クイーンS
レース回顧

オースミハルカは前半5F61.4秒のスローペースで逃げて直線では牽制し合う各馬を尻目にいち早く仕掛けて後続を引き離すと最後はファインモーションの追撃をクビ差凌いでレースを制した。マイペースで逃げれたこともあるが、早めに仕掛けてラスト3F34.1秒(11.3-11.2-11.6秒)で上がったのだから展開だけではない。パドックでもプラス18キロの馬体は成長が伺えたし、以前ほどイレ込みもきつくなかった。イレ込みは滞在効果もあるのだろうが、ここにきて馬が一段と強くなっていることは間違いないだろう。

鞍上の川島騎手は小倉大賞典に続き今年重賞2勝目。昨年の夏にクローバー賞、すずらん賞で3着に敗れ、一時はオースミハルカから降ろされただけに嬉しい勝利だろう。関屋記念のオースミコスモの常石騎手も一時は降ろされたが、最近はこういうパターンが多い。オースミハルカはチューリップ賞でスティルインラブを負かしたのに続き、今回はファインモーションに土をつけた。牝馬版ライスシャワーという表現が適切かどうか分からないが、とにかく大物食いが多い。気性的に休み明けを苦にしないし、レースで完全燃焼するタイプなので、フレッシュな状態のときに走るということを覚えておきたい。あと走法だが、前脚を掻き込む走法は力のいる札幌芝コースに合う。オースミハルカの走法を覚えておいて損はないだろう。

ファインモーションは内々の5番手を進み、直線で強引に馬群を割って外に出して追い込んだがクビ差届かず2着に敗れた。道中はアンカツ、本田、松永の各騎手にマークされて動くに動けない位置だったが、武豊騎手が折り合いに専念していたのも事実。直線ではアンカツのヤマカツリリーの前に強引に入ったが、ペースとファインモーションの強さを考えればもっと早くスパートしていなければいけないだろう。ファインモーションのストライドの大きな走法と直線が短い札幌コースということを考えれば、一旦下げてでも外に出した方が懸命だったように思える。ただ最後も目一杯ではなかったようにこれが夏のG3ということか。

パドックではマイナス6キロで少し馬体が仕上がり過ぎていた感じはあったが、返し馬ではいつものバネの利いたフットワークを見せていた。ただ全体的な雰囲気は、昨年は牡馬とやってもG1を勝てるという感じがあったが、その感じが少し薄れていた。完全に仕上げていないからなのかもしれないが、怪物という評価を少し変えないといけないのかもしれない。牝馬同士では怪物級だが、精神的に幼い面がある以上、スティルインラブやピースオブワールドに負ける可能性も否定できない。次に出走するときはこちらの感じを払拭するような雰囲気を期待したい。

テイエムオーシャンはファインモーションをマークする形で6番手を進み、直線で追い出したが最後はファインに差を広げられて3着まで。上がり3Fはファインと同じ33.7秒だったが、直線での切れ味は完全に劣っていた。本田騎手はまだ本調子にないのかもと話しているが、オーシャンの本質を理解していないようでは乗り替わった方がいい。道中はファインをマークして内の馬群に押さえ込むのは予定通りだろうが、スローの切れ味勝負になったら不利なのは誰にでも想像できること。ファインをマークし過ぎて道中のペースを把握できていなかったとしても早めに動かなければいけないだろう。オーシャン自身、少し衰えた感じがなくもないが、リフレッシュすればまだやれそうだ。

ダイヤモンドビコーは2番手を進んだが直線では伸び切れずに4着。馬体が絞れて前走より良化していたが、直線では阪神牝馬Sのような粘り腰がなかった。調教量からして目一杯に仕上げていないので、まだ上積みがありそうだが、対ファインモーションという点では勝負付けは済んだ感じもある。調教で併せ馬をして馬が走りに前向きになっているときに狙いたい馬。

ヤマカツリリーはやや掛かり気味に2、3番手を進んだが、直線では全く伸びずに9着に惨敗。直線でファインに強引に入られたことで走る気をなくしたこともあるが、やはり掛かったことが影響したのだろう。パドックでは馬体の成長は見られたが、いつもより後脚の踏み込みが浅く、気合も少し不足していた。次は良くなりそうだが、それほど切れる脚がないので距離が伸びてスローの決め手勝負になると分が悪い。馬場が渋るなど何かが欲しいところ。


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