七夕賞
レース回顧

ミデオンビットは好スタートからエーピーグリードを前に行かせて2番手。道中は内々で折り合いをつけて直線で外に出すと先に抜け出したヤマノブリザードをきっちり交わしてそのまま押し切った。福島の馬場は例年以上に内側が良かったが、それを考慮してロスのない完璧な競馬をした田中勝騎手の好騎乗。ダービーのサクラプレジデント以来、精彩を欠いていたが、久々のカッチースマイルで完全復活をアピールした。ミデオンビットは安田記念で0.5秒差。G1で好走した馬に2キロ減の56キロは有利だったか。2000mを勝ったことで今後はレースの幅が広がる。走法的にベストは直線の長い東京、新潟だが、今回のような器用な脚が使えれば札幌記念という選択もありそうだ。

ウインブレイズは中団から徐々に進出して直線でもしぶとく伸びたが0.3秒差の3着。1コーナーでごちゃつく場面はあったが、力は出し切った感じ。ミデオンビットとは斤量1.5キロ差があったのでほとんど力差はないと見ていいのだろう。2頭ともに縦の幅のあるがっしりした作りの馬体。安田記念もこういうタイプが走るが、荒れて力のいる福島もこういうタイプが合うということを如術に示している。ウインブレイズはマイルだと切れ不足で2000mだと若干距離が長い。勝ち切るのは難しいが、堅実に走るタイプなので馬券には絡めておきたい馬。

ヤマノブリザードは前半から積極的に前に行き、3コーナー過ぎからスパートしてエーピーグリードを潰して先頭に立ったが、そこからひと伸びがなく3着。やや強引な競馬だったが、陣営の作戦通りなのだろう。大外を捲くって追い込んでも今年の馬場状態では届かない。パドックではまだ後脚の踏み込みに力強さが不足しているので、それが良くなればもっと走れるだろう。左回りだと外にもたれるし、右回りでも早めに捲くると脚がなくなる。そうかといって後方からだと届かない。展開、馬場状態など条件が揃ったときに買いたい馬。

チョウカイリョウガは中団を進み、直線では伸び切れずに7着。毎回馬体を良く見せる馬だが、パドックでも力強い踏み込みで調子の良さが伺えた。内々をロスなく乗った蛯名騎手の作戦は悪くはないが、4コーナー手前で前が詰る不利が堪えた印象。ただフットワークが大きいので馬込みに入れると馬が気にして伸び伸び走れないというのもある。ベストはコースが広くて直線の長い東京と新潟コース。G3は勝てる力はあるので、あとはいかに伸び伸び走らせて直線で馬にやる気を出させるかどうかだけ。全弟ネオユニヴァースとは違うタイプだが、一発の魅力は常に秘めている馬。

ブラザータイクーンはやや掛かり気味に2番手を進み、直線では叩き合いから脱落して9着に敗れた。当日はマイナス14キロで仕上がり過ぎていた印象もあるが、返し馬では覇気があったし、状態は悪くはなかった。理想としていたのがミデオンビットの競馬。折り合えば切れるので、内々で折り合いをつけて欲しかったが・・・。昨年新潟の朱鷺Sを勝ったように新潟マイルは得意の舞台。関屋記念での巻き返しを期待したい。

エーピーグリードは前半5F60.3秒の平均ペースで逃げたが、ヤマノブリザードに早めに来られると直線では脚がなく11着に敗れた。パドックではデキの良さが目立っていたが、前半やや控えたことで中盤から後半のラップが落ちなかったのが敗因のひとつだろう。後続を引き離して途中で息を入れるような形の方がいい。今回は7番人気と人気を上げたが、この惨敗でまた人気を落としそうだ。稍重だと[2・2・1・2]で走るので馬場が渋ったら人気がなくても注意した方がいいだろう。


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