安田記念
レース回顧

アグネスデジタルは中団の内々を進み直線で上手く馬群を捌いて追い出すとラスト100mから猛然と伸びて1着。直線の追い比べでは一瞬伸びそうになかったが、最後は底力で捻じ伏せた印象。スピード優先の馬場は決してベストという訳ではないが、それにしても強い競馬。元々パドックで良く見せるタイプではないが、当日は絶好調という感じではなかった。ただこの馬のレベルになると1回使われて普通に追い切られていれば力を出せるということなのだろう。絶好調なら2馬身はちぎっていたかもしれない。次走は宝塚記念。シンボリクリスエスとの対決が楽しみだ。

アドマイヤマックスは好スタートから4番手を進み、直線でギリギリまで追い出しを待ってローエングリンを交わしたが、最後はアグネスデジタルに差されてクビ差の2着。休み明けでプラス16キロで少し腹回りに余裕はあったが、全体的には仕上がっていた。ペースが早くならなかったこと、武豊騎手がほぼ完璧に乗ったこともあるが、2歳時の東スポ杯の直線で弾けた馬だけに東京コースの適性も高かったということなのだろう。直線で弾けた馬は同じコースで激走するので注意が必要だ。アドマイヤマックスはまだ7戦目。今回好位からの競馬で脚質に幅ができたのは今後に向けて大きい。

ローエングリンはミデオンビットが逃げると2番手に控える競馬。直線で追い出してラスト200mで抜け出して後続に1馬身の差をつけたが最後は決め手のある馬に差されて3着。前半3Fは34.5秒と決して遅くはないが、馬場状態とこのメンバーを考えると平均以下のペースだろう。ローエン自身は前34.8-後34.3秒でこれまでとは違って上がり勝負の競馬になったのが痛かった。ローエンの持ち味はスピードの持続力。最後の切れはないだけにもっと思い切った競馬でも良かったように思える。ただ流れに乗っていただけに後藤騎手を責める訳にはいかない。馬体を見る限り、ローエンはまだ2ランク上への成長が見込める。まだ色々な面でベールを脱いでいないが、もし秋天が重馬場になるようならシンボリクリスエスに楽勝できることを付け加えておく。

イーグルカフェはスタートがひと息で後方からの競馬になったが、直線で追い込んでローエングリンとハナ差の4着。前半もう少しいい位置が取れればもっと際どかっただろう。スピード優先の馬場で最後これだけ伸びてくるのだから昨年より力をつけている証拠。マイナス10キロだったが毎年この時期はこのくらいの馬体重。減ったというより絞れたというのが正解だろう。パドックではゴツゴツしてあまり見栄えの良くない馬だが、今回はそういうところもなかった。厳しいレースになると力を発揮するのでそういうレースになるときに買いたい馬。

ダンツフレームは道中内々の4、5番手を追走して直線に向いたが、前が空かずにやや脚を余した感じで5着。武豊騎手のアドマイヤマックスが中々動かなかったことで内に閉じ込められた印象。大きなフットワークで徐々に加速していくタイプだけに中々追い出せなかったのが痛かった。もう少しペースが早くなって馬群がバラけていれば結果は違ったかもしれない。ただこの馬自身究極のスピード決着になると追走に苦労するので一概には言えところもあるが・・・。馬体はそろそろ上積みが見込めなそうな状態。次走は状態面に注意したい。

ボールドブライアンは道中カラ馬に神経を使いながらの追走でスムーズさを欠いたが、直線で追い出すとメンバー最速の33.3秒で伸びて6着に突っ込んだ。やや脚を余した格好だが、現時点では展開や前が開けるなど色々条件がつくだけに仕方ない結果か。ただパドックで見る限り、馬体は目立っていた。もう少し全体的に柔らかさが出てくれば、もっと強くなるだろう。馬体、精神面が成長してくれば展開に左右されない馬になる可能性もある。

テレグノシスは終始大外を回り直線に向くと一瞬伸びかけたが最後は並んだ各馬と脚色が一緒になって7着まで。パドックで手先の軽い感じで歩いて調子自体は悪くはなかったが、大外を回ったコースロスと馬場の悪い外を通ったことが大きく影響した印象。背中を使わずに小手先だけに走っているので、G1で究極の力が求められると苦しいところがあるのかもしれない。


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