エリザベス女王杯
2025/11/16 京都競馬場 芝2200m

レース展望

3歳馬と古馬が争う女王決定戦。過去10年の1番人気は[2−2−2−4]で4連対。3歳馬は[1−1−1−0]で昨年ブレイディヴェーグが制した。2番人気は[0−0−1−9]で連対なし、3番人気は[4−0−3−3]で4連対。6〜9番人気が5連対、10番人気以下が3連対。過去5年の馬連は33倍、22倍、518倍、19倍/155倍、15倍で荒れている。G1実績馬が揃うが人気薄の激走が多く荒れている。

連対馬14頭が前走3着以内。秋華賞、府中牝馬S、オールカマー好走馬が活躍している。前走6着以下から連対した4頭は秋華賞6、10着、府中牝馬S7、7着。穴で秋華賞、府中牝馬Sで7着前後に負けた馬に注意。京都で行われた7年で6番人気以下で連対した5頭のうち4頭が道中3番手以内につけていた。クロコスミアが9、9、7番人気で前に行って2着に粘っている。穴で逃げ先行タイプの人気薄を絡めたい。

レガレイラはホープフルSを勝った後、6、5、5、5着に終わったが、有馬記念を6番手から最速タイの34.9秒で抜け出して2分31秒8で優勝。3着ダノンデザイルはAJCCとドバイSCを連勝した。宝塚記念は中団から伸び切れず1.5秒差の11着。長期休み明け、太め残り、道悪が影響したか。前走オールカマーは出遅れて8番手を進み、勝負どころで外から押し上げ、最速の34.0秒で差し切って2分10秒2で優勝。

牝馬が57キロを背負って得意の中山で重賞3勝目を挙げた。今回は牝馬同士の定量戦で56キロ。昨年のエリザベス女王杯は中団から伸び切れず0.5秒差の5着。ルメール騎手が直線で敢えて荒れた内を突いたのは大人の事情か。戸崎騎手は京都芝G1[0−2−2−23]で未勝利。京都芝2200mのG1では14、4、4、5着。今年の芝2200m重賞は全て中山で1番人気に支持され[3−0−0−0]。なんだかな(笑)

ステレンボッシュは昨年牝馬3冠で桜花賞1着、オークス2着、秋華賞3着。香港ヴァーズまでは[3−3−2−0]だったが、大阪杯は13着、ヴィクトリアマイルは8着、札幌記念は15着に終わった。今年のG1でルメール騎手は[4−1−2−5]で現在3連勝中。今年の重賞で国枝厩舎は[1−1−0−23]。国枝調教師は勝てば牝馬限定G1完全制覇となる。国枝調教師は栗東留学の元祖。ラストイヤーに女神が微笑むか。

クイーンC&札幌記念2着のココナッツブラウン、カシオペアS勝ち馬オーロラエックス、アイルランドT3着馬カナテープ、同4着馬ライラック、小倉牝馬S勝ち馬フェアエールング、昨年のエリザベス女王杯4着馬シンリョクカ、府中牝馬S勝ち馬セキトバイースト、昨年の秋華賞2着馬ボンドガール、秋華賞2着馬エリカエクスプレス、同3着馬パラディレーヌ、桜花賞3着馬リンクスティップなど伏兵は数多い。雨は降らない予報。

ココナッツブラウンはクイーンSで出遅れて後方から最速の34.0秒で上がって頭差の2着。前走札幌記念は出遅れて後方から3位の35.5秒で追い込んで0.2秒差の2着。京都では[2−0−2−0]。出遅れ、距離延長、輸送で馬体が減らないかがカギ。オーロラエックスは京都外回りでは[3−0−0−0]で上がりは1、2、2位。重賞はローズS9着、小倉牝馬S4着。過去10年で松山騎手は[0−2−0−7]。

カナテープは前3走府中牝馬S2着、関屋記念1着、アイルランドT3着。前走は馬体が14キロ減っていた。長距離輸送で馬体が減らないか、初の芝2200mがカギ。レーン騎手が騎乗する。パラディレーヌは秋華賞で大外枠から16番手を進み、大外をブン回して最速の34.4秒で上がり0.2秒差の3着。内ラチ沿いを逃げたエリカエクスプレスとは0.1秒差だった。丹内騎手から乗り慣れた岩田望騎手に乗り替わる。


