秋華賞
2020/10/12 京都競馬場 芝2000m

レース展望

牝馬3冠の最終戦。過去10年で1番人気は[4−1−1−4]で5連対。オークス馬は[4−1−0−0]で勝った4頭のうち3頭は3冠馬だった。2番人気は[1−3−1−5]、3番人気は[4−0−1−5]で各4連対。連対馬18頭が5番人気以内、残る2頭は6、7番人気。過去10年馬連が50倍以上になったことはない。過去5年の馬連は27倍、35倍、15倍、8倍、21倍で20倍前後の決着が多い。

過去10年の連対馬は全て前走5着以内。前走6着以下は[0−0−2−57]で3着に入った2頭は前走ローズS7、18着だった。ローズS以外で前走6着以下は[0−0−0−27]。前走重賞以外は[1−2−2−55]、5番人気以内なら[1−2−0−2]で連対率60%。連対馬18頭に重賞3着以内があった。春のクラシックで好走し、前走ローズS、または紫苑Sで5着以内に入った馬が活躍している。

デアリングタクトは新馬、エルフィンS、桜花賞、オークスを4連勝した無敗の2冠馬。桜花賞は中団の後ろからメンバー最速の36.6秒で差し切り1分36秒1で優勝。重馬場、ハイペースの消耗戦で直線に向いたときに前とかなり差があったが、2番手から2着に粘ったレシステンシアの上がりを1.6秒上回る強烈な末脚で差し切った。前走オークスは後方からメンバー最速の33.1秒で差し切り2分24秒4で優勝。

1、2コーナーでごちゃついて位置取りが悪くなり、直線で馬群を捌くに手間取ったが、一頭だけ次元の末脚で差し切った。無敗の2冠達成は1957年のミスオンワード以来63年ぶり。秋華賞では史上初となる無敗の牝馬3冠に挑む。3歳牝馬同士であっさり勝てないようでは今年のジャパンC、来年の凱旋門賞は勝てない。馬場、展開、位置取り、コース取りなど関係ない強さで3冠達成できるのか注目したい。

ローズS勝ち馬リアアメリア、オークス2着馬ウインマリリン、紫苑S勝ち馬マルターズディオサ、オークス3着馬ウインマイティー、前走ローズS2着のムジカ、3着のオーマイダーリン、5着のクラヴァシュドール、前走紫苑S2着のパラスアテナ、4着のマジックキャッスル、クイーンC勝ち馬ミヤマザクラ、フローラS2着馬ホウオウピースフルなど。土曜が曇り時々雨、日曜が曇り時々晴れの予報。少し緩い馬場になりそうだ。

リアアメリアは内ラチ沿いの2番手から直線で早め先頭から後続を引き離し1分59秒9で2馬身差で圧勝。出遅れて後方からのレースが続いていたが、2番手から抜け出す正攻法のレースで快勝。今年は逃げ馬が不在。ローズSのように先行策か。ウインマリリンはフローラSを先行抜け出しで1分58秒7で優勝。前走オークスは2番手から抜け出して0.1秒差の2着。芝2000mは3戦3勝。得意の小回りコースで地力発揮か。

マルターズディオサは重馬場の桜花賞8着、距離2400mのオークス10着に終わったが、それを除くと[4−2−0−0]でチューリップ賞1着、紫苑S1着、阪神JF2着がある。G1でキズナ産駒は[0−1−0−14]。ウインマイティーはオークスで好位から早めに抜け出して0.2秒差の3着。前走紫苑Sは8枠から出遅れ、後方から追い込んで0.3秒差の6着。ゴールドシップ産駒。少しタフな馬場が合っている。


レース回顧

2020年10月18日(日) 4回京都4日  天候: 晴   馬場状態:稍重
11R  第25回秋華賞
3歳・オープン・G1(馬齢) (牝)(国際)(指定)  芝 2000m・内   18頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 7 13  デアリングタクト   牝 3 松山弘平  55  2.00.6 35.8  1 480 (栗)杉山晴紀
2 6 12  マジックキャッスル 牝 3 大野拓弥  55  2.00.8 35.8 10 432 (美)国枝栄
3 4  8  ソフトフルート     牝 3 藤岡康太  55  2.00.9 35.7  9 470 (栗)松田国英
4 8 16  パラスアテナ       牝 3 坂井瑠星  55  2.00.9 35.8 12 444 (美)高柳瑞樹
5 7 15  ミスニューヨーク   牝 3 長岡禎仁  55  2.01.5 36.7 16 462 (栗)杉山晴紀
6 7 14  オーマイダーリン   牝 3 幸英明    55  2.01.5 36.6 14 472 (栗)河内洋
7 2  3  マルターズディオサ 牝 3 田辺裕信  55  2.01.6 37.4  4 446 (美)手塚貴久
8 4  7  ムジカ             牝 3 秋山真一  55  2.01.7 36.7 11 444 (栗)鈴木孝志
9 3  5  ウインマイティー   牝 3 和田竜二  55  2.01.9 37.1  3 480 (栗)五十嵐忠
10 6 11  フィオリキアリ     牝 3 北村友一  55  2.02.1 37.5 15 442 (栗)清水久詞
11 8 18  アブレイズ         牝 3 藤井勘一  55  2.02.2 37.2 17 494 (栗)池江泰寿
12 3  6  ダンツエリーゼ     牝 3 太宰啓介  55  2.02.2 37.0 18 526 (栗)本田優
13 1  2  リアアメリア       牝 3 川田将雅  55  2.02.4 37.8  2 484 (栗)中内田充
14 1  1  ミヤマザクラ       牝 3 福永祐一  55  2.02.9 38.4  6 488 (栗)藤原英昭
15 8 17  ウインマリリン     牝 3 横山武史  55  2.03.1 38.7  5 464 (美)手塚貴久
16 5  9  サンクテュエール   牝 3 ルメール  55  2.03.2 38.6  8 456 (美)藤沢和雄
17 5 10  クラヴァシュドール 牝 3 M.デム  55  2.03.8 39.0  7 460 (栗)中内田充
18 2  4  ホウオウピースフル 牝 3 池添謙一  55  2.04.8 40.4 13 484 (美)大竹正博
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LAP :12.3-10.8-11.8-12.2-12.3-12.7-12.1-12.4-11.9-12.1
通過:34.9-47.1-59.4-72.1  上り:73.5-61.2-48.5-36.4  平均:1F:12.06 / 3F:36.18
単勝   13 \140 
複勝   13 \110 / 12 \540 / 8 \590 
枠連   6-7 \2580 (8) 
馬連   12-13 \2670 (8) 
ワイド 12-13 \940 (8)/ 08-13 \750 (6)/ 08-12 \9310 (65) 
馬単   13-12 \3140 (9) 
3連複 08-12-13 \17920 (56/816) 
3連単 13-12-08 \44110 (132/4896) 

