天皇賞(春)
2025/5/4 京都競馬場 芝3200m

レース展望

過去10年で1番人気は[4−3−0−3]で7連対。17年以降は[4−3−0−1]、菊花賞馬は[3−0−0−1]で堅実。2番人気は[5−0−1−4]で5連対、3番人気は[1−0−1−8]で1連対。6〜9番人気、10番人気以下は各2連対。過去5年の馬連は57倍、9倍、5倍、40倍、10倍。23年は単勝1倍台のタイトルホルダーが競走を中止し、2−5番人気で中穴決着。本命を押さえて中穴を狙うのが妙味。

連対馬16頭が前走3着以内。前走G1、G2好走馬が活躍している。残る4頭は前走G1で4、13着、G2で5、6着から巻き返した。前走G3は[0−1−1−20]で1連対のみ。前走重賞以外は[0−0−0−12]で出番なし。連対馬15頭に芝3000m以上のG1で3着以内があった。天皇賞(春)、菊花賞で3着以内がある馬に注目。過去10年で菊花賞馬が7勝を挙げているが、今年は菊花賞馬の出走がない。

ヘデントールは[5−2−0−1]で青葉賞8着を除き連対を確保。菊花賞は後方2番手から4コーナーで5番手に押し上げ、4位タイの35.8秒で上がって0.4秒差の2着。前走ダイヤモンドSは5番手から4コーナーで先頭に立つと34.9秒で上がって3分32秒2で4馬身差で圧勝した。菊花賞2着馬がハンデG3で57キロというのは有利だった。今回は初めて58キロを背負う。戸崎騎手は芝3000m以上のG1[0−2−2−7]、19年以降は[0−2−2−1]で複勝率80%。関西の重賞では位置取りが悪くなることが多い。

サンライズアースは阪神大賞典をハナを切った後に2番手に控え、最速の35.0秒で上がって3分3秒3で6馬身差で圧勝。レイデオロ産駒で祖母がハルーワソング、近親にシュヴァルグラン(天皇賞春3、2、2着)がいる。前に行って最速上がりで6馬身差で圧勝は天皇賞(春)の優勝を確定させるような走りだった。昨年のダービーで後方2番手から捲って0.7秒差の4着に入ったのはダテではない。池添騎手は芝3000mのG1[1−1−2−32]で勝ったのは菊花賞のオルフェーヴルのみ。5番人気以内では[1−0−2−7]。

23年の天皇賞(春)勝ち馬ジャスティンパレス、昨年の菊花賞4着馬ショウナンラプンタ、日経賞勝ち馬マイネルエンペラー、昨年の天皇賞(春)2着馬ブローザホーン、レッドシーターフHC勝ち馬ビザンチンドリーム、昨年の京都記念勝ち馬プラダリア、ステイヤーズS勝ち馬シュヴァリエローズ、阪神競馬場リニューアルオープン記念を5馬身差で圧勝したハヤテノフクノスケなど伏兵は多士済々。ジャスティンパレスは芝3000m以上[2−0−1−0]で天皇賞(春)、阪神大賞典を勝ち、菊花賞3着。昨年以降は全てG1で4、10、4、5、5、6着。過去10年でディープインパクト産駒は[4−1−2−22]。鮫島駿騎手はG1初制覇なるか。

ショウナンラプンタは青葉賞2着、神戸新聞杯3着、菊花賞4着、日経新春杯2着、阪神大賞典4着で善戦が続いている。20年以降の芝3000m以上で武豊騎手は[0−0−2−19]、5番人気以内では[0−0−1−9]。長距離戦は騎手の腕といわれる。お得意の後方から大外ブン回しで届くレースになれば。マイネルエンペラーは日経賞を3番手から4コーナーで2番手に押し上げ、8位の37.0秒で抜け出して2分36秒1(稍重)で優勝。ゴールドシップ産駒でオークス馬ユーバーレーベンの全弟。今年丹内騎手は41勝でリーディング2位。丹内騎手は芝3000m以上[0−0−0−8]、天皇賞(春)は11年にコスモメドウで競走中止。

