ジャパンC
2020/11/29 東京競馬場 芝2400m

レース展望

過去10年で1番人気は[3−2−2−3]で5連対。単勝1倍台は[1−1−0−0]、2倍台は[1−1−2−0]、3倍以上は[1−0−0−3]。信頼度は単勝オッズに比例する。2番人気は[1−1−3−5]で2連対、3番人気は[2−1−0−7]で3連対。連対馬17頭が5番人気以内、残る3頭は6、7、7番人気。過去5年の馬連は101倍、25倍、17倍、5倍、29倍で中穴決着が多い。

関東馬[1−2−2−31]、関西馬[9−8−8−69]、外国馬[0−0−0−36]。5番人気以内の関西馬が14連対。関東馬は1、2、5番人気が連対。6番人気以下は[0−0−2−21]で不振。年齢別では3歳[3−3−1−19]、4歳[4−3−3−42]、5歳[3−4−4−36]、6歳[0−0−0−24]、7歳以上[0−0−2−16]。6歳馬は3着以内がない。7歳以上は3着止まり。

アーモンドアイは史上初の芝8冠馬。前走天皇賞(秋)は前半5F5F60.5秒で3番手からメンバー3位の33.1秒で抜け出して1分57秒8で優勝。正攻法のレースで上がりをまとめて2連覇を達成した。これまで[10−2−1−1]で有馬記念9着を除き3着以内を確保。新馬戦2着、安田記念2着は出遅れ、安田記念3着はスタート後に不利があった。東京では[6−1−1−0]で出遅れなかったときは[6−0−0−0]。東京芝2400mは[2−0−0−0]でオークスとジャパンCを楽勝している。

18年のジャパンCは前半5F59.9秒で2番手からメンバー2位の34.1秒で抜け出して2分20秒6のレコードで優勝。高速馬場で1枠1番から内ラチ沿いをロスなく回ってきた。先週の東京は馬場の内側が荒れてそれなりに時計が掛かったが上がりは速かった。18年のジャパンCのときとは違う馬場だが、多少荒れていても上がりの速い馬場ならこなせる。今年のG1でルメール騎手は1番人気[7−2−0−1]、芝で良馬場なら[6−1−0−0]。現在1番人気で3連勝中。感動のラストランVなるか。

コントレイルは史上初の父子による無敗の3冠馬。ホープフルSも勝っており史上初の無敗の4冠馬ともいえる。前走菊花賞は7番手から徐々に進出し、メンバー2位タイの35.2秒でアリストテレスとの叩き合いを制し3分5秒5で優勝。道中アリストテレスにマークされて力みながら走っていたが、最後は力で捻じ伏せた。無敗の3冠達成のために適性外の菊花賞に出走したが、今後は芝3000m以上に出走することはないのだろう。無敗の3冠という最大目標を達成し、福永騎手、矢作厩舎は重圧から解放された。

東京では東スポ杯2歳Sを1分44秒5のレコードで5馬身差で圧勝。ダービーは3番手からメンバー最速の34.0秒で抜け出して2分24秒1で3馬身差で圧勝。直線で外に寄れながら遊びながら走っていた。東京ではインパクトのあるレースをしている。ちなみに前半5Fと後半5Fは東スポ杯2歳Sが58.8秒−57.4秒、ダービーが61.7秒−58.4秒だった。父ディープインパクトから心肺機能の高さを受け継いだ馬。アーモンドアイから現役最強のバトンを受け取るのか。福永騎手の技術と度胸が問われる。

デアリングタクトは史上初の無敗の3冠牝馬。前走秋華賞は13番手から4コーナーで5番手に押し上げ、メンバー2位タイの35.8秒で抜け出して2分00秒6(稍重)で優勝。上がりの掛かる消耗戦になり、後方から追い込んだ馬が上位を独占した。デアリングタクトは休み明けで馬体が14キロ増えており、直線では逆手前のまま遊びながら走っていた。オークスは後方からメンバー最速の33.1秒で差し切って2分24秒4で優勝。直線で前が詰まって内に切れ込むロスがあったが、そこから一気に加速して差し切った。

桜花賞2着のレシステンシアはマイルCS8着、オークス2着のウインマリリンはエリザベス女王杯4着、秋華賞3着のソフトフルートは同6着。接戦してきた馬たちがG1で通用していない点は気になるところ。過去10年で3歳牝馬は[2−2−0−7]、秋華賞馬は[2−0−0−1]、3冠牝馬は[2−0−0−0]でジェンティルドンナ、アーモンドアイが制している。アーモンドアイ、コントレイルを相手にするのは楽ではないが、3歳牝馬で53キロで出走できる。馬場が渋ると有利になるが、週末は雨は降らない予報。