デアリングタクトは道中13番手の外を進み、勝負どころで早めに動いて4コーナーで5番手に押し上げ、メンバー2位タイの35.8秒で抜け出してレースを制した。勝ちタイムは2分00秒6(稍重)。マルターズディオサが逃げて前半5F59.4秒(稍重)の速い流れ。後半5Fは61.2秒、上がりは36.4秒、ラップは12.4−11.9−12.1秒。上がりの掛かる消耗戦になり、後方を進んだ馬が掲示板を独占した。デアリングタクトは外を回って自分から動いて抜け出し、直線で後続を完封し優勝。史上初となる無敗の牝馬3冠を達成した。直線では逆手前のまま遊びながら走っており着差以上の内容。休み明けで馬体が14キロ増えて8分程度の仕上がりだった。陣営は秋華賞は勝てるため、次を見越して仕上げていたのだろう。パドックでいつもより煩かったのは、馬が走るのに納得した仕上がりでなかったせいか。過去10年で秋華賞勝ち馬はジャパンCで[2−0−0−1]で3冠牝馬ジェンティルドンナ、アーモンドアイが勝っている。アーモンドアイ、クロノジェネシス、2冠馬コントレイル、菊花賞馬と対決が楽しみだ。

マジックキャッスルは道中11番手を進み、勝負どころから直線でデアリングタクトが通った後ろを進み、直線で少し内に切れ込んでメンバー2位タイの35.8秒で伸びて0.2秒差の2着。大野騎手がデアリングタクトが直線で抜け出すとみて尾行し、大外をブン回さなかったことが良かったのだろう。オークス5着、紫苑S4着は直線でごちゃついて脚を余していた。半兄ソーグリッタリングは京都巧者。穴馬で狙ったが、激走する下地はかなり揃っていた。馬場が稍重に回復したことも良かったのだろう。陣営が浜中騎手から大野騎手に替えて勝負を懸けてきたのは、3冠牝馬アパパネ、アーモンドアイを出した国枝厩舎の意地か。重賞で2着が3回ある1勝馬。適条件を選んで使っていけばどこかで重賞を勝てそうだ。

ソフトフルートは出遅れて最後方を進み、大外からメンバー最速の35.7秒で追い込んで0.3秒差の3着。前走夕月特別を2分00秒0で4馬身差で圧勝した馬が9番人気で激走した。最後方から大外をブン回すロスのあるレースでいい脚を長く使っている。スプリンターズSでも最後方からアウィルアウェイが3着に突っ込んでいる。中山も京都も今年は馬場が重く、雨の影響もあるが、内が荒れるのが早い点に注意したい。来年2月で定年になる松田国調教師の管理馬はタイムフライヤー、ハギノアレグリアス、サムシングジャスト、サトノウィザード、ソフトフルートなど走る馬が次々と出てきている。

パラスアテナは後方から捲ってメンバー2位タイの35.8秒で追い込んで0.4秒差の4着。3着とはハナ差。紫苑Sで大外18番枠から外を回って2着に入ったのはダテではなかった。これで稍重では1、4、2、4着。ルーラーシップ産駒で少し緩くて上がりの掛かる馬場もこなすのだろう。444キロの小柄な牝馬だが、パドックではバランスのいい馬体が目立っていた。相馬眼的に良馬場で一変する可能性があるので注意したい。

リアアメリアは5番手から勝負どころで先団に取りついたが、直線で一杯になって1.8秒差の13着。ローズSは前半5F60.9秒、後半5F59.0秒。今回は前半5F59.4秒、後半5Fは61.2秒。上がりの掛かる消耗戦で先行して押し切る地力がないのだろう。17着のクラヴァシュドールもそうだが、中内田厩舎の管理馬は3歳秋または古馬になると急に走らなくなるので注意したい。



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