エリザベス女王杯
2021/11/14 阪神競馬場 芝2200m

レース展望

3歳馬と古馬が争う女王決定戦。過去10年の1番人気は[2−3−2−3]で5連対。3歳馬は[0−2−1−0]、古馬は[2−1−1−3]で昨年ラッキーライラックが制した。2番人気は[1−1−1−7]で2連対、3番人気は[4−0−2−4]で4連対。6〜9番人気が6連対、10番人気以下が1連対。過去5年の馬連は137倍、80倍、98倍、33倍、22倍で中穴以上の決着が続いている。

連対馬20頭のうち14頭にG1連対、3頭にG2勝ちがあった。メンバーレベルが高く、G1実績馬が活躍している。G1連対、G2勝ちがない3頭は道悪だった。雨で馬場が渋ったら道悪巧者に注意。連対馬15頭が前走3着以内。秋華賞、府中牝馬Sで好走した馬が活躍。前走4着以下から連対した5頭のうち4頭が府中牝馬S4、5、5、7着、1頭がオールカマー5着。前走8着以下は[0−0−1−40]。

レイパパレは[6−0−1−1]でデビューから6連勝で大阪杯(重)を4馬身差で優勝。2走前の宝塚記念は2番手から4位の35.0秒で上がって0.5秒差の3着。クロノジェネシスに差され、最後にユニコーンライオンに差し返された。前走オールカマーは2番手から8位タイの35.6秒で上がって0.4秒差の4着。伸び切れないのは、芝2200mが微妙に長いのか、56キロが重いのか。3戦連続で芝2200m、56キロ。デビューから川田騎手が騎乗してきたが、ルメール騎手に乗り替わる。大逃げする手もあるか。

アカイトリノムスメは[4−1−0−2]で前走秋華賞を好位の外から3位タイの35.9秒で抜け出して2分1秒2で優勝。父ディープインパクト、母アパパネの3冠馬配合の超良血馬が母子制覇を達成。差し追い込み馬が上位を独占した芝2400mのオークスで2着に入っており距離はこなせる。過去10年で秋華賞馬は[1−1−0−3]、1番人気はおらず、2番人気なら[1−1−0−1]でメイショウマンボが勝ち、アヴェンチュラが2着。母の3冠馬アパパネはエリザベス女王杯で1番人気で3着だった。鞍上は戸崎騎手。

日経賞&オールカマー勝ち馬ウインマリリン、目黒記念勝ち馬ウインキートス、ダービー卿CT&クイーンS勝ち馬テルツェット、中山牝馬S勝ち馬でヴィクトリアマイル2着のランブリングアレー、阪神牝馬S勝ち馬デゼル、マーメイドS勝ち馬シャムロックヒル、同2着馬クラヴェル、昨年の6着馬ソフトフルート、忘れな草賞勝ち馬ステラリアなど。土曜は晴れ、日曜は晴れ時々曇りで雨は降らない予報。阪神は連続開催の4日目で今週もAコースで行われる。高速馬場ではなく、適度に時計、上がりが掛かっている。

ウインマリリンは前走オールカマーを先行抜け出しで2分11秒9で優勝。直線で前が詰まって切り替えるロスがあったが、そこからひと伸びして差し切った。昨年のエリザベス女王杯は差し追い込み馬が上位を独占する中、先行して0.4秒差の4着に粘っている。横山武騎手は勝てばG1−3連勝となる。ウインキートスは目黒記念で重賞初制覇。前走オールカマーは好位から最速タイの35.1秒で上がって0.3秒差の2着。芝2200mは[1−2−0−0]だが、初の関西遠征、56キロがどう出るか。丹内騎手が騎乗する。

過去10年でノーザンF生産馬は[5−4−8−45]で1、3、3、3、6番人気が勝ち、1、2、5、6番人気が2着、1、2、3、3、4、4、5、6番人気が3着。アカイトリノムスメ、エアジーン、クラヴェル、テルツェット、レイパパレが出走する。社台F生産馬は[1−3−0−23]で3番人気が勝ち、1、1、12番人気が2着。シャムロックヒル、デゼル、ランブリングアレーが出走する。社台白老F生産馬は[0−0−0−8]で3着以内がない。ステラリアが出走する。

