天皇賞(春)のポイント
京都競馬場 芝3200m

実績がものをいうレース。菊花賞馬が強い。
 距離が3200mのため、フロックで好走できるほど甘いレースではなく、 実力がものをいうレースです。連対馬をみるとそうとうたるメンバーが顔を 揃えています。その中でも天皇賞と1番距離が近い3000mのG1菊花賞 での優勝馬が勝つケースが極めて多くなっています。距離が長くなればなる ほど、距離適性が重要になるため、菊花賞馬が好走するのも当然の結果と言え るのではないでしょうか。天皇賞(春)1,2着馬の菊花賞とG1成績を以下に 示します。

   年   1,2着馬         菊花賞成績      G1成績(天皇賞前)
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 1989年 イナリワン                 88年東京大賞典
       ミスターシクレノン             ★
 1990年 スーパークリーク   89年菊花賞1着
       イナリワン                 89年天皇賞(春)、89年宝塚記念
 1991年 メジロマックイーン  90年菊花賞1着
       ミスターアダムス              
 1992年 メジロマックイーン  90年菊花賞1着   91年天皇賞(春)
       カミノクレッセ               ★
 1993年 ライスシャワー    92年菊花賞1着   
       メジロマックイーン  90年菊花賞1着   91,92年天皇賞(春)、92年宝塚記念
 1994年 ビワハヤヒデ     93年菊花賞1着
       ナリタタイシン                93年皐月賞
 1995年 ライスシャワー    92年菊花賞1着   93年天皇賞(春)
       ステージチャンプ   92年菊花賞2着
 1996年 サクラローレル               ★
       ナリタブライアン   94年菊花賞1着   
 1997年 マヤノトップガン   95年菊花賞1着   
       サクラローレル                96年天皇賞(春)
 1998年 メジロブライト    97年菊花賞3着   
       ステイゴールド               ★
 1999年 スペシャルウィーク  98年菊花賞1着
       メジロブライト    97年菊花賞3着   98年天皇賞(春)
 上記を見ても分かるように、天皇賞(春)は、菊花賞馬が非常に強いレースです。 1989年から1998年の菊花賞馬で天皇賞馬になれなかったのは、以下の4頭です。

 1991年 レオダーバン     出走せず
 1996年 ダンスインザダーク  出走せず
 1997年 マチカネフクキタル  99年天皇賞7着
 1998年 セイウンスカイ    99年天皇賞3着
 出走できなかった2頭ば別にしてマチカネフクキタルとセイウンスカイはなぜ 連対すらできなかったのでしょうか。ここに天皇賞のポイントがあります。

 まず、マチカネフクキタルですが、菊花賞前に神戸新聞杯、京都新聞杯を連勝し、 3連勝で菊花賞を勝ちました。神戸新聞杯では、あのサイレンススズカが逃げ 粘り、誰もが1着と確信したときに大外から信じられないような豪脚で差し切り ました。この馬の武器は3F33秒台の鋭い末脚ですが、父がクリスタルグリッターズ で陣営も距離不安を口にしており、菊花賞でいかにしてこの鋭い末脚を繰り出す かが課題でした。結局、菊花賞は超スローペースになり、最後の末脚勝負となり、 自慢の末脚を繰り出し見事に菊花賞馬に輝いたのです。ここで問題なのは、 走破タイムが3分7秒7で超スローペースだった点です。つまり、長距離での スタミナ勝負よりも最後の切れ勝負になっていた点です。天皇賞では、菊花賞より 距離が200m伸び、かつ古馬の一線級が出走してくるため、厳しいレースになり、 スタミナのある馬が好走するのです。ペースが早い菊花賞を勝った馬は、スタミナ面 で問題がないと言え、実際、天皇賞で優勝しているのはこのタイプの馬なのです。

 次にセイウンスカイですが、ハイペースで逃げ、3分3秒2のレコードタイムで 優勝しました。この早いタイムで走破したのになぜ天皇賞では菊花賞で3馬身1/2 の差をつけた2着のスペシャルウィークに負けたのでしょうか。菊花賞のときの 京都コースは仮柵を外し、内馬場が絶好の状態でした。4番枠だったセイウンスカイは、 馬場のいい内を進み、他馬に絡まれることもなく、終始マイペースの競馬でした。 対して、スペシャルウィークは、大外17番枠で馬場の悪いところを通らなければ ならず、勝負どころ、最後の直線でも馬場の悪いところを通ったのです。この馬場の 差が3馬身1/2以上あったといえないでしょうか。スペシャルウィークも先行して 馬場のいい内を通ればと言う人もいるかも知れませんが、馬には脚質があるので 菊花賞時点でのスペシャルウィークの追い込み脚質では、天才武豊騎手でも対処でき なかったのです。まとめると時計が早い菊花賞を勝ったと言っても、その時の状況 を考慮しないと真の予想はできないということです。

 では、菊花賞でどういうレースをした馬が、天皇賞で好走できるのでしょうか。 ひとことでは言えませんが、ステイヤー血統で馬体、走法が長距離向きな馬が菊花賞 で厳しいレースをして勝った場合は、天皇賞では好走できると考えてよいでしょう。 基本的に天皇賞はスタミナがないと勝負になりません。このスタミナ面の裏付けの ある馬が優位に立つのは当然のことです。ただし、最近の長距離戦はスローで 流れて、最後の上がり勝負になることが多く、決め手のある馬が好走する傾向に あります。この傾向も頭に入れて、展開を読み、予想をしたいものです。

 天皇賞で菊花賞馬が勝負になるのを述べてきましたが、注意したい点は条件は揃った 菊花賞馬だからといって天皇賞で勝負になるとは安易に考えてはいけません。 通常のレースと同様に調教、ローテーション、馬体などを吟味して、調子がいい ことが前提になります。

