府中牝馬S
2020/10/17 東京競馬場 芝1800m

レース展望

エリザベス女王杯の前哨戦。過去10年で1番人気は[1−3−2−4]で4連対。前走勝った馬は[1−2−1−1]だが、負けた馬は[0−1−1−2]で連対を外し馬が多い。2番人気は[0−2−4−4]で2連対、3番人気は[1−0−1−8]で1連対。4番人気が5連対、5番人気が4連対と多い。過去5年の馬連は65倍、12倍、21倍、3倍、73倍で中穴決着が多い。重賞実績馬が揃うが、G1前哨戦で荒れている。

連対馬14頭が前走4着以内。前走連対した馬が活躍。前走5着以下から連対した6頭のうち5頭に芝1800m重賞で3着以内があった。昨年は中山牝馬S勝ち馬フロンティアクイーンが9番人気で激走した。連対馬8頭に芝1800m以上で重賞勝ち、残る12頭のうち10頭に芝1800m以上で重賞3着以内があった。G2でメンバーが揃うため、中距離の重賞実績が問われる。特に芝1800m重賞で連対がある馬に注意。

ラヴズオンリーユーは昨年デビューから4連勝でオークスを優勝。2着カレンブーケドール、3着クロノジェネシスはその後のG1で活躍している。今年はドバイ遠征明けのヴィクトリアマイルは高速決着に対応できず7着、前走鳴尾記念はパフォーマプロミスに競り負けてハナ差の2着に終わった。昨年のエリザベス女王杯は0.2秒差の3着。本番前にどこまで仕上げてくるか。全兄リアルスティールは東京芝1800m巧者だった。

ダノンファンタジーはファンタジーS、阪神JF、チューリップ賞、ローズSを優勝。前3走は秋華賞8着、阪神牝馬S5着、ヴィクトリアマイル5着で善戦止まりが続いている。昨年のローズSは中団からメンバー最速の33.1秒で差し切って1分44秒4のレコードで優勝。これまで54キロでは[5−1−0−0]で重賞4勝。今回は昨年のローズS以来となる54キロ。なぜか古馬になると急に走らなくなる中内田厩舎の管理馬。

京成杯AHを連覇したトロワゼトワル、前走小倉日経オープンを勝ったサラキア、中山牝馬Sと福島牝馬Sを連勝したフェアリーポルカ、昨年桜花賞2着、秋華賞3着のシゲルピンクダイヤ、東京新聞杯2着馬シャドウディーヴァ、前走クイーンS9着のサムシングジャストなど。トロワゼトワルは芝1800mに出走するのは今回が初めて。少頭数で逃げ馬不在だけにハナを切る手か。横山典騎手とは[3−1−0−1]で好相性。

サラキアは芝1800m[1−3−0−2]でローズS2着、エプソムC2着がある。北村友騎手とは[2−1−0−0]で好相性。フェアリーポルカは芝1800m[3−0−0−1]、54キロ以下では[3−0−0−0]。前走クイーンS6着は56キロを背負い、馬体が18キロ増えていた。シゲルピンクダイヤは芝1600〜2000mの牝馬限定重賞[0−2−2−3]。ただし関東圏では[0−0−1−3]で3着止まり。


レース回顧

2020年10月17日(土) 4回東京3日  天候: 雨   馬場状態: 重 
11R  第68回アイルランドT府中牝馬S
3歳以上・オープン・G2(別定) (牝)(国際)(指定)  芝 1800m   8頭立
------------------------------------------------------------------------------
着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
------------------------------------------------------------------------------
1 4  4  サラキア           牝 5 北村友一  54  1.48.5 35.7  7 454 (栗)池添学
2 6  6  シャドウディーヴァ 牝 4 内田博幸  54  1.49.0 36.0  6 482 (美)斎藤誠
3 8  8  サムシングジャスト 牝 4 松山弘平  54  1.49.2 35.9  8 514 (栗)松田国英
4 7  7  トロワゼトワル     牝 5 横山典弘  54  1.49.2 36.9  4 462 (栗)安田隆行
5 5  5  ラヴズオンリーユー 牝 4 M.デム  55  1.49.3 36.5  1 486 (栗)矢作芳人
6 2  2  ダノンファンタジー 牝 4 川田将雅  54  1.49.6 37.2  2 470 (栗)中内田充
7 1  1  シゲルピンクダイヤ 牝 4 幸英明    54  1.49.9 36.9  5 474 (栗)渡辺薫彦
8 3  3  フェアリーポルカ   牝 4 和田竜二  54  1.49.9 37.1  3 498 (栗)西村真幸
------------------------------------------------------------------------------
LAP :13.0-11.5-11.4-11.5-12.2-12.7-11.8-11.9-12.5
通過:35.9-47.4-59.6-72.3  上り:72.6-61.1-48.9-36.2  平均:1F:12.06 / 3F:36.17
単勝   4 \2020 
複勝   4 \400 / 6 \420 / 8 \460 
馬連   04-06 \9350 (26) 
ワイド 04-06 \2430 (27)/ 04-08 \2670 (28)/ 06-08 \1870 (23) 
馬単   04-06 \20340 (46) 
3連複 04-06-08 \23160 (54/56) 
3連単 04-06-08 \189020 (313/336) 