調教診断

★レガレイラ
南Wで3頭併せで軽く仕掛けて先着。落ち着きがありスムーズな走りでラスト11.4秒。1週前に南Wで2頭併せで軽く仕掛けてラスト11.2秒で併入。入念に乗り込んで仕上げられた。

★セキトバイースト
栗CWで馬なり調教。活気があり余力十分にラスト11.4秒。1週前に栗CWで一杯に追ってラスト11.1秒。馬体が絞れてバランスが良くなった。ひと叩きして前走より良化。

★ライラック
南Wで2頭併せで馬なりのまま先着。軽快なフットワークで余力十分。1週前に南Wで2頭併せで強めに追ってラスト11.3秒で先着。ひと叩きして動き、気配が良くなりデキは上向き。

★リンクスティップ
栗坂で馬なり調教。少し頭が高いが活気があり、最後まで確かな脚色。1週前に栗CWで3頭併せで一杯に追ってラスト11.2秒で先着。前走も動いていたが、使ったぶん若干良化。

★パラディレーヌ
栗坂で馬なり調教。重心が低く回転の速いフットワークで余力十分にラスト12.2秒。1週前に栗坂で馬なりのままラスト12.1秒。全体時計は遅いが、一連のデキをキープ。

次点(上位5頭に入らなかった馬)
☆ココナッツブラウン
☆ステレンボッシュ


レース回顧

2025年11月16日(日) 4回京都4日  天候: 晴   馬場状態: 良 
11R  第50回エリザベス女王杯
3歳以上・オープン・G1(定量) (牝)(国際)(指定)  芝 2200m・外   16頭立
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着枠 馬  馬名               性齢 騎手     斤量 タイム  3F  人体重     廐舎
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1 4  7  レガレイラ         牝 4 戸崎圭太  56  2.11.0 34.2  1 480 (美)木村哲也
2 1  1  パラディレーヌ     牝 3 岩田望来  54  2.11.3 34.7  4 508 (栗)千田輝彦
3 6 12  ライラック         牝 6 藤岡佑介  56  2.11.4 34.2  9 456 (美)相沢郁
4 8 16  リンクスティップ   牝 3 C.デム  54  2.11.4 35.0  2 482 (栗)西村真幸
5 7 13  ココナッツブラウン 牝 5 北村友一  56  2.11.5 34.6  3 462 (栗)上村洋行
6 5 10  セキトバイースト   牝 4 浜中俊    56  2.11.6 35.3 10 468 (栗)四位洋文
7 3  5  サフィラ           牝 4 西村淳也  56  2.11.6 34.8 15 470 (栗)池添学
8 4  8  ヴェルミセル       牝 5 鮫島克駿  56  2.11.7 34.7 13 468 (栗)吉村圭司
9 6 11  フェアエールング   牝 5 丹内祐次  56  2.12.0 35.2 14 464 (美)和田正一
10 1  2  ステレンボッシュ   牝 4 ルメール  56  2.12.0 35.4  6 472 (美)国枝栄
11 5  9  ボンドガール       牝 4 津村明秀  56  2.12.1 35.1 12 460 (美)手塚貴久
12 3  6  エリカエクスプレス 牝 3 武豊      54  2.12.1 36.0  5 462 (栗)杉山晴紀
13 2  3  シンリョクカ       牝 5 木幡初也  56  2.12.2 36.0 11 464 (美)竹内正洋
14 7 14  ケリフレッドアスク 牝 3 岩田康誠  54  2.12.4 35.9 16 456 (栗)藤原英昭
15 2  4  カナテープ         牝 6 レーン    56  2.12.6 36.1  7 468 (美)堀宣行
16 8 15  オーロラエックス   牝 4 松山弘平  56  2.13.0 35.9  8 488 (栗)杉山晴紀
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LAP :12.8-10.7-11.9-12.3-12.2-12.1-12.3-11.8-11.6-11.6-11.7
通過:35.4-47.7-59.9-72.0  上り:71.1-59.0-46.7-34.9  平均:1F:11.91 / 3F:35.73
単勝   7 \230 
複勝   7 \130 / 1 \280 / 12 \460 
枠連   1-4 \690 (2) 
馬連   01-07 \1280 (3) 
ワイド 01-07 \610 (3)/ 07-12 \950 (7)/ 01-12 \3430 (42) 
馬単   07-01 \1720 (3) 
3連複 01-07-12 \8920 (26/560) 
3連単 07-01-12 \24680 (52/3360) 

