府中牝馬S
2025/6/22 東京競馬場 芝1800m

レース展望

今年から東京に移動し、マーメイドSが府中牝馬Sに名称変更された。過去10年のマーメイドSで1番人気は[1−2−1−6]で3連対。22年までは[0−1−1−6]だったが、過去2年はビッグリボン1着、エーデルブルーメ2着で連対を確保。2番人気は[0−2−0−8]、3番人気は[1−1−1−7]で各2連対。6〜9番人気が6連対、10番人気以下が4連対。過去5年の馬連は80倍、119倍、57倍、10倍、18倍で荒れている。過去2年は10倍台に収まったが、人気薄軽量馬で中穴以上を狙うのが妙味。

前走勝って連対した4頭は前走条件戦だった。前走2勝クラスでも通用している。前走OP以上で連対した馬は[1−0−0−8]で1連対のみ。前走6着以下が5連対。前走10着以下は[2−0−1−27]で2連対。連対馬12頭が前走条件戦に出走していた。15、16、19、21年は条件戦組がワンツーを決めている。牝馬限定ハンデG3にクラスの壁はない。前走2勝クラスは1着、3勝クラスは4着以内が目安。

カニキュルは東京芝[3−1−1−0]で上がりは全て最速。前走2勝Cは前半5F59.9秒で3番手から最速の32.9秒で抜け出して1分33秒0で3馬身半差で圧勝。東京芝1800mは[1−1−0−0]で三浦特別(1勝C)を3番手から最速の33.3秒で抜け出して1分45秒3で優勝。菊沢厩舎のエピファネイア産駒で母は福島牝馬S&クイーンS2着馬シャルール。トランキリテの半妹。格上挑戦でハンデは前走から4キロ減の52キロ。流れが緩むと好位から抜け出しそうだが、流れが速くなると真価が問われる。

セキトバイーストは昨年のチューリップ賞で逃げてスウィープフィートに0.2秒差の2着。ローズSでは逃げてクイーンズウォークに0.2秒差の3着。4着タガノエルピーダ、7着ラヴァンダ、8着カニキュルに先着した。前走都大路Sは3番手から4位の35.6秒で抜け出して1分45秒2(稍重)で3馬身半差で圧勝。前半5F57.5秒のハイペースで先行して牡馬を相手にしなかった。四位厩舎のデクラレーションオブウォー産駒で半兄にマテンロウアレス、半弟にジョバンニがいる。浜中騎手が強気なレースで粘らせるか。

初音S勝ち馬カナテープ、チャレンジC勝ち馬ラヴェル、斑鳩S勝ち馬タガノエルピーダ、愛知杯2着馬シングザットソング、紫苑S2着馬ミアネーロ、阪神牝馬S3着馬ラヴァンダ、福島牝馬S勝ち馬フィールシンパシーなど伏兵は数多い。カナテープは東京芝[4−3−1−1]、東京芝1800m[4−1−1−1]の巧者。前走初音Sは10番手から最速タイの33.7秒で差し切って1分45秒5で優勝。クビ差2着のアドマイヤマツリはスピカS、福島牝馬Sを連勝した。堀厩舎のロードカナロア産駒。相手なりに堅実に走るタイプ。

ラヴェルはエリザベス女王杯で2着に入り、続くチャレンジCを1分58秒2で優勝。その後は金鯱賞9着、大阪杯11着、ヴィクトリアマイル12着。東京ではアルテミスSでリバティアイランドに勝っている。ナミュールの半妹。トップハンデ56.5キロがどう出るか。タガノエルピーダは斑鳩Sを3番手から4位タイの34.6秒で抜け出して1分35秒0で優勝。3着サフィラは次走阪神牝馬Sを制した。芝1800mは嵯峨野Sで2番手から3位タイの33.7秒で上がって2着がある。直線の長い東京でどこまで踏ん張れるか。


調教診断

★カナテープ
南Wで3頭併せで馬なり調教。少し遅れたが、余力を残したもの。1週前に南Wで2頭併せで馬なりのままラスト11.2秒で先着。動き、気配目立つ。久々も上々の仕上がり。

★タガノエルピーダ
栗CWで3頭併せで馬なりのまま併入。軽快なフットワークで余力十分にラスト11.0秒。1週前に栗CWで3頭併せで一杯に追って先着。入念に乗り込んで仕上げられた。

★セキトバイースト
栗CWで馬なり調教。落ち着きがありスムーズな走りでラスト11.2秒。1週前に栗CWで馬なりのまま11.8秒。前走勝って中3週になるが、デキはキープできている。

★ラヴァンダ
栗坂で2頭併せで馬なりのまま先着。少し頭が高いが、しっかりとした脚捌きでラスト11.9秒。使い込んでいるが、馬体、気配は落ちていない。一連のデキをキープ。

★ラヴェル
栗坂で馬なり調教。全体時計は遅いが気合乗りが良く、しっかりとした脚捌きで動いている。1週前に長めから追って好タイムをマーク。近走不振も動き、気配は上向き。