サラキアは中団の外からメンバー最速の35.7秒で差し切って3馬身差で圧勝。勝ちタイムは1分48秒5(重)。トロワゼトワルが逃げて前半5F59.6秒、レースの上がりは36.2秒、ラップは11.8−11.9−12.5秒。重馬場で上がりの掛かるレースになり、差し追い込み馬が上位を独占した。8頭立てのレースで7−6−8番人気で決着。最近の重賞はメンバーレベルが低いため、重賞実績のない馬でも通用している。サラキアは道悪では不振だったが、ベストの芝1800m、開幕2週目の馬場、外が伸びる馬場で道悪を克服し、重賞初制覇を飾った。先週の毎日王冠は全弟のサリオスが制している。北村友騎手では[3−1−0−0]。必ず最速上がりを繰り出しているように手が合うのだろう。次走は昨年6着のエリザベス女王杯でG1制覇を目指すことになりそうだ。

シャドウディーヴァは後方2番手からメンバー3位の36.0秒で追い込んで0.5秒差の2着。東京新聞杯で2着に入った馬が得意の東京で激走した。勝ったサラキアは昨年のエプソムC2着馬。東京の牡馬混合重賞で連対のある馬がワンツーを決めた。シャドウディーヴァは飛びが大きく道悪は得意ではないが、開幕2週目の馬場で展開が嵌まればこれくらい走れるのだろう。4着に入りその後1、2戦で激走するパターンが続いている。内田博騎手はセントライト記念・バビット1着、サウジアラビアRC・セイウンダイモス3着、毎日王冠・ダイワキャグニー2着と重賞で乗れている。

サムシングジャストは最後方から最内を突いてメンバー2位の35.9秒で追い込んで0.7秒差の3着。同コースの初音Sでサトノダムゼル(新潟記念5着)に勝った馬が最低の8番人気で激走した。馬場の内側は荒れているが、道悪巧者で荒れ馬場もこなすため、松山騎手は内を突いたのだろう。前走クイーンSは武豊騎手が大外をブン回して9着に終わったが、主戦の松山騎手に戻って重馬場を味方に激走した。

トロワゼトワルは前半5F59.6秒で逃げ、メンバー5位の36.9秒で上がって0.7秒差の4着。緩い馬場はこなせるが、重馬場、芝1800mとも初めて。内が荒れて外が伸びる馬場も合わなかった。気温が高い夏場は体が柔らかいが、寒くなると硬くなってそのぶん伸び切れなくなる点に注意したい。

ラヴズオンリーユーは4番手から伸び切れず0.8秒差の5着。上がりはメンバー4位の36.5秒。逃げたトロワゼトワルを交わさなかった。休み明けで馬体が12キロ増えて少し緩い造りだった。オークスでカレンブーケドールに勝った馬。カレンブーケドールのその後の活躍を考えると物足りなさが残る。馬体のバランス、走りのバランスが悪いせいか。

ダノンファンタジーは2番手から早めに先頭に立ったが、直線で一杯になって1.1秒差の6着。中盤にラップが12.2−12.7秒と緩んだところで前との差を詰め、自分はずっときついペースで走っていた。馬が川田騎手に嫌気をさしている感がある。こういう馬は外国人騎手が騎乗すると一変するので注意したい。



[Home]