ブローザホーンが昨年の宝塚記念を大外一気で2分12秒0(重)で優勝。天皇賞(春)は12番手から最速の34.6秒で大外から猛然と追い込んで0.3秒差の2着。良馬場で最速上がりを繰り出して2着に突っ込んだ。前走阪神大賞典で3着に入って復調気配。馬場は渋った方がいいが、良馬場でも上がりが掛かれば。ビザンチンドリームは菊花賞で最速の35.4秒で追い込んで0.5秒差の5着。4コーナーと直線で不利があった。前走レッドシーターフHC(G2)を後方から差し切って3分6秒6で優勝。きさらぎ賞を大外一気でウォーターリヒトに勝った馬。先週のフローラSを勝ったシュタルケ騎手が出遅れずに中団の後ろあたりにつけられれば。


調教診断

★ヘデントール
南Wで3頭併せで馬なりのまま併入。活気がありスピード感のある走りでラスト11.4秒。1週前に南Wで2頭併せで強めに追って併入。前走勝ったデキをがっちりキープ。

★ハヤテノフクノスケ
栗坂で馬なり調教。大型馬でも小気味いいフットワークで最後まで余力十分。1週前に栗CWで2頭併せで一杯に追ってラスト10.9秒で相手を突き放した。デキは安定。

★サンライズアース
栗CWで2頭併せで強めに追われた。少し遅れたが、ダマシっぽい追い方。1週前は栗坂で2頭併せで強めに追って先着。力強い脚捌きで動いている。前走のデキをキープ。

★ショウナンラプンタ
栗坂で馬なり調教。全体時計は遅いが活気があり、しっかりとした脚捌きで最後まで確かな脚色。1週前に栗坂で軽く仕掛けた動きも良かった。善戦続きもデキは上向き。

★ビザンチンドリーム
栗CWで馬なり調教。重心が低く軽快なフットワークでラスト11.3秒。1週前に栗CWで一杯に追っている。サウジ遠征明けになるが、入念に乗り込んでデキはある。

次点(上位5頭に入らなかった馬)
☆ジャスティンパレス
☆シュヴァリエローズ


レース回顧

2025年 5月 4日(祝) 2回京都4日  天候: 晴   馬場状態: 良 
11R  第171回天皇賞(春)
4歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定)  芝 3200m・外   15頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 4  6  ヘデントール       牡 4 レーン    58  3.14.0 35.3  1 478 (美)木村哲也
2 8 14  ビザンチンドリーム 牡 4 シュタル  58  3.14.0 34.9  6 454 (栗)坂口智康
3 5  8  ショウナンラプンタ 牡 4 武豊      58  3.14.5 36.0  4 542 (栗)高野友和
4 3  5  サンライズアース   牡 4 池添謙一  58  3.14.8 36.4  2 530 (栗)石坂公一
5 6 11  マイネルエンペラー 牡 5 丹内祐次  58  3.15.0 36.7  8 488 (栗)清水久詞
6 7 13  ジャスティンパレス 牡 6 鮫島克駿  58  3.15.1 36.6  3 474 (栗)杉山晴紀
7 5  9  シュヴァリエローズ 牡 7 北村友一  58  3.15.7 36.9  9 468 (栗)清水久詞
8 2  3  ブローザホーン     牡 6 菅原明良  58  3.15.9 37.0  5 434 (栗)吉岡辰弥
9 7 12  ワープスピード     牡 6 横山和生  58  3.17.0 37.1 11 508 (美)高木登
10 4  7  プラダリア         牡 6 松山弘平  58  3.17.1 38.6 10 476 (栗)池添学
11 8 15  ハヤテノフクノスケ 牡 4 岩田望来  58  3.17.5 38.9  7 536 (栗)中村直也
12 2  2  ウインエアフォルク 牡 8 幸英明    58  3.20.0 37.6 15 484 (美)根本康広
13 6 10  リミットバスター   牡 5 岩田康誠  58  3.20.3 40.5 14 524 (栗)杉山晴紀
14 3  4  ジャンカズマ       牡 7 野中悠太  58  3.20.4 40.8 12 488 (美)西田雄一
15 1  1  アラタ             牡 8 大野拓弥  58  3.20.4 40.9 13 468 (美)和田勇介
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LAP :13.0-11.4-12.0-12.2-12.1-12.0-12.3-12.9-12.5-11.8-12.2-12.1-11.8-12.2-11.8-11.7
通過:36.4-48.6-60.7-72.7  上り:71.8-59.6-47.5-35.7  平均:1F:12.13 / 3F:36.38
単勝   6 \310 
複勝   6 \140 / 14 \290 / 8 \260 
枠連   4-8 \900 (3) 
馬連   06-14 \1810 (6) 
ワイド 06-14 \680 (6)/ 06-08 \630 (5)/ 08-14 \1690 (23) 
馬単   06-14 \2800 (8) 
3連複 06-08-14 \5500 (16/455) 
3連単 06-14-08 \22360 (58/2730) 

