宝塚記念
2020/6/28 阪神競馬場 芝2200m

レース展望

過去10年で1番人気は[2−4−1−3]で6連対。4、5歳馬が休み明けでなければ[2−2−0−1]。単勝1倍台は[0−1−0−2]で未勝利。2番人気は[1−1−1−7]、3番人気は[2−0−2−6]で各2連対。6〜9番人気が6連対、10番人気以下が2連対。最近5年の馬連は129倍、24倍、52倍、92倍、9倍で中穴以上の決着が多い。メンバーは揃うが荒れる。人気薄を絡めて中穴以上を狙うのが妙味。

連対馬12頭にG1勝ち、3頭にG1−2着、5頭にG2勝ちがあった。天皇賞(春)組を除くと連対馬14頭のうち12頭が前走4着以内。前走重賞4着以内のG1、G2実績馬に注目。前走天皇賞(春)は7、7、10、11着馬が連対しており着順不問。年齢別では4歳[3−2−6−36]、5歳[6−4−4−31]、6歳[1−3−0−21]、7歳以上[0−1−0−27]で5歳馬が活躍。穴で8番人気前後の5歳馬に注意。

サートゥルナーリアは2走前の有馬記念で後方から追い込んで2着。前走金鯱賞は好位から抜け出して2馬身差で圧勝。有馬記念で距離、金鯱賞で左回り、58キロを克服しパフォーマンスを引き上げた。右回りでは[5−1−0−0]、阪神では[2−0−0−0]。道悪の経験はないが、半兄エピファネイアは不良馬場の菊花賞を勝っている。社台は引き続きルメール騎手を確保。死角はあるのだろうか。角居厩舎は3頭出しになる。

ラッキーライラックは昨年のエリザベス女王杯をスミヨン騎手で勝ってから覚醒し、香港ヴァーズ2着、中山記念2着、大阪杯1着と牡馬相手に崩れていない。前走大阪杯は内ラチ沿いの3番手から2位の33.9秒で抜け出し1分58秒4で優勝。以前は切れ負けすることが多かったが、ここにきて切れ不足を払拭している。阪神芝は[3−1−0−1]で不利のあった阪神牝馬Sを除き連対を確保。枠順と馬場状態がポイントになる。

大阪杯2着馬クロノジェネシス、AJC杯勝ち馬ブラストワンピース、昨年の香港ヴァーズ勝ち馬グローリーヴェイズ、昨年の宝塚記念2着馬キセキ、昨年のジャパンC3着馬ワグネリアンなど。過去10年のうち4年が稍重で行われ、18年は上位人気馬が全滅し、7−10−12番人気で3連単49万馬券が飛び出した。サートゥルナーリア、ラッキーライラックは重&不良馬場の経験がない。馬場が渋ると波乱度が高まりそうだ。

クロノジェネシスは昨年牝馬3冠で3、3、1着。エリザベス女王杯は5着に終わったが、今年は京都記念を勝ち、大阪杯でクビ差の2着に入った。阪神芝は[0−2−1−0]。小柄な牝馬が初の56キロ、大阪杯よりメンバーは強くなる点がどう出るか。ブラストワンピースは成績にムラがあるが、稍重では[3−0−0−0]で有馬記念、AJC杯を優勝。緩い馬場が得意なハービンジャー産駒。雨で馬場が適度に渋ったら要注意か。

グローリーヴェイズは昨年の天皇賞(春)でフィエールマンにクビ差の2着。前走香港ヴァーズは2着ラッキーライラックに3馬身半差をつけて圧勝。下り坂を利用できる京都が合うタイプ。タフな馬場はこなすが、坂のある阪神、長期休み明けがどう出るか。キセキは前3走5、7、6着に終わったが、出遅れたり掛かったりしてまともに走っていない。昨年の宝塚記念はリスグラシューに3馬身差の2着。武豊騎手の手綱捌き次第か。


