桜花賞
2025/4/13 阪神競馬場 芝1600m

レース展望

牝馬クラシック第一弾。過去10年で1番人気は[1−4−1−4]で5連対。勝ったのは単勝1.6倍のリバティアイランドのみ。2番人気は[5−1−0−4]で6連対、3番人気は[1−2−2−5]で3連対。6〜9番人気が5連対、10番人気以下は[0−0−0−88]で出番なし。過去5年の馬連は11倍、6倍、37倍、12倍、6倍で中穴止まり。人気馬同士の決着を押さえ、人気薄を絡めて中穴を狙うのが妙味。

連対馬18頭が前走3着以内。過去9年の連対馬18頭のうち17頭が前走3着以内。前走重賞好走馬が活躍している。前走4着以下から連対した2頭はチューリップ賞5、11着。チューリップ賞組の巻き返しに注意。
ノーザンF生産馬は[5−8−4−51]、2番人気以内なら[5−5−0−5]。社台F生産馬は[2−0−3−22]で3、7番人気が優勝。社台系生産の人気馬、特にノーザンF生産馬に注目したい。

エンブロイダリーは[3−1−0−1]で新潟芝1800mの未勝利戦を逃げて1分45秒5のレコードで7馬身差で圧勝。東京芝1400mの1勝Cは6番手から最速の33.1秒で差し切り1分22秒7で優勝。クイーンCは2番手から5位の34.9秒で抜け出して1分32秒2の好タイムで2馬身半差で圧勝。前半5F57.2秒の速い流れで勝ちタイムは前週の東京新聞杯より0.4秒速かった。シルクHCで3000万円で募集された森一誠厩舎のアドマイヤマーズ産駒で母系にビワハイジ。ルメール騎手からモレイラ騎手に乗り替わる。

エリカエクスプレスは京都芝内1600mの新馬戦を逃げて4位の36.0秒で上がって1分34秒7(稍重)で2馬身半差で圧勝。クイーンCは内ラチ沿いの3番手から4コーナーから直線で外に出すと4位タイの35.1秒で抜け出して1分32秒8の好タイムで3馬身差で圧勝。前半5F57.3秒のハイペースで前崩れになってもおかしくない展開だったが、3番手から押し切って3馬身差で圧勝したのだから強い。多頭数のG1で揉まれたときにどうかというのはあるが、1枠から前に行けば関係ないか。関西圏の戸崎騎手は少し気になる。

アルマヴェローチェは札幌2歳Sで中団から勝負どころで内に入れると最速の36.3秒で上がってマジックサンズにハナ差の2着。前走阪神JFは7番手から最速の34.3秒で外から差し切って1分33秒4で優勝。札幌で稍重の新馬戦を勝ち、重馬場の札幌2歳Sで2着に入った馬が阪神外回りの良馬場で最速上がりで差し切ってパフォーマンスを引き上げた。セレクトセール3300万円の上村厩舎のハービンジャー産駒で近親に朝日杯FS2着馬モンドキャンノ。2戦連続で岩田望騎手が騎乗する。上村厩舎は2週連続G1制覇なるか。

阪神JF2着馬ビップデイジー、チューリップ賞勝ち馬クリノメイ、同2着馬ウォーターガーベラ、フィリースレビュー勝ち馬ショウナンザナドゥ、同2着馬チェルビアット、同3着馬ボンヌソワレ、きさらぎ賞2着馬リンクスティップ、エルフィンS勝ち馬ヴーレヴー、アルテミスS勝ち馬ブラウンラチェット、クイーンC2着馬マピュース、紅梅S勝ち馬ナムラクララなど伏兵は多士済々。金曜と土曜は晴れるが、日曜は曇り時々雨の予報が出ている。大阪杯で1分56秒2のレコードが出たように超高速馬場。雨の影響が気になるところ。

ビップデイジーは[2−1−1−0]で新馬、紫菊賞を2連勝。阪神JFはアルマヴェローチェに0.2秒差の2着、チューリップ賞はクリノメイに0.1秒差の3着。セレクトセール5720万円の松下厩舎のサトノダイヤモンド産駒で近親にダンビュライト。自在性がある馬。幸騎手がどう乗るか。今年は前走前に行って好タイム勝ちしたエンブロイダリー、エリカエクスプレスが前に行ってガチンコ勝負。ミストレスが逃げないと2頭がハナ、2番手もある。そのまま前残りになるのか、差しが決まるのかどうか。人気薄に面白そうな馬がいる。