ヘデントールはスタートを決めて内ラチ沿いの6番手につけ、4コーナーから直線で外に出すとメンバー2位の35.3秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは3分14秒0。ジャンカズマが逃げて前半5F60.7秒。後半5F59.6秒、上がり35.7秒、ラップは12.2−11.8−11.7秒で尻上がり。道中13秒台のラップがなく、スタミナが問われるレースになり、芝3000m以上で実績がある4歳馬が上位を独占した。尻上がりラップで3着に3馬身差をつけた上位2頭は強いレースをしている。

ヘデントールは勝負どころで武豊騎手のショウナンラプンタにマークされて外に出せず仕掛けが遅れたが、外から豪快に差し切り、最後はビザンチンドリームの追撃をひと伸びして凌ぎ切った。レーン騎手の完璧な騎乗がなければ、ビザンチンドリームが勝っていたのではないか。前走ダイヤモンドSで中団より前につけて天皇賞(春)のシミュレーションが完了していたことも大きかった。社台は関西重賞で不振な戸崎騎手からレーン騎手に替えたのは正解だった。長距離を2戦したため、今後は休養に入りそう。凱旋門賞に登録しているが、まずは国内制圧か。

ビザンチンドリームは出遅れて最後方を進み、3コーナーで後方3番手、4コーナーで8番手に押し上げるとメンバー最速の34.9秒で上がって頭差の2着。直線でヘデントールを差し切る勢いで伸びてきたが、最後にひと伸びされて交わせなかった。最後方から突っ込めたのは、同馬主のジャンカズマが差し馬向きの流れにしたことも大きかった。最後方からいい脚を長く使ってヘデントールを0.4秒上回る最速の34.9秒で上がったことを評価したい。昨年のダービーで穴馬で狙った馬。4歳になって素質が開花して本格化してきた。

ショウナンラプンタは8番手から勝負どころで3番手に押し上げ、メンバー3位の36.0秒で抜け出したが、外から2頭に交わされて0.5秒差の3着。武豊騎手が勝負どころでヘデントールを外からマークして外に出させえないようにし、4コーナーで早めに動いて勝ちに行ったが、直線で伸び切れなかった。昨年の菊花賞は0.4秒差の4着、今年の阪神大賞典は1.1秒差の4着に終わったが、武豊騎手が中団につけたことでひとつ着順を上げた。1番人気を外からマークするレースをした騎手は、近々重賞を勝つことが多いので注意したい。

サンライズアースは4番手から所ブウどころで2番手に押し上げ、メンバー4位の36.4秒で上がって0.8秒差の4着。阪神大賞典を6馬身差で圧勝し、2番人気に支持されたが、これまで経験のない好位に控えるレースをして4着に終わった。気難しいタイプだけに好位で揉まれたことが堪えたのではないか。スタミナと地力があるだけにもっと強気に前に行く手もあったか。先入観のない騎手に乗り替わると大外捲りや追い込みタイプに変貌する可能性がある。

マイネルエンペラーは2番手から早めに先頭に立ち、直線で内ラチ沿いを通ってメンバー6位の36.7秒で上がって1.0秒差の5着。最近の重賞は出遅れ、折り合いを欠いたり、直線で前が詰まったりして力を出せずに終わる馬が多いが、マイネルエンペラーは丹内騎手が自分のレースをして勝ちに行き、力を出して切っている。丹内騎手の潔い騎乗に惚れた。丹内騎手は今年100勝を達成できるのではないか。マイネルエンペラー&丹内騎手には有馬記念で一発を期待してみたい。

ジャスティンパレスは出遅れて後方を進み、向こう正面で大外から3番手に押し上げ、メンバー5位の36.6秒で上がって1.1秒差の6着。23年の天皇賞(秋)以降3着以内がなかったが、23年の天皇賞(春)を勝った実績が評価されて3番人気に支持された。鮫島駿騎手の強引な騎乗で直線で伸び切れなかったが、これまでも外枠から外を回ると伸び切れないことが多い。スタートを決めて中団の内につけられれば、もっとやれたのではないか。内めの枠に入ってロスなく回れそうなときは注意したい。



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