ｱｲﾋﾞｽSD回顧

ｱｲﾋﾞｽSD
ﾚｰｽ回顧

ｲﾙﾊﾞﾁｵは後方を進み､中盤から除々に前の馬群に取りついて追い出すと物凄い切れ味を発揮してﾚｰｽを制した｡ﾗｽﾄ200mで1頭だけ手応えに余裕があったが､とにかく追い出してからの伸び味が抜群だった｡無理に外に出していたら馬群を割るのに苦労したと思えるだけに腹を括ってそのまま内を走り続けた左海騎手の好判断も光った｡使い込まれて馬体が減り続けていたが､当日はﾌﾟﾗｽ8ｷﾛで前走より気配が上向いていたのだから恐れ入る｡この調子をどこまで維持できるかがｶｷﾞになるが､ｽﾌﾟﾘﾝﾀｰｽﾞSで女傑ﾋﾞﾘｰｳﾞにどんな戦いを挑むか楽しみだ｡

ﾃｨｴｯﾁｸﾞﾚｰｽは好ｽﾀｰﾄから外ﾗﾁ沿いを逃げると最後までしぶとく粘って2着｡ﾚｰｽ内容としては完璧だっただけにﾗｽﾄ3F31.6秒で上がった勝ち馬を褒めるべきだろう｡逃げて最後にひと伸びするというﾀｲﾌﾟではないので､この馬なりに力を出し切った感｡調教の動きとﾚｰｽが結びつくﾀｲﾌﾟなので､次走も調教の動きをよくﾁｪｯｸしたい｡

ﾄｰｾﾝｵﾘｵﾝは好ｽﾀｰﾄから除々に外に出して好位を進んだが､最後の追い比べで負けて3着まで｡外に出すまでにﾛｽがあっただけに外枠だったら結果は違っていたかもしれない｡休み明けで初の古馬との一戦が重賞と条件は厳しかったが､3着ならまずまずだろう｡馬体には少し余裕があったが､伸びやかさが失われていなかったし､成長してきている｡ｶﾙｽﾄﾝﾗｲﾄｵは3歳時にｱｲﾋﾞｽSDで3着に入り､翌年はきっちり制した｡そういう意味も含めてﾄｰｾﾝｵﾘｵﾝは来年も注目したい｡

ｲｼﾉｸﾞﾚｲｽは好位につけたが､追い出してから駿風Sのような伸び脚がなく4着が精一杯｡位置取り､ｺｰｽ取りともほぼ完璧だったが､最後伸び切れなかったのはまだ完全に中身が戻り切っていないのかもしれない｡ﾊﾟﾄﾞｯｸでは馬体､気配とも目立っていたが､まだ良くなる余地はある｡馬体的にG3で十分やれるので今後も注目していきたい｡

ｺﾞｯﾄﾞｵﾌﾞﾁｬﾝｽは前半から飛ばしてﾃｨｴｯﾁｸﾞﾚｰｽに並びかけたが､ﾗｽﾄ200mから伸びがなく5着に敗れた｡外枠を生かそうと前半から飛ばしたことが影響したのかもしれないが､最後は馬がﾊﾞﾃたというより走るのを止めたといったｲﾒｰｼﾞの方が強い｡底力でどうにかなるほど直線1000mは甘くなかったことは覚えておきたい｡まだ上積みはありそうだが､調教で馬が走りに前向きかどうかをよくﾁｪｯｸしたい｡

ｻｰｶﾞﾉｳﾞｪﾙは前半から掛かり気味に飛ばしてﾗｽﾄ200mで一杯になって10着に惨敗｡今回からﾌﾞﾘﾝｶｰをつけたが､逆効果で馬が前半からｶﾞﾝｶﾞﾝ行ってしまった｡馬体もﾌﾟﾗｽ8ｷﾛと太かったので､今回使われたことで次は変わってくるかもしれない｡まずは調教でﾊﾞﾈのあるﾌｯﾄﾜｰｸでｶﾞﾂﾝとしたところを見せて欲しいところ｡得意の中山に戻ればまだまだ見限れない馬｡

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