調教診断

★アルマヴェローチェ
栗CWで3頭併せで馬なりのまま先着。しなやかなフットワークでラスト11.4秒。1週前に栗CWで2頭併せで強めに追って先着。久々も馬体、気配目立つ。

★エリカエクスプレス
栗坂で馬なり調教。キビキビとしたフットワークで余力十分にラスト11.7秒。1週前に栗CWで強めに追って好タイムを出し、ラスト11.2秒。デキは安定。

★エンブロイダリー
栗坂で2頭併せで馬なりのまま先着。気合乗りが良く、大きなストライドで動いている。1週前に栗CWで2頭併せでラスト11.1秒で先着。太め感なく仕上がる。

★ビップデイジー
栗坂で馬なり調教。前向きさがあり、重心の低いフットワークで余力十分。1週前に栗坂で2頭併せで強めに追ってラスト11.8秒で先着。叩いてデキは上向き。

★マピュース
美坂で2頭併せで馬なりのまま先着。しっかりとした脚捌きで余力十分。1週前に南Wで2頭併せで馬なりのままラスト11.5秒で先着。叩いて動き、気配良化。

次点(上位5頭に入らなかった馬)
☆ショウナンザナドゥ
☆リンクスティップ


レース回顧

2025年 4月13日(日) 2回阪神6日  天候: 雨   馬場状態:稍重
11R  第85回桜花賞
3歳・オープン・G1(馬齢) (牝)(国際)(指定)  芝 1600m・外   18頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 4  7  エンブロイダリー   牝 3 モレイラ  55  1.33.1 34.0  3 482 (美)森一誠
2 5  9  アルマヴェローチェ 牝 3 岩田望来  55  1.33.1 33.9  2 496 (栗)上村洋行
3 6 12  リンクスティップ   牝 3 M.デム  55  1.33.5 34.0  4 472 (栗)西村真幸
4 2  3  マピュース         牝 3 田辺裕信  55  1.34.0 34.7  9 486 (美)和田勇介
5 1  2  エリカエクスプレス 牝 3 戸崎圭太  55  1.34.2 35.6  1 456 (栗)杉山晴紀
6 7 13  チェルビアット     牝 3 北村友一  55  1.34.2 34.5 12 482 (栗)高野友和
7 8 17  プリムツァール     牝 3 津村明秀  55  1.34.2 34.6 18 450 (美)蛯名正義
8 1  1  ヴーレヴー         牝 3 浜中俊    55  1.34.5 35.4 10 480 (栗)武幸四郎
9 8 18  ブラウンラチェット 牝 3 横山武史  55  1.34.5 34.8  8 444 (美)手塚貴久
10 2  4  ショウナンザナドゥ 牝 3 池添謙一  55  1.34.9 36.1  6 440 (栗)松下武士
11 3  6  ビップデイジー     牝 3 幸英明    55  1.35.0 36.1  5 440 (栗)松下武士
12 3  5  ボンヌソワレ       牝 3 川田将雅  55  1.35.1 36.2 13 442 (美)宮田敬介
13 8 16  ナムラクララ       牝 3 藤岡佑介  55  1.35.7 37.0 16 464 (栗)長谷川浩
14 4  8  ウォーターガーベラ 牝 3 武豊      55  1.35.7 36.3 11 438 (栗)石橋守
15 7 15  クリノメイ         牝 3 酒井学    55  1.36.0 37.3  7 440 (栗)須貝尚介
16 7 14  ダンツエラン       牝 3 団野大成  55  1.36.9 37.5 17 488 (栗)本田優
17 6 11  ミストレス         牝 3 坂井瑠星  55  1.37.9 39.0 14 478 (栗)矢作芳人
18 5 10  トワイライトシティ 牝 3 松山弘平  55  1.38.3 39.1 15 452 (栗)杉山晴紀
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LAP :12.3-10.7-11.5-12.1-12.0-11.7-11.4-11.4
通過:34.5-46.6-58.6-70.3  上り:70.1-58.6-46.5-34.5  平均:1F:11.64 / 3F:34.91
単勝   7 \500 
複勝   7 \200 / 9 \150 / 12 \200 
枠連   4-5 \860 (2) 
馬連   07-09 \1000 (2) 
ワイド 07-09 \490 (3)/ 07-12 \690 (7)/ 09-12 \400 (2) 
馬単   07-09 \2000 (6) 
3連複 07-09-12 \2200 (3/816) 
3連単 07-09-12 \11060 (17/4896) 