レガレイラは荒れた内を避けて9番手の外を進み、直線で外からメンバー最速タイの34.2秒で差し切ってレースを制した。勝ちタイムは2分11秒0。エリカエクスプレスが逃げて前半5F59.9秒。後半5F59.0秒、上がりは34.9秒、ラップは11.6−11.6−11.7秒。例年は中盤にラップが12秒台後半に落ちるが、今年は12.3秒までしか落ちず、前に行った馬には厳しいレースになった。外から捲ると思われたリンクスティップ(レガレイラと同じサンデーR)が好位につけて前にプレッシャーをかけたこともある。レガレイラは中団の外で前を射程圏に入れて進み、直線で外から差し切り、2着に0.3秒差をつけて快勝。

昨年の有馬記念を勝った馬が牝馬限定G1で能力の違いを見せつけた。昨年のエリザベス女王杯は5着に終わり、これまでの重賞3勝は全て中山だったが、京都外回りでも全く問題なかった。調教診断で1位評価にしたが、パドックでは馬体、気配が目立ち、仕上がりの良さが際立っていた。3歳時は取りこぼしがあったが、古馬になって馬体が成長し安定して高パフォーマンスを発揮できるようになっている。まだウィークポイントはありそうだが、スーパーホースに近づいている。次走は有馬記念で2連覇を目指す予定。戸崎騎手は京都芝G1を28戦目で初勝利。今年の芝2200m重賞で1番人気に支持されたときは4戦4勝となった。

パラディレーヌは1枠1番から内ラチ沿いの7番手を進み、勝負どころで少し押し上げ、4コーナーから直線で外に持ち出すとメンバー4位タイの34.7秒で上がって0.3秒差の2着。土曜は馬場の内側が荒れて外差しが決まったが、日曜は土曜に踏み固められたことで内を通った馬も連対していた。岩田望騎手が各馬が避けた荒れた内をロスなく回り、直線でスムーズに外に出してかなり上手く乗っている。ただし荒れ馬場をこなす馬でないとあの乗り方はできない。前走秋華賞は大外枠から大外をブン回して0.2秒差の3着に終わったが、今回はロスなく回って2着に入った。切れより持続力と地力で勝負するタイプ。少しタフな馬場が合っている。

ライラックは後方2番手からメンバー最速タイの34.2秒で追い込んで0.4秒差の3着。中盤にラップが落ちず、例年よりタフなレースになり、4コーナー最後方から強烈な末脚を繰り出して突っ込んだ。前走アイルランドTでは後方から2位の32.3秒で上がって0.1秒差の4着。今年6歳になったが、ここ4戦の上がりは1、2、2、1位で末脚の威力が増している。差し馬向きの展開になったこともあるが、テン乗りの藤岡佑騎手が後方でタメたことが上手く嵌まった印象。エリザベス女王杯は4年連続出走で2、4、6、3着。タフな馬場の芝2200mにピンポイントに適性があるのだろう。次走は香港ヴァーズまたは有馬記念の予定。

リンクスティップは大外16番枠から6番手につけ、外から徐々に上がって4コーナーで3番手に押し上げるとメンバー7位の35.0秒で上がって0.4秒差の4着。ガツンと切れる脚がなく、いい脚を長く使えるため、外から捲るレースを得意にしているが、好位につけて前にプレッシャーをかけていた。サンデーRはリンクスティップのCデムーロ騎手に外を回って早めに動いて差し馬向きのレースにし、勝てるようならそのまま勝ってもいいという指示だったのではないか。パドックではこれまでより馬体を大きく見せ、華奢な面がなくなってきていた。まだ未勝利戦しか勝っていない1勝馬だが、持ち味を生かせれば重賞制覇のチャンスがありそうだ。

ココナッツブラウンは道中11番手の外を進み、メンバー3位の34.6秒で上がって0.5秒差の5着。直線で外から逆手前のまま伸びてきたが、前にいたリンクスティップを捕まえられず、外からライラックに交わされた。4コーナーから直線でレガレイラを外からブロックできそうだったが、横山武騎手に替わって社台の有力馬に騎乗している北村友騎手がそれをできる訳がないか。レガレイラを外に出させたことで外に振られ、追い出しが遅れるロスがあった。下り坂でスピードに乗った状態で外に出せれば3着に突っ込めたのではないか。輸送すると馬体が減る馬だが、当日は2キロ増でテンションも許容範囲だった。上村厩舎が上手く仕上げている。



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