札幌記念
レース回顧
サクラプレジデントは後方で折り合いをつけて3コーナーからスパート。4コーナーで前を射程圏に入れると直線では先に抜け出したエアエミネムに迫り、最後はクビ差でレースを制した。春は田中勝騎手が折り合いをつけるのに苦労して、直線では馬が一生懸命に走るといったイメージだったが、今回はサンデー産駒独特のフワフワとしたフットワークで直線では物凄い切れ味。折り合うとここまで切れるのかと春のイメージを一新した。直線ではまだ余力があったことを評価したい。エアエミネムが調子が悪かった訳ではないので、この走りは大きく評価したい。
パドックではマイナス6キロということもあって春より細く見えたが、ジワッとした気合で馬はやる気を見せていた。調教量も少なかったし、まだ完全には仕上げていなかったが、激しい気性から逆にあまり仕上げ過ぎない方がこの馬にはいいのかもしれない。とにかくこの秋に向けて期待を持たせる内容だった。神戸新聞杯で宿敵ネオユニヴァースに春の借りを返すというプランがあるようだが、秋天を本気で目指すなら左回りの東京コースをもう1度経験するという意味で毎日王冠という選択が妥当かもしれない。ネオユニヴァースとの対決は有馬記念でも遅くはないだろう。
エアエミネムは2番手を進み、3コーナー過ぎから除々にヒマラヤンブルーとの差を詰めて直線入り口で先頭に立ったが、最後はサクラプレジデントの切れ味に屈して2着。着差がクビなので結果的にもう少し早めにスパートしていればという感じもあるが、現時点の力は出し切った印象。スローの切れ味勝負では分が悪いため、同厩のヒマラヤンブルーにある程度のペースで逃げさせた作戦は悪くはないが、2番手から34.4秒で上がって差されたのでは相手が悪かったとしか言いようがない。直線で手前を替えればもう少し伸びるのだろうが、調教でも替えていなかっただけに仕方ない。このあたりが改善されればまだ強くなる。
ノブレスオブリッジは3番手から直線でしぶとく伸びて3着。直線でサクラプレジデントに外から来られて行き場を失ったのが痛かったが、脚があれば抜け出すタイミングはあったので仕方ないところ。3走前にエメラルドSを勝ったときに地力強化が窺えたが、この走りを見るとやはり力をつけていることは間違いない。まだ重賞のタイトルはないが、この秋はメンバー次第で手が届くかもしれない。馬も陣営も直線で上位2頭に迫ったことは大きな自信になるだろう。
ヒマラヤンブルーは前半5F60秒8で後続を離して逃げたが、直線入り口でエアエミネムに交わされると最後は一杯になって4着。ペースも悪くないしこの馬なりに走っているが、結果的に上がり勝負になったのは上位に来た馬のレベルが高かったということなのだろう。それほど早い脚はないのでパンパンの良馬場より渋った馬場の方が合うタイプ。レベルが高い一戦では少し条件をつけないといけなそうだ。
トニーディアマンテは後方を進んだが、全く見せ場なく7着。馬体が成長してパドックでは目立っていたが、レースでは内と外から挟まれて気負って走っていた。馬体は仕上がっていたが、久々が影響したといった印象。この惨敗で次も人気はなさそうだが、相馬眼的に巻き返しがありそう。少し注目しておきたい。
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