過去10年で6番人気以下で連対した馬は6、6、7、7、9、9、12番人気。今年の8番人気前後はランブリングアレー、デゼル、クラヴェル、ソフトフルート、ステラリアあたりか。枠順、馬場設定など考慮すべき点はあるが、穴っぽいところでは、少し大振りしてステラリアはどうか。忘れな草賞を中団の外から最速の34.3秒で差し切って1分58秒0で優勝。0.2秒差の2着エイシンヒテンはローズSで2着、秋華賞で4着に粘っている。前走秋華賞は出遅れて流れに乗れず、後方から2位の35.7秒で追い込んで0.5秒差の6着。この内容では通用しないが、なんとなく08年に勝ったリトルアマポーラの匂いがする。


レース回顧

2021年11月14日(日) 5回阪神4日  天候: 晴   馬場状態: 良 
11R  第46回エリザベス女王杯
3歳以上・オープン・G1(定量) (牝)(国際)(指定)  芝 2200m・内   17頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 8 16  アカイイト         牝 4 幸英明    56  2.12.1 35.7 10 514 (栗)中竹和也
2 3  5  ステラリア         牝 3 松山弘平  54  2.12.4 36.1  7 490 (栗)斉藤崇史
3 1  2  クラヴェル         牝 4 横山典弘  56  2.12.5 36.1  9 456 (栗)安田翔伍
4 6 11  ソフトフルート     牝 4 岩田望来  56  2.12.5 36.0 11 488 (栗)斉藤崇史
5 2  4  イズジョーノキセキ 牝 4 和田竜二  56  2.12.5 36.5 12 462 (栗)石坂公一
6 1  1  レイパパレ         牝 4 ルメール  56  2.12.6 36.9  1 442 (栗)高野友和
7 2  3  アカイトリノムスメ 牝 3 戸崎圭太  54  2.12.6 36.7  2 452 (美)国枝栄
8 6 12  デゼル             牝 4 武豊      56  2.12.7 36.3  8 484 (栗)友道康夫
9 3  6  ランブリングアレー 牝 5 吉田隼人  56  2.12.8 36.9  6 478 (栗)友道康夫
10 8 15  ウインキートス     牝 4 丹内祐次  56  2.12.8 36.6  5 470 (美)宗像義忠
11 4  8  テルツェット       牝 4 M.デム  56  2.13.0 36.8  4 424 (美)和田正一
12 5 10  ムジカ             牝 4 秋山真一  56  2.13.0 36.4 15 450 (栗)鈴木孝志
13 8 17  コトブキテティス   牝 4 柴田善臣  56  2.13.2 36.6 16 440 (美)田島俊明
14 7 13  リュヌルージュ     牝 6 富田暁    56  2.14.5 38.0 17 474 (栗)四位洋文
15 4  7  シャムロックヒル   牝 4 団野大成  56  2.14.5 38.9 13 502 (栗)佐々木晶
16 5  9  ウインマリリン     牝 4 横山武史  56  2.14.7 38.9  3 472 (美)手塚貴久
17 7 14  ロザムール         牝 5 池添謙一  56  2.16.7 41.0 14 494 (美)上原博之
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LAP :12.2-10.7-11.2-12.5-12.4-12.3-12.1-12.2-12.2-11.8-12.5
通過:34.1-46.6-59.0-71.3  上り:73.1-60.8-48.7-36.5  平均:1F:12.01 / 3F:36.03
単勝   16 \6490 
複勝   16 \1180 / 5 \650 / 2 \810 
枠連   3-8 \2610 (12) 
馬連   05-16 \51870 (58) 
ワイド 05-16 \9600 (56)/ 02-16 \15440 (69)/ 02-05 \7450 (51) 
馬単   16-05 \137500 (128) 
3連複 02-05-16 \282710 (271/680) 
3連単 16-05-02 \3393960 (1838/4080) 

アカイイトは出遅れて後方を進み、3コーナーから外を回って進出し、メンバー最速の35.7秒で直線で一気に先頭に立つと後続を引き離し2馬身半差で圧勝した。勝ちタイムは2分12秒1。シャムロックヒルが逃げて前半5F59.0秒。後半5F60.8秒、上がりは36.5秒、ラップは12.2−11.8−12.5秒。例年とは違う速い流れで上がりの掛かる消耗戦になり、重賞未勝利で7番人気以下の差し追い込み馬が1〜5着を独占した。3連単は10−7−9番人気で339万馬券。アカイイトは道中ラップが落ちない消耗戦で差し馬向きの展開になったとはいえ、大外を回って早めに動いて2馬身差で圧勝したのだから大したもの。デビューから最速上がりを連発していた馬がG1初挑戦で10番人気で制した。