レース回顧

2020年 6月28日(日) 3回阪神8日  天候: 曇   馬場状態:稍重
11R  第61回宝塚記念
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定)  芝 2200m・内   18頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 8 16  クロノジェネシス   牝 4 北村友一  56  2.13.5 36.3  2 464 (栗)斉藤崇史
2 7 14  キセキ             牡 6 武豊      58  2.14.5 37.2  6 502 (栗)角居勝彦
3 6 12  モズベッロ         牡 4 池添謙一  58  2.15.3 37.6 12 480 (栗)森田直行
4 3  5  サートゥルナーリア 牡 4 ルメール  58  2.15.6 37.6  1 508 (栗)角居勝彦
5 5 10  メイショウテンゲン 牡 4 松山弘平  58  2.15.6 37.4 16 466 (栗)池添兼雄
6 6 11  ラッキーライラック 牝 5 M.デム  56  2.16.0 38.8  3 524 (栗)松永幹夫
7 3  6  トーセンスーリヤ   牡 5 横山和生  58  2.16.3 39.1 14 484 (美)小野次郎
8 1  1  トーセンカンビーナ 牡 4 浜中俊    58  2.16.4 38.2 11 464 (栗)角居勝彦
9 7 13  ダンビュライト     セ 6 松若風馬  58  2.16.6 39.3 10 488 (栗)音無秀孝
10 4  8  レッドジェニアル   牡 4 酒井学    58  2.16.7 38.9 15 484 (栗)高橋義忠
11 7 15  スティッフェリオ   牡 6 幸英明    58  2.16.7 38.9  8 444 (栗)音無秀孝
12 8 17  カデナ             牡 6 鮫島克駿  58  2.16.8 38.5  9 486 (栗)中竹和也
13 4  7  ワグネリアン       牡 5 福永祐一  58  2.16.8 39.6  7 470 (栗)友道康夫
14 5  9  アドマイヤアルバ   セ 5 西村淳也  58  2.17.6 39.1 18 468 (栗)須貝尚介
15 1  2  ペルシアンナイト   牡 6 和田竜二  58  2.18.0 40.5 13 500 (栗)池江泰寿
16 8 18  ブラストワンピース 牡 5 川田将雅  58  2.18.0 40.3  4 542 (美)大竹正博
17 2  3  グローリーヴェイズ 牡 5 レーン    58  2.18.8 41.2  5 460 (美)尾関知人
18 2  4  アフリカンゴールド セ 5 藤井勘一  58  2.21.8 43.5 17 466 (栗)西園正都
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LAP :12.3-10.9-11.4-12.7-12.7-12.4-12.4-12.4-11.9-12.1-12.3
通過:34.6-47.3-60.0-72.4  上り:73.5-61.1-48.7-36.3  平均:1F:12.14 / 3F:36.41
単勝   16 \410 
複勝   16 \180 / 14 \370 / 12 \1280 
枠連   7-8 \1180 (4) 
馬連   14-16 \3410 (12) 
ワイド 14-16 \790 (7)/ 12-16 \3910 (35)/ 12-14 \12070 (70) 
馬単   16-14 \5350 (19) 
3連複 12-14-16 \51240 (120/816) 
3連単 16-14-12 \183870 (434/4896) 

クロノジェネシスは外枠スタートから7番手につけ、勝負どころで進出して4コーナーで先頭に立つとメンバー最速の36.3秒で後続を引き離し6馬身差で圧勝した。3着はさらに5馬身差。1番人気で4着のサートゥルナーリアに2.1秒差をつけた。トーセンスーリヤが逃げて前半3F34.6秒、5F60.0秒の平均ペース。ラスト6Fから12.4−12.4−12.4−11.9−12.1−12.3秒とラップが落ちず、上がりの掛かる消耗戦になった。クロノジェネシスは外を回って早めに押し上げ、2位を0.9秒上回る上がりで他馬を圧倒。馬体が10キロ増えてまたパワーアップしていた。重馬場の京都記念でカレンブーケドールに2馬身半差をつけて楽勝したのはダテではなかった。これで道悪では4戦4勝。生産牧場で水掻きがついていると言われるほどの道悪巧者。直前の雨がプラスに働いたが、この圧勝はそれだけではない。昨年の宝塚記念を勝ったリスグラシューのパフォーマンスを超えている。安田記念は桜花賞馬グランアレグリアが優勝。ここにきて昨年の3歳牝馬G1を勝った馬が活躍している点に注意したい。4歳牡馬は低レベルの可能性がある。今後はひと息入れて秋に備える予定。海外遠征を視野に入れているが、コロナの関係で国内専念か。アーモンドアイ、コントレイルとの頂上対決を楽しみに待ちたい。

