秋華賞
レース展望(3)
スティルインラブとアドマイヤグルーヴが人気になりそうだが、果たして割って入る馬はいるのだろうか。まずは春の実績馬だが、オークス2着のチューニーを取り上げたい。桜花賞は輸送によるマイナス20キロ減で12着に惨敗したが、2キロしか戻っていなかったオークスでは2着に巻き返した。桜花賞は直前に調教しなかったことを考えると輸送当時はもっと減っていたのだろう。オークスでは強い調教をした上での2キロ増で馬体は細くはなかった。大幅減があった後に1ヶ月弱で立て直してきたことを考えるとチューニーの底力は相当なもの。スティルインラブの鬼脚に敗れたが、例年なら勝ちに等しい内容だった。
今回は紫苑Sで6着に敗れたため、人気は落ちそうだが注意は必要だ。直線で引き離された後は後藤騎手は目一杯に追っていないが、上がり3Fは3着のヤマニンスフィアーより0.1秒上回った。1週前にはミッドタウンと併せて一杯に追われて、今週の最終調教は微調整。馬体の張り、気配が目立つし、体勢は整っている。京都内回り2000mを考えた場合、オークス2着だけでは大きく評価できないが、チューニーにはクイーンC勝ちがある。マイルをこなすスピードと仕掛けられてから反応の良さ(ギアチェンジの早さ)。さらにオークスで見せた息の長い末脚。輸送で大幅な馬体減がないことが前提になるが狙い目はありそうだ。
ローズS組からはベストアルバムを取り上げたい。上がり3F34.5秒は内を回ったアドマイヤグルーヴと同タイムでメンバー最速。速い上がりを使った馬が秋華賞では活躍することが多い。休み明けのフレッシュな状態のときに走るタイプで使い込むと馬体が減って脚捌きが硬くなるのがネックだが、今回はそういうところは見せていない。当日のテンションが上がりやすいことと既に馬体が仕上がっていることから強い調教はやらないが、陣営の必死の努力で好気配をキープできている。
ここ3戦、上がり3F34秒台を記録したように前崩れの展開になれば持ち前の末脚の切れ味をフルに発揮できそうだ。大外を回って差してくるイメージが強いが、3、4走前は内を突いて差してきたようにスペースがあれば突っ込むことも可能。このメンバーだと内を突くなどしないとローズSのように善戦止まりという気がしないでもないが、そういう意味で8枠というのが少し気になる材料。どうしても展開というファクターがついて回る。当日極度にイレ込むことがあるので最後までよくチェックしたい。
紫苑S組ではチューニーの他にレンドフェリーチェとヤマニンスフィアーに注目したい。レンドフェリーチェはスローペースでかかって大外を捲くって行ったが後続に2馬身半差をつけて圧勝した。荒削りだが、能力の一端を見せた印象で相馬眼的にも走る馬をそれを感じさせた。今回も調教でビシビシ追われて1週前に栗CWで6F76.6秒、最終調教は6F81.3秒ときっちり時計を出した。まだレースぶりが安定していないのