プロキオンS
2022/7/10 小倉競馬場 ダ1700m

レース展望

昨年と同様に小倉ダ1700mで行われる。過去10年で1番人気は[2−2−2−4]で4連対。過去3年は5、8、6着で3着以内がなく不振。2番人気は[2−2−2−4]で4連対、3番人気は[0−2−0−8]で2連対。連対馬16頭が5番人気以内、残る4頭は8、9、12、14番人気。過去5年は8倍、27倍、19倍、221倍、536倍。昨年は9−14−12番人気で3連単194万馬券が飛び出した。

連対馬20頭のうち16頭が前走5着以内。前走ダートのOP特別で連対した馬は[4−2−5−16]、5番人気以内なら[4−2−5−8]で6連対。前走OP特別で連対した人気馬に注目したい。小倉ダ1700mで行われた昨年の1〜3着馬は道中5−2−1番手につけた4、5歳馬だった。小倉ダ1700mは前に行った馬が残りやすい。穴でダ1700mで実績がある逃げ先行タイプの4、5歳馬を絡めたい。

過去10年でノーザンF生産馬は[1−2−2−13]で2番人気が勝ち、3、4番人気が2着、1、10番人気が3着。ヴェルテックス、エクレアスパークル、ラーゴムが該当する。社台F生産馬は[0−1−0−9]で8番人気が2着。今年は出走馬がいない。G1に繋がりにくい重賞で社台生産馬はそれほど活躍していない。社台馬主の馬は3着以内がなく不振が続いている。今年社台馬主の馬はヴェルテックスのみ。

ラーゴムは昨年のきさらぎ賞勝ち馬。初ダートの仁川Sは1.1秒差の6着に終わったが、前走吾妻小富士Sを2番手から4位の36.6秒で抜け出して1分43秒3(重)で優勝。他馬より重い58キロを背負い、ダート2戦目で走りが一変した。今回は2キロ減の56キロで出走できる。セレクトセールで5076万円で取り引きされた馬。オルフェーヴル産駒ではマルシュロレーヌがBCディスタフを勝つなどダート重賞を5勝している。JRAダート重賞で鮫島駿騎手は[0−2−1−9]。今回初めて4番人気以内に支持されそうだ。

サンライズウルスはダート[4−1−1−2]で7戦が上がり最速。2走前の下総Sは3着に終わったが、勝ったテリオスベルはスレイプニルSを制した。前走立夏Sは好位から最速の35.2秒で抜け出して1分36秒0で3馬身差で圧勝。直線で鞭を入れておらず、能力の違いを見せつける勝ち方だった。安田翔厩舎のヘニーヒューズ産駒で母系にトゥザヴィクトリー。過去10年で前走3勝Cを3馬身差以上で圧勝した馬は[1−1−0−0]。初のダ1700mをこなせるかがカギ。横山和騎手から後方ポツンの横山典騎手に乗り替わる。

昨年の宝塚記念2着馬ユニコーンライオン、昨年のJBCスプリント2着馬サンライズノヴァ、スレイプニルS3着馬ゲンパチルシファー、ブリリアントS勝ち馬アルドーレ、昨年の平安S2着馬アメリカンシード、20年の東海S勝ち馬エアアルマス、昨年のプロキオンS3着馬メイショウウズマサ、名古屋GP勝ち馬ヴェルテックスなど伏兵は多士済々。今年はダート重賞勝ち馬がエアアルマス(57キロ)、サンライズノヴァ(58キロ)、ヴェルテックス(58キロ)しかおらず高齢馬が多い。小倉で行われた昨年は4−5−5歳馬で決着。

ユニコーンライオンは蹄の病気で昨年の宝塚記念2着以来のレースとなる。ダートでは15、11着だが、パワータイプで適性はある。昨年長期休み明けのストークSは3着。そのとき騎乗した川須騎手が騎乗する。サンライズノヴァはダート重賞5勝の実力馬。過去10年で8歳馬は[0−1−1−15]。初のダ1700mで松若騎手がどう乗るか。ヴェルテックスはダ2500mの名古屋GPを勝ったが、小倉ダ1700mは[1−3−2−0]で3着以内を確保。重賞で西村騎手は[1−1−1−50]、ダートでは[0−0−0−5]。


レース回顧

2022年 7月10日(日) 3回小倉4日  天候: 晴   馬場状態:稍重
11R  第27回プロキオンS
3歳以上・オープン・G3(別定) (国際)(指定)  ダート 1700m   16頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 6 12  ゲンパチルシファー 牡 6 川田将雅  56  1.43.7 37.6  4 520 (栗)佐々木晶
2 5 10  ヒストリーメイカー 牡 8 小沢大仁  56  1.43.8 37.5 14 520 (栗)新谷功一
3 5  9  サクラアリュール   牡 7 藤岡康太  56  1.43.9 37.6 12 478 (栗)村山明
4 2  3  ロードレガリス     牡 7 富田暁    56  1.43.9 37.4 13 522 (栗)野中賢二
5 7 14  ヴェルテックス     牡 5 西村淳也  58  1.44.4 37.9 10 528 (栗)吉岡辰弥
6 3  6 $アンセッドヴァウ   セ 5 団野大成  56  1.44.5 38.0 16 468 (栗)中竹和也
7 1  2  サンライズノヴァ   牡 8 松若風馬  58  1.44.7 37.9  7 534 (栗)音無秀孝
8 3  5  メイショウウズマサ 牡 6 北村友一  56  1.45.0 39.1  5 502 (栗)安田隆行
9 2  4  エブリワンブラック 牡 5 岩田望来  56  1.45.1 38.4 11 496 (栗)武幸四郎
10 4  7  アルドーレ         牡 7 和田竜二  56  1.45.1 38.5  3 494 (栗)西村真幸
11 8 15  サンライズウルス   牡 4 横山典弘  56  1.45.4 37.7  2 484 (栗)安田翔伍
12 8 16  ラーゴム           牡 4 鮫島克駿  56  1.45.7 39.4  1 522 (栗)斉藤崇史
13 1  1 $エアアルマス       牡 7 松山弘平  57  1.45.7 40.0  6 492 (栗)池添学
14 4  8  エクレアスパークル 牡 8 荻野極    56  1.46.3 40.2  9 474 (栗)今野貞一
15 6 11  トップウイナー     牡 6 城戸義政  56  1.46.6 40.7 15 460 (栗)鈴木孝志
16 7 13 $ユニコーンライオン 牡 6 川須栄彦  56  1.49.6 42.9  8 516 (栗)矢作芳人
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LAP : 7.0-10.6-11.7-12.1-11.9-12.4-12.9-12.4-12.7
通過:*35.3-47.4-59.5-72.1  上り:74.4-62.3-50.4-38.0  平均:1F:12.20 / 3F:36.60
単勝   12 \700 
複勝   12 \240 / 10 \1490 / 9 \910 
枠連   5-6 \9500 (28) 
馬連   10-12 \29630 (76) 
ワイド 10-12 \6500 (71)/ 09-12 \3530 (42)/ 09-10 \15320 (98) 
馬単   12-10 \42130 (128) 
3連複 09-10-12 \147360 (323/560) 
3連単 12-10-09 \719650 (1620/3360) 

ゲンパチルシファーは7番手から徐々に進出し、メンバー3位タイの37.6秒で抜け出してレースを制した。勝ちタイムは1分43秒7。エアアルマス、メイショウウズマサ、トップウイナーが競り合って前半5F59.5秒の速い流れになり、差し追い込み馬が上位を独占した。ゲンパチルシファーは6枠12番スタートから川田騎手が内に入れて脚をタメ、向こう正面で外に出して自分のスペースを確保し、直線で抜け出して後続を完封した。これで小倉ダ1700mは[2−1−2−0]。馬が小倉巧者ということもあるが、川田騎手が抜群の立ち回りだった。OP入りして2、7、7、4、3着に終わった馬が得意の小倉で重賞初制覇を飾った。

2019年以降、川田騎手、佐々木晶厩舎のコンビは[14−7−4−8]で勝率42.4%、連対率63.6%、複勝率75.8%。33頭のうち32頭が4番人気以内に支持されている。これまでは条件戦のみだったが、今回初めて重賞に出走し結果を出した。佐々木晶調教師が川田騎手を乗せてきたときは注意したい。今回の勝利で佐々木晶厩舎はJRA重賞通算50勝のメモリアルとなった。新潟で勝つと全十場重賞制覇となる。ヴェローナシチーが来年の新潟大賞典、新潟記念あたりでチャンスがありそうだ。

ヒストリーメイカーは10番手から外を回って進出し、メンバー2位の37.5秒で上がって0.1秒差の2着。外を回って早めに仕掛けたが、いい脚を長く使っている。川田騎手が上手く立ち回ったゲンパチルシファーより、厳しいレースをしていることを考慮しておきたい。みやこS、マーチS、アンタレスSで2着がある実力馬。前走平安S15着惨敗、8歳馬、2年目の小沢騎手で14番人気だったが、まだ大きな衰えがないことを示した。小沢騎手は重賞[0−1−0−5]で初めて連対。昨年31勝で38位、今年は16勝で42位。

サクラアリュールは14番手から徐々に押し上げ、メンバー3位タイの37.6秒で上がって0.2秒差の3着。道中馬込みでロスなく進み、外に出さずに馬込みを捌きながら上がってきた。前走スレイプニルSでメンバー最速の36.0秒で上がって2着に入り、ハナ差の3着がゲンパチルシファーだった。今回はゲンパチルシファーに川田騎手が騎乗して上手く立ち回れて先着を許したが、得意とはいえないダ1700mでいい脚を長く使って12番人気で激走した。速い流れで前崩れになったこと、ブリンカーの効果もあるのだろう。

ロードレガリスは中団の内をロスなく進み、直線で外に出してメンバー最速の37.4秒で上がって0.2秒差の4着。1年1ヶ月ぶりの出走、富田騎手で13番人気だったが、最速上がりを繰り出して能力を示した。地方2連勝、中央4連勝でアルデバランSを勝った馬。前5走は57〜58キロを背負っていた馬が56キロで出走できたことも良かったのだろう。ダ1800〜1900mは[6−0−0−2]。次走適距離で鞍上を強化してきたら要注意。

サンライズウルスは出遅れて離れた最後方を進み、メンバー5位の37.7秒で上がって1.7秒差の11着。4コーナーで届かないとみた横山典騎手は諦めて軽く仕掛けただけで追わなかった。前2走は横山和騎手が騎乗し好位につけて競馬を教えたが、今回は横山典騎手がお得意の後方ポツンだった。21年以降、小倉で横山典騎手は[0−2−1−13]、2番人気以下では[0−0−1−13]。横山典騎手は「走る方へ気が向かないタイプ」とコメント。これは馬ではなく、自分のことか。OPでやれる馬。

ラーゴムは6番手の外から伸び切れず2.0秒差の12着。上がりはメンバー12位の39.4秒。向こう正面でゲンパチルシファーが外に出した時にあっさり道を譲り、大外をブン回したことが堪えた。川田騎手の技術か、それとも圧か。1番人気に支持されたが、タフなレースの経験が少なかったこともあるか。今年の平地重賞で1番人気は[11−15−9−35]で勝率15.7%。川田騎手は[1−0−1−5]、ルメール騎手は[0−3−0−4]、福永騎手は[0−1−0−3]。これを見ても1番人気がいかに不振かが分かる。



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