次点(上位5頭に入らなかった馬)
☆カニキュル
☆フィールシンパシー

ウインエーデル、グランスラムアスクは調教VTRなし。


レース回顧

2025年 6月22日(日) 3回東京6日  天候: 晴   馬場状態: 良 
11R  第73回府中牝馬S
3歳以上・オープン・G3(ハンデ) (牝)(国際)(特指)  芝 1800m   14頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 7 12  セキトバイースト   牝 4 浜中俊   55.5 1.46.0 35.2  5 458 (栗)四位洋文
2 5  7  カナテープ         牝 6 大野拓弥  53  1.46.2 35.2  3 484 (美)堀宣行
3 8 14  ラヴァンダ         牝 4 岩田望来  54  1.46.3 35.0  2 488 (栗)中村直也
4 1  1  ウンブライル       牝 5 石川裕紀  54  1.46.3 34.8 12 482 (美)木村哲也
5 7 11  タガノエルピーダ   牝 4 団野大成  54  1.46.4 35.7  4 464 (栗)斉藤崇史
6 4  6  エリカヴィータ     牝 6 丸山元気  52  1.46.4 35.8 14 466 (美)国枝栄
7 6 10  ウインエーデル     牝 5 原優介    52  1.46.5 34.6  8 452 (栗)吉田直弘
8 8 13  カニキュル         牝 4 戸崎圭太  52  1.46.6 34.9  1 506 (美)菊沢隆徳
9 5  8  ラヴェル           牝 5 津村明秀 56.5 1.46.6 35.3  7 462 (栗)矢作芳人
10 4  5  アスコルティアーモ 牝 5 荻野極    53  1.46.7 35.7 11 458 (美)林徹
11 6  9  ミアネーロ         牝 4 ディー   55.5 1.46.9 35.4  6 482 (美)林徹
12 2  2  シングザットソング 牝 5 三浦皇成  55  1.47.1 35.8 10 450 (栗)高野友和
13 3  3  グランスラムアスク 牝 6 吉田豊    51  1.47.3 35.8 13 458 (栗)矢作芳人
14 3  4  フィールシンパシー 牝 6 横山琉人  54  1.47.4 36.4  9 462 (美)小島茂之
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LAP :12.6-11.0-11.9-11.7-11.7-11.7-11.5-11.7-12.2
通過:35.5-47.2-58.9-70.6  上り:70.5-58.8-47.1-35.4  平均:1F:11.78 / 3F:35.33
単勝   12 \710 
複勝   12 \260 / 7 \230 / 14 \190 
枠連   5-7 \960 (4) 
馬連   07-12 \3030 (11) 
ワイド 07-12 \1050 (11)/ 12-14 \950 (8)/ 07-14 \630 (4) 
馬単   12-07 \5250 (20) 
3連複 07-12-14 \5790 (13/364) 
3連単 12-07-14 \42620 (120/2184) 

セキトバイーストは7枠12番から6番手につけ、向こう正面で3番手に押し上げるとメンバー5位タイの35.2秒で抜け出してレースを制した。勝ちタイムは1分46秒0。エリカヴィータが逃げて前半5F58.9秒、上がりは35.4秒、ラップは11.5−11.7−12.2秒。前半流れて2F目からラスト2Fまで11秒台のラップが続いたことで上がりが掛かり、地力が問われるレースになった。

セキトバイーストは外から徐々に押し上げ、直線で激しい叩き合いを制した。チューリップ賞2着、ローズS3着がある馬が5番人気で重賞初制覇。前走都大路Sを1分45秒2(稍重)の好タイムで3馬身半差で圧勝したのはダテではなかった。外枠から揉まれずに自分のペースで上がって行くレースができると力を発揮するタイプ。半弟にホープフルS2着馬ジョバンニがいる。兄弟が走り出すと飼葉の質が良くなるのか、急に走り出す馬が多い。夏は休養して秋はアイルランドT(東京芝1800m、G2)を使うことになりそうだ。

カナテープは6番手からメンバー5位タイの35.2秒で上がって0.2秒差の2着。直線でセキトバイーストに迫ったが、最後に突き放された。セキトバイーストより2.5キロ軽い53キロだったが、4ヶ月半ぶりのレースで馬体が12キロ増えていた。前走初音S(3勝C)を勝って昇級戦だったが、重賞で通用するメドを立てた。これで東京芝1800mは[4−2−1−1]。相手なりに堅実に走っている。休養を挟みながら使っているが、秋に向けて賞金を加算したいところ。クイーンS、関屋記念あたりを使ってくるか。

ラヴァンダは8枠14番から8番手につけ、メンバー4位の35.0秒で上がって0.3秒差の3着。終始外を回ったことで近走ほど切れる脚を使えなかった。それでも最後にひと伸びして3着を確保したように少しずつ地力が強化されている。良馬場のG2以下では[1−2−4−0]で複勝率100%。今デキがいいため、良馬場なら馬券に絡めたい。賞金を加算できなかったため、秋に向けて次走は3勝Cを使ってくるか。

ウンブライルは1枠1番から12番手を進み、直線で内からメンバー2位の34.8秒で上がって0.3秒差の4着。3着ラヴァンダとはクビ差。12番人気を穴馬で狙ったが、少し足りなかった。NHKマイルC、ニュージーランドT、阪神牝馬Sで2着がある馬がハンデ54キロというのは、やはり恵まれていたのだろう。近走は自分で諦めるレースが続いていたが、今回は最後まで踏ん張っていた。いいきっかけになれば。

カニキュルは8枠13番から13番手を進み、メンバー3位の34.9秒で大外から追い込んで0.6秒差の8着。戸崎騎手が減量して52キロで騎乗したが、折り合いをつけられず位置取りが悪くなったことが堪えた。乗り慣れた戸崎騎手でも折り合いをつけるのが難しいタイプ。前走2勝Cを圧勝したときは1枠1番だった。馬を前に置いて進められる内枠に入ったら要注意。もっと時計、上がりの速い馬場が合っている。



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