超スローの上がりの競馬で勝った菊花賞馬は、まずは疑ってかかろう。
好タイムで勝った菊花賞馬でも、菊花賞時の状況をチェックしよう。
血統、馬体、走法がステイヤーで厳しいレースで勝った菊花賞馬は信頼できる。
条件を満たす菊花賞馬でも調子がいいことが大前提。

3,4コーナーの下りをいかにスムーズに進めるられか。
 京都三千はスタートしてすぐに3コーナーでそこから4コーナーにかけて下りに なります。この下りで勢いをつけるとスタンドの大観衆の声援も手伝って、スピード が増し折り合いを欠くことになります。1週目のスタンド前をいかに力を温存して 折り合ったレースをするかは非常に重要です。向こう正面に進むと3コーナー手前 には坂があり、それを上りきると3,4コーナーの下り坂が待ち構えています。 1番重要なのは、この下りをいかにスムーズに進めるかということです。 それまで2000m以上を走ってきた馬にとって、3コーナー手前の坂は体力を消耗 させます。その消耗した状態で下り坂に差し掛かり、ここで仕掛けるとスピードの 出し過ぎになり、4コーナーで外に膨れコースロスになります。コースロスになる ばかりではなく、坂を登って消耗している馬に楽をさせずに仕掛けどおしでは、 スタミナも底をつき、直線で鋭い脚を使えと言っても無理な話しです。 3,4コーナーの下りをいかにスムーズに進めるか、下りで息を抜いて走ることで 力を温存できれば、直線での爆発力につながります。

 騎手たちも当然この下り坂をスムーズに行きたいという意識は持っています。 ただし、3コーナーでの位置どりがあまりに悪ければ、そういう意識がある騎手でも 仕掛けざるをえないのです。では、予想はどうすればよいのでしょうか。 要は展開を予想した上で、下り坂をスムーズに息を抜いて進める馬がどの馬かを イメージすることが大切です。その展開が自分の勝ちパターンであれば、好走する 確率は増すはずです。実際、天皇賞で好走している馬は、この坂を自分の勝ち パターンの位置どりでスムーズに進めています。馬なりでスピードに乗り、無理なく 前との差を詰めてくるような馬が好走しています。

 メジロマックイーンやライスシャワーは、この下り坂が得意で馬なりで前との差を 詰めて直線で突き放す強い競馬で天皇賞を制しています。この2頭は菊花賞を勝ち、 その後、天皇賞を2勝しており、京都でG1を3勝と得意コースでした。好走したのは、 ステイヤーという理由もありますが、京都コースが3,4コーナーの下りを含め、 他の競馬場とは異質なコースだと言えるのではないでしょうか。京都コースが得意な 馬が他のコースで好走できなくても京都ではあっさり勝ってしまうことがよくある のも、京都コースの特徴と言っていいでしょう。 このことからも、京都コースでの実績馬も予想する上で考慮すべきです。

展開を予想し、下り坂をスムーズに進めるられる馬を探そう。
展開が自分の勝ちパターンであれば、好走する確率は増す。
京都コースは異質なコース→京都コース実績馬に注意しよう。

レースのポイントになる事象に注目せよ。
 天皇賞は、実力馬が活躍するレースで配当も堅い傾向です。2強対決や3強対決 と実績馬の対決がよくあるのも天皇賞の特徴ですが、これが崩れ穴があくことも あります。人気馬が敗れ去るのには、当然理由があり、それを予想するには、何が レースのポイントになるかを考えることが必要です。

 1991年の天皇賞は、前年の菊花賞馬メジロマックイーンが優勝し、7番人気の ミスターアダムスが2着で馬連1610円と中穴になりました。人気は菊花賞1〜3着の メジロマックイーン、ホワイトストーン、メジロライアンが3強を形成していましたが、 2頭は連対もできず敗れ去りました。ではなぜミスターアダムスが好走できたのでしょうか。 ミスターアダムス前年の嵐山S3000mでメジロマックイーンに勝って(マックイーンに 不利はあったが、、、)いたのです。つまり、京都の長距離実績とスタミナ面はクリアして いました。この年の天皇賞は、馬場がやや重になり、力のいる状態になったことで、 スタミナがポイントになったのです。基本的には中距離馬のホワイトストーンと メジロライアンよりもミスターアダムスの方がスタミナ面で優れていたということです。 このスタミナに注目すれば、ミスターアダムスを取り上げることはできるのです。

 1992年の天皇賞は、前年優勝のメジロマックイーンと無敗のトウカイテイオーの 2強対決になりましたが、結果はメジロマックイーンが1着でカミノクレッセが2着で 馬連1570円と中穴になりました。トウカイテイオーは5着と敗れました。 この年は、芝がほとんどなくダートに近い馬場状態がポイントになりました。 馬場はボコボコと各所で掘れ、砂ぼこりが上がり、とても芝とは思えない馬場状態で 元々ダート馬だったカミノクレッセが2着したのです。 カミノクレッセは、京都で行われた阪神大賞典でメジロマックイーンの2着しており、 京都の長距離実績とスタミナ面はクリアしていました。このダートに近い馬場に注目 すれば、カミノクレッセを取り上げることはできるのです。

 このようにその年のレースのポイントとなる事象を見つけ出し、それがどの馬に有利 に働くかをチェックすることが重要です。ただし、事象を見つけ出しても、前記したように 京都コースの好走実績と長距離実績も重要なファクターなので、事象だけにとらわれた 無理な穴狙いはしない方が賢明です。

ポイントとなる事象を見つけ出し、どの馬に有利に働くかをチェック。
ポイントに合致する馬がいても、京都実績と長距離実績も考慮しよう。


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