神戸新聞杯
レース回顧

ゼンノロブロイは内々の6番手で折り合って直線に向くと先に抜け出したサクラプレジデントを楽々と交わして最後は3馬身半差でレースを制した。直線入り口で少しごちゃついたが、デザーモ騎手が仕掛けてからの切れ味はとにかく凄かった。重心の低いフットワークで一直線に矢のような伸び脚。内々をロスなく回ってきたこともあるが、直線でのインパクトは半端でなかった。パドックでは全体的に少し硬い印象でまだ上積みがありそうな感じだったが、それでこの脚を使うのだから恐れ入る。今後は秋天と菊花賞どちらに向かうか分からないがとにかく注目したい。山吹賞1着以来、同厩のシンボリクリスエスと全く同じステップできたゼンノロブロイ。同厩対決を含め今後が楽しみになった。

サクラプレジデントは後方を進み、4コーナーで大外を一気に捲くって直線入り口で先頭に立ったが、そこからもうひと伸びがなく2着まで。ネオユニヴァースを馬群に押さえ込む作戦は良かったが、直線で内にもたれたのが誤算だろう。武豊騎手が札幌記念の後、オンとオフしかない馬と話したように今回も持ち味を引き出したが、札幌コースでしか勝ち星がない理由が少し見えたような気もする。パドックでは雰囲気は悪くはなかったが、初輸送のためか絶好調という感じではなかった。菊花賞ではスローの切れ味勝負なら見どころはありそうだが、スタミナが問われる流れになるとどうだろう。展開がカギを握りそうだ。

ネオユニヴァースは外目の5、6番手から直線で差してきたが、リンカーンとの3着争いを制するのが精一杯で3着止まり。4コーナーでサクラプレジデントに外から来られてスパートが遅れたこともあるが、直線ではいつもの切れ味がなかった。前半少し行きたがったことや外々を回ったことなど敗因は色々あるが、福永騎手がトライアルの競馬に徹したというのが大きかったような気がする。ただ直線でリンカーンとの争いを制したように勝負強さを見せたところは好感が持てた。パドックでは春よりトモがしっかりしてきた印象で気合乗りも良く、気配はかなり目立っていた。元々使われながら調子を上げるタイプなので、次はさらに良くなってきそうだ。相馬眼的に3冠馬になれる資質は十分にあると見たが、果たしてナリタブライアン以来の3冠馬誕生なるか楽しみだ。

リンカーンは4番手から直線でネオユニヴァースとの叩き合いにハナ差や敗れて4着。サクラプレジデントが強引に捲くって内に切れ込んできた影響で直線で少しごちゃついたが、最後までしぶとく伸びて見せ場は作った。休み明けでこの内容なら本番でも楽しみはありそうだ。調教では相変わらず動かないが、春より馬体がしっかりしてきているので、どこかで一変するときが来るだろう。

ザッツザプレンティは2番手を進んだが、直線での決め手比べに敗れて5着。久しぶりにスムーズな競馬ができたが、直線で他の馬が一気に加速したときについて行けなかった。春より調教の動きは良くなってきたが、まだ力強さが不足気味。そのあたりが改善されて瞬発力が備わってくれば決め手比べにもある程度対応できるようになるだろう。菊花賞ではスローの切れ味勝負では辛いが、スタミナ勝負なら出番がありそう。ダービーで向こう正面から動いて内を回ってきたネオユニヴァースとは0.2秒差だったことを忘れてはいけない。アンカツの頭の中には既に作戦が思い浮かんでいるはずだ。

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