オークス&秋華賞&ジャパンC2着馬カレンブーケドール、香港ヴァーズ勝ち馬で前走京都大賞典を勝ったグローリーヴェイズ、18年のジャパンC2着馬キセキ、昨年の菊花賞馬ワールドプレミア、前走AR共和国杯4着のユーキャンスマイルなど。カレンブーケドールはオークスで2分22秒8で走ってクビ差の2着。ジャパンCで2分26秒0(重)で走って0.1秒差の2着。秋華賞、京都記念は2着に負けたが、勝ったクロノジェネシスは宝塚記念を圧勝した。国枝厩舎はアーモンドアイと2頭出し。昨年と同じ1枠1番に入った。

グローリーヴェイズは芝2400m[3−0−0−1]で日経新春杯、香港ヴァーズ、京都大賞典を優勝。昨年の天皇賞(春)でクビ差の2着に入ったが、勝ったフィエールマンは今年の天皇賞(秋)でアーモンドアイに0.1秒差の2着。初の東京、大外枠で川田騎手がどう乗るか。キセキは芝2400m[0−3−1−2]、国内では[0−3−0−0]。18年のジャパンCは逃げて2分20秒9で走り、アーモンドアイに0.3秒差の2着。角居調教師はジャパンC[2−2−4−8]で2勝。最後のジャパンCで奇跡を起こすか。

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レース回顧

2020年11月29日(日) 5回東京9日  天候: 曇   馬場状態: 良 
12R  第40回ジャパンカップ
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定)  芝 2400m   15頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 2  2  アーモンドアイ     牝 5 ルメール  55  2.23.0 34.7  1 490 (美)国枝栄
2 4  6  コントレイル       牡 3 福永祐一  55  2.23.2 34.3  2 456 (栗)矢作芳人
3 3  5  デアリングタクト   牝 3 松山弘平  53  2.23.2 34.4  3 474 (栗)杉山晴紀
4 1  1  カレンブーケドール 牝 4 津村明秀  55  2.23.2 34.8  5 474 (美)国枝栄
5 8 15  グローリーヴェイズ 牡 5 川田将雅  57  2.23.3 35.2  4 464 (美)尾関知人
6 2  3  ワールドプレミア   牡 4 武豊      57  2.23.8 35.0  7 482 (栗)友道康夫
7 4  7  ミッキースワロー   牡 6 戸崎圭太  57  2.23.8 34.7 10 478 (美)菊沢隆徳
8 3  4  キセキ             牡 6 浜中俊    57  2.24.1 38.9  6 508 (栗)角居勝彦
9 7 12  マカヒキ           牡 7 三浦皇成  57  2.24.2 35.1 11 502 (栗)友道康夫
10 5  8 $ウェイトゥパリス   牡 7 M.デム  57  2.24.6 35.1  9 478 [外]マルチア
11 6 10  パフォーマプロミス 牡 8 岩田望来  57  2.24.8 35.6 12 466 (栗)藤原英昭
12 7 13  ユーキャンスマイル 牡 5 岩田康誠  57  2.25.0 35.7  8 498 (栗)友道康夫
13 6 11  クレッシェンドラヴ 牡 6 内田博幸  57  2.25.3 37.0 14 500 (美)林徹
14 5  9  トーラスジェミニ   牡 4 田辺裕信  57  2.25.6 37.5 15 488 (美)小桧山悟
15 8 14  ヨシオ             牡 7 勝浦正樹  57  2.29.2 40.0 13 486 (栗)森秀行
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LAP :12.7-10.8-11.8-11.3-11.3-11.5-11.8-11.9-12.1-12.3-13.2-12.3
通過:35.3-46.6-57.9-69.4  上り:73.6-61.8-49.9-37.8  平均:1F:11.92 / 3F:35.75
単勝   2 \220 
複勝   2 \110 / 6 \110 / 5 \120 
枠連   2-4 \350 (1) 
馬連   02-06 \330 (1) 
ワイド 02-06 \170 (1)/ 02-05 \190 (2)/ 05-06 \220 (3) 
馬単   02-06 \610 (1) 
3連複 02-05-06 \300 (1/455) 
3連単 02-06-05 \1340 (1/2730) 