今年のメンバーで昨年秋以降、芝1800m以上、前半5F59.8秒以内、後半5F59.8秒以上で勝った馬は、アカイイト(垂水S)、ステラリア(未勝利戦)、レイパパレ(大阪杯)の3頭しかおらず、今年良馬場で勝ったのはアカイイトしかいなかった。社台がレイパパレを勝たせるためにシャムロックヒルが逃げて飛ばして消耗戦に持ち込んだが、それがアカイイトに大きなプラスとなった。キズナ産駒のワンツー決着。キズナ産駒はG1初制覇となった。阪神芝2200mで行われる来年の京都記念に出走したら注意したい。生産した辻牧場は1977年のエリザベス女王杯を勝ったインターグロリア以来となる芝G1制覇となった。次走は有馬記念に向かう予定。

ステラリアは中団の外からメンバー3位タイの36.1秒で伸びて0.3秒差の2着。勝負どころでアカイイトに来られて少しスムーズさを欠いた。そこがスムーズならもう少し差は詰まったのではないか。前走秋華賞は外から追い込んで0.5秒差の6着に終わったが、武豊騎手が出遅れて流れに乗れず、まともに走っていなかった。忘れな草賞を中団から最速の34.3秒で差し切って1分58秒0で勝ったが、0.2秒差の2着エイシンヒテンはローズSで2着、秋華賞で4着に粘っている。レース展望で穴っぽい馬として「なんとなく08年に勝ったリトルアマポーラの匂いがする」と書いたが、そのイメージは合っていた。今後は休養して来年に備える予定。

クラヴェルは14番手からメンバー3位タイの36.1秒で最内から追い込んで0.4秒差の3着。横山典騎手がイメージ通り、最内を突いて持ってきた。これで重賞では2、3、3、3着で4戦連続で馬券圏内を確保。芝2200mで56キロを背負ってこれまで以上に厳しい条件だったが、少しずつ地力が強化され、パフォーマンスを引き上げている。祖母ディアデラノビア、母ディアドラメドレで奥手の一族。大事に使っていけば、どこかで重賞制覇がありそうだ。

レイパパレは4番手に控え、直線で先頭に立ったが、最後に一杯になって0.5秒差の6着。上がりはメンバー12位タイの36.9秒。前に行った馬が15、16、17着に終わる中、最先着と粘ったが、道中折り合いを欠き気味、かつ勝負どころで躓いたことが響いた。ハナを切って自分のペースでストレスなく走るのが合っている。社台はシャムロックヒルを逃げさせてレイパパレ向きの消耗戦にしたが、想定より流れが速くなって差し追い込みを誘発した。逃げて自分のペースで進めれば、勝ち負けできたのではないか。次走は香港カップに向かうプランがあるようだ。

アカイトリノムスメはレイパパレをマークして5番手につけ、メンバー10位の36.7秒で上がって0.5秒差の7着。前に行った馬が壊滅状態になる中、レイパパレにクビ差の7着に粘った。直線でアカイイトに外から来られて少しスムーズさを欠いたことが堪えた。秋華賞は前半5F61.2秒のスローペース。持久力の問われるレースで好位づけでは厳しかったか。母アパパネは秋華賞で3冠を達成した後[1−0−2−7]で翌年ヴィクトリアマイルを優勝。オークス、秋華賞は時計面のレベルが低い。深追いしないようにしたい。

デゼルは後方からメンバー5位の36.3秒で大外から伸びて0.6秒差の8着。最後に外から伸びてきたが、位置取りが後ろ過ぎた。勝負どころで前に馬がいて仕掛けが遅れ、それによってなかなかエンジンが掛からなかったことが堪えた。相馬眼的に走る馬の独特の雰囲気を持った馬。条件が噛み合うと一気にパフォーマンスを引き上げる可能性がある。

ランブリングアレーは中団から早めに押し上げて直線でレイパパレの2番手に上がったが、そこで一杯になって0.7秒差の9着。上がりはメンバー12位タイの36.9秒。吉田隼騎手がレイパパレをマークして早めに動いて見せ場は作ったが、流れが速くなって消耗戦になり過ぎたことが堪えた。来年は6歳になるため引退は近い。社台の引退が近い6歳牝馬は、春の重賞で激走することが多いので注意したい。



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