宝塚記念
レース展望
春のグランプリ宝塚記念。今年は95年以来8年ぶりとなる17頭立て。昨年の年度代表馬シンボリクリスエス、G1-6勝馬アグネスデジタル、皐月賞とダービーを制した2冠馬ネオユニヴァースの3頭を含め計6頭のG1馬が揃った。近年稀にみる超豪華メンバー。とにかく熱い一戦になりそうだ。馬場状態、レース展開など、不確定なところはあるが、現時点での展望をお届けしたい。
今回の注目はシンボリクリスエス。有馬記念のときにも書いたが、相馬眼的に狙い目があるのはずばりこの馬だ。首の付け根からお尻までのラインと馬体のバランスが素晴らしく、昨年よりさらに成長している。ブレのない走法、追い出してからの反応の良さに競走馬としての資質の高さを感じさせる。
今回は休み明けだが、藤沢厩舎の仕上げに抜かりはない。ならば負けるとすればどんな場合か。出遅れて流れに乗れなかった場合、01年のテイエムオペラオーのように4コーナーで致命的な不利があった場合か。あとは休み明けで勝負勘が鈍っていた場合、重馬場で切れ味が削がれた場合、初の58キロを苦にした場合なども考えられる。
今回の仕上がり、持ち前の競馬センスを考えるとこの中で残るのは重馬場と58キロの斤量か。58キロ自体はこなすが、それほど得意とは言えない重馬場だと最後の伸びに少し影響してくるかもしれない。良馬場でスムーズな競馬ができればまず負けない。有馬記念でレースの上がりを1.2秒上回るメンバー最速の34.8秒の末脚は間違いなく世界レベルだ。
シンボリクリスエスを負かすと言う点で考えると最有力はネオユニヴァース。重馬場のダービーときさらぎ賞を勝ったように渋った馬場は苦にしないタイプ。飛節が伸びないという欠点もあるが、後脚の接地時間の長い粘っこい走法は渋った馬場でも安定感のある走りができる。重馬場になれば古馬と5キロ差の53キロがさらに利いてくるだろう。
相馬眼的に今のシンボリクリスエスのレベルまでは行かないが、昨年のこの時期のシンボリクリスエスより上。ダービーで最後2着を死守するのが精一杯だったシンボリクリスエスと勝ったネオユニヴァースの差は馬体、精神面の完成度の違いだろう。パドックを見ても古馬のような集中力を持って周回しているし、力強い踏み込み、全体的な雰囲気はこの時期の3歳馬が見せるものではない。良馬場でもシンボリクリスエスに食い下がる力はあるが、重馬場なら逆転もあり得る。
アグネスデジタルは2200mが初距離だが、天皇賞(秋)でテイエムオペラオーを力で捻じ伏せた馬。1F延長はそれほど問題にならないだろう。ただ馬体からは1600mから2000mがベスト。最後の1Fでいつもの切れ味を発揮できるかどうかは走ってみないと分からない。あとは安田記念のときに追い出してからややズブさを見せたところが少し気になる材料。直線の長い東京では届いたが、コーナーのきつい阪神では反応の良さが問われるだけに若干不安が残る。ただひと叩きしての良化を考えれば杞憂に終るかもしれない。
この他ではリニューアル記念、金鯱賞を連勝してきたタップダンスシチー、昨年の売布特別(阪神芝2200m)で宝塚記念より0.3秒早い2分12秒6で圧勝した春の天皇賞馬ヒシミラクル、目黒記念は全く競馬をしていない春の天皇賞2着馬サンライズジェガー、馬体が徐々に成長して見栄えがするようになってきたバランスオブゲームなどにも展開や位置取り次第でチャンスがありそうだ。
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