発屋ではなかったわけです。要するに追い込みが決まるには、向こう正面で ペースが落ちない展開になること、強烈な末脚を持った馬で中途半端なレースを しないことが条件になります。人気になり、前々で競馬し、馬込みで揉まれると いつもの差し脚を使えないのが差し馬の宿命なので注意が必要です。

逃げ切り厳しい => 早いペースで逃げて2着以下を離して勝った馬が好走可能
団子状態でのペースアップはストレス大 => 馬込みを気にしない差し馬が有利
向う正面でペース落ちない展開 => 捨て身追い込み馬に注意

実力と余力のバランスをチェック
 弥生賞を勝った馬がその実力を買われ皐月賞で人気になりますが、この10年 で連対した馬は1頭もいません。弥生賞を勝つわけですから、相当の実力を持っ ているし、その後の菊花賞で活躍する馬も多いことからも、その実力が証明され ています。では、なぜ皐月賞で好走できないのでしょうか?

 弥生賞には、ローテーション的にその年の実力馬たちが出走します。レースは 皐月賞より厳しくはないとしても、皐月賞の出走権がかかっていること、多くの 実力馬が出走していることで、レベルが上がり厳しいレースになるのです。そこ で目一杯のレースをするとやはり反動が大きいようです。ここで勝つような馬は、 目一杯のレースをしていることが多く、皐月賞で万全の体調を維持することが難 しいのです。この時期の牡馬の成長は著しく、この反動で体調を崩し、成長を止 めてしまうこともしばしばあります。注目したいのは、弥生賞でいかに余力残し のレースをしたかということです。ただし、いくら余力残しのレースをしても、 好走できなければ(他に見所があれば別)、皐月賞での好走は難しいことから、 実力と余力のバランスをチェックすることが大事なのです。弥生賞に限らず、 他のステップレースを使っていた馬についても実力と余力のバランスをチェック して予想したいものです。

弥生賞の勝ち馬が凡走 => 目一杯のレースか余力あるレースかをチェック
他のステップレースでも実力と余力のバランスをチェック


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