キセキは出遅れて後方を進み、3コーナー手前から徐々に押し上げ4コーナーでクロノジェネシスの直後につけるとメンバー2位の37.2秒で伸びて1.0秒差の2着。3着モズベッロに5馬身差をつけたが、勝ったクロノジェネシスが強過ぎた。出遅れて武豊騎手が追い込むレースに切り替え、不良馬場の菊花賞を勝ったときのように外から捲ってきた。クロノジェネシスが外から上がって前を一掃したことで10番手以下につけた馬が2〜5着に入ったように展開も味方したのだろう。キセキはルーラーシップ産駒で不良馬場の菊花賞を勝ったように道悪が得意。直前の雨で馬場が悪化したことがプラスに働いている。結果的に出遅れたこともプラスに働いた。近走は出遅れたり、掛かったりしてまともなレースができなかたが、久々に本来の力を見せた。これでG1で4度目の2着。父ルーラーシップと同様に勝ち切れないレースが続いている。

モズベッロは12番手から徐々に進出し、メンバー4位タイの37.6秒で上がって1.8秒差の3着。直線でサートゥルナーリアが外から来るともうひと伸びして3着を確保した。タフな馬場をこなす地力タイプが消耗戦になって地力を発揮し、12番人気で穴をあけた。武豊騎手のキセキが出遅れてトーセンスーリヤが逃げて流れ、直前の雨で馬場が悪化し、クロノジェネシスが早めに動いて前を一掃。これらが全てプラスに働いた。日経賞を勝ったミッキースワローは天皇賞(春)3着、2着モズベッロは宝塚記念3着、3着スティッフェリオは天皇賞(春)2着。上がりの掛かるタフなレースで好走した馬がG1で激走した。このあたり秋に向けて注意したい。

サートゥルナーリアは10番手からメンバー4位タイの37.6秒で伸びて2.1秒差の4着。最後に止まって3着モズベッロを交わせなかった。ルメール騎手は重い馬場で距離2200mが長かったとコメント。10番枠より外に入った馬が1、2、3、5、6着。馬場の内側が荒れて内を通った馬が壊滅状態になっただけに3枠5番にマイナスに働いたぶんもあるのだろう。直前の雨でさらに馬場が悪化したことも厳しかった。3頭出しの角居厩舎は6番人気のキセキが2着。多頭出しは人気薄を狙えという競馬の格言通りになった。サートゥルナーリアはメンバーの弱い金鯱賞を勝ったが、メンバーの揃った古馬相手のG1では6、2、4着と勝ち切れないレースが続いている。

ラッキーライラックは5番手から4コーナーで2番手に押し上げたが、直線で一杯になって2.5秒差の6着。エリザベス女王杯、大阪杯は上がり勝負で内から抜け出して勝ったが、今回は重い馬場で上がりの掛かる消耗戦になり、強気なレースをして失速した。サートゥルナーリアと同様に渋った馬場で消耗戦だと妙味が距離が長いのだろう。

トーセンスーリヤは逃げて2.8秒差の7着。少し捌きに硬さがあったが、前に行った馬が失速する中、7着に粘ったことを評価したい。ここにきて調教の動きが目立つようになり本格化気配がある。秋はG2、G3で激走があるのではないか。横山和騎手も成長している。この人馬は秋に活躍する可能性があるので注意したい。

ダンビュライトは3番手につけたが、直掩で一杯になって3.1秒差の9着。勝負どころで早めにクロノジェネシスに来られたが、バッタリ止まらずに9着に踏ん張った。メイショウテンゲンが5着に突っ込む完全前崩れの消耗戦では厳しかった。G2では[2−1−2−2]で複勝率71%。秋のG2で注意したい。



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