アーモンドアイはスタートを決めて内の4番手につけ、4コーナーから直線で馬場のいい外に出すとメンバー3位タイの34.7秒で抜け出してレースを制した。勝ちタイムは2分23秒0は優秀。キセキが大逃げして前半5F57.9秒のハイペース。2番手以下は離れており、実質は平均から少し速い流れ。メンバー3、1、2位の上がりを繰り出した人気馬3頭で決着した。アーモンドアイは単勝2.2倍の1番人気に支持され、正攻法のレースで無敗の3冠馬2頭を完封。史上初の芝9冠を達成しラストランVを飾った。ルメール騎手が馬場のいいギリギリのところをロスなく回り、直線で自分のスペースを確保。ロスなく回ってスムーズなレースができたことが大きかった。馬場の内側は荒れていたが見た目以上に上がりの速い馬場で日曜はラスト3F尻上がりラップで勝つ馬が多かった。土曜とは違いアーモンドアイ向きの硬い馬場になっていた。コントレイルが社台のアーモンドアイではなく、非社台のデアリングタクトをマークしたことも有利に働いている。

アーモンドアイはこれで東京芝2000〜2400mは全てG1で5戦5勝。過去34年で天皇賞(秋)を勝った馬は[3−4−7−7]で牝馬は[0−2−1−1]で未勝利のデータを覆した。今年の古馬混合の芝1600m以上のG1は9R全てでノーザンファーム生産馬が優勝。無敗の3冠馬2頭でもノーザンファーム生産馬、ルメール騎手の牙城を崩せなかった。レースぶりを見る限り1〜3着馬は着差ほど能力差はなく、ルメール騎手が上手く乗ったことが大きかったのではないか。未勝利戦を勝ったときに相馬眼ニュースで取り上げた馬。無事に現役生活を終え、今後は繁殖生活に入る。初年度はエピファネイアがつけられる可能性が高い。産駒の誕生を楽しみに待ちたい。

コントレイルは9番手の外からメンバー最速の34.3秒で伸びて0.2秒差の2着。直線で外から伸びて最速上がりを繰り出したが、最後は脚色が鈍り、3着デアリングタクトにクビ差まで迫られた。直線で内に寄れてデアリングタクトに不利を与えており、それがなくデアリングタクトがまっすぐに走っていればコントレイルが3着だった可能性がある。アーモンドアイを負かしに行く立場だが、福永騎手はデアリングタクトをマークしていた。3冠馬コントレイルでも社台に忖度しないといけないのか。尻上がりラップになった日曜の傾向を福永騎手が分析できていなかった可能性もある。好位の外からアーモンドアイをマークして直線で叩き合う姿が見たかったというのが正直な印象。それでも2分23秒2で2着に入り、能力がトップレベルということを証明。使い込んでいるため、無事に来年を迎えてもらいたい。

デアリングタクト7番手からメンバー2位の34.4秒で伸びて0.2秒差の3着。2着コントレイルとはクビ差、4着カレンブーケドールとはハナ差。直線でコントレイルに寄られて馬場の荒れた内に切れ込む不利があったが、そこからしぶとく伸びて3着を確保したことを評価したい。かなりの勝負根性と底力がある。テイエムオペラオーが3歳時に有馬記念でグラスワンダー、スペシャルウィークに迫った姿を思い出させた。最後の伸びを見る限り、スムーズならコントレイルに勝っていた可能性がある。エルフィンSを勝った時に相馬眼ニュースで取り上げた馬。コントレイルは完成度が高いが、デアリングタクトはまだこれから大きく成長する。来年はコントレイルに負けないのではないか。目指すのはその先。日本馬初の凱旋門賞制覇を期待したい。

カレンブーケドールは7、8番手からメンバー5位の34.8秒で伸びて0.2秒差の3着。昨年のオークス2着、ジャパンC2着馬が得意の東京芝2400mで力を出し切ったが3頭が強過ぎた。2、3着馬も例年なら勝っていてもおかしくない走りをしている。これで1枠1番は2、3、1、1、1、2、4着(全て5番人気以内)。来年は荒れ馬場、渋った馬場で行われることが多い宝塚記念を狙えそうだ。水掻きがついているクロノジェネシスが強敵になる。

グローリーヴェイズは大外枠から4番手につけ、直線で早めに抜け出してメンバー9位の35.2秒で伸びて0.3秒差の5着。直線で前に行った馬が失速したため、早めに抜け出したことで寄れて走っていた。前走京都大賞典で先行して勝ったことが今回に繋がっている。香港ヴァーズでラッキーライラックに3馬身半差をつけて圧勝した馬。もう少しタメて差すレースをした方が合っているが、大外15番枠で脚をタメにくかった面もあるのだろう。

ウェイトゥパリスは最後方からメンバー7位タイの35.1秒で追い込んで1.6秒差の10着。ゲート入りを嫌がってそれで一気にテンションが上がってしまったようだ。元々スタートは遅いが、大逃げする馬がいて隊列が縦長になる展開で最後方からでは厳しかった。今後はアイルランドで種牡馬入りする予定。



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