エンブロイダリーは少し出遅れた後に内に入れて中団を進み、直線で馬群を捌きながら外に出すとメンバー2位タイの34.0秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは1分33秒1(稍重)。エリカエクスプレスが逃げて前半3F34.5秒、5F58.6秒のやや速い流れ。上がりは34.5秒、ラップは11.7−11.4−11.4秒で尻上がり&持続ラップ。外が伸びる馬場、エリカエクスプレスが飛ばしたことで差し追い込み馬が上位を独占した。中盤に12.1−12.0秒と流れが緩んだとはいえ、ラスト2F11.4−11.4秒は優秀。3着に0.4秒差をつけた上位2頭はかなり強いレースをしている。モレイラ騎手は昨年の桜花賞をステレンボッシュで制しており2連覇となった。

エンブロイダリーはモレイラ騎手が馬込みでロスなく進め、直線で馬群を捌きながら外に出し、進路を確保して伸びてきた。直線でアルマヴェローチェに一旦前に出られたが、すぐに交わすと最後まで脚色が衰えなかった。前走クイーンCを前週の東京新聞杯より0.4秒速い1分32秒2の好タイムで勝ったのはやはりダテではない。飛びが大きいため、馬場悪化が懸念されたが、予報より雨が降らず、稍重で止まったことも良かったのだろう。母系にビワハイジ、近親にブエナビスタがいる。逃げ差し自在なのは今後も大きな武器になる。パドックではアルマヴェローチェ、エンブロイダリーの馬体が目立った。次走オークスでもこの2頭が有力になる。

アルマヴェローチェは道中11番手を進み、直線で外からメンバー最速の33.9秒で上がってクビ差の2着。道中エンブロイダリーを外からマークして外に出させないようにし、4コーナーから直線で外に出して最速上がりで伸びてきたが、モレイラ騎手が馬群を捌いてきたエンブロイダリーに競り負けた。岩田望騎手はG1では位置取りが悪くなることが多いが、今回はエンブロイダリーをマークして上手く進めたが、馬群を捌いてきた馬に競り負けたのだからモレイラ騎手と馬を褒めるべきか。阪神JF以来のレースで馬体が12キロ増えていたが、太くはなくほとんどが成長分。エンブロイダリーより長い距離の適性は高い。オークスでリベンジなるか。

リンクスティップは出遅れて離れた最後方を進み、勝負どころで大外から少し押し上げるとメンバー2位の34.0秒で上がって0.4秒差の3着。未勝利戦1着、きさらぎ賞2着は先行していたため、前に行くと思われたが、離れた最後方から大外をブン回して3着まで追い上げた。まだ馬体の線が細く、腹目も薄く映るが、牡馬相手のきさらぎ賞で2着に入ったことはダテではないことを示した。デビューから2戦とも芝2000mを使ったように距離は長い方が合うタイプ。半兄デュアルウィルダーは青葉賞で3着に入っている。次走オークスは出遅れずに末脚の持続力を生かせるレースになれば、激走があるかもしれない。

マピュースは出遅れて内ラチ沿いの12番手を進み、直線で最内を突いてメンバー6位の34.7秒で上がり0.9秒差の4着。一瞬見せ場を作ったが、外か伸びる馬場で伸び切れなかった。10Rの大阪−ハンブルクCのレースを見れば、外が伸びるのは明らかだったが、田辺騎手は内が悪くなく走れると思って内を選択した模様。まさか10Rのパトロールビデオを見ていないのか。出遅れて伸びない内を突いて4着なら悪くない。予想に書いたようにデータ的にはG1を勝ってもおかしくない馬。デビューから芝1600mを使ってきたため、次走はNHKマイルCか。ちなみに田辺騎手はNHKマイルCでは[0−0−0−8]で5着が最高。ありゃま(笑)

エリカエクスプレスは1枠1番からハナを切って前半5F58.6秒(稍重)で飛ばし、メンバー9位の35.6秒で上がって1.1秒差の5着。内でごちゃつくのを嫌ってハナを切る作戦に出たのだろう。1〜4着、6〜9着は差し追い込み馬で前に行って粘ったのはエリカエクスプレスだけ。フェアリーSを1分32秒8で3馬身差で圧勝したように能力はあるが、稍重の馬場でハナを切って飛ばし過ぎたことが堪えた。戸崎騎手は東京マイルG1に強いが、乗り慣れていない関西圏のG1では連対を外すことが多い。エリカエクスプレスはスピードがあるため、NHKマイルCに向かう手もあるが、戸崎騎手でオークスに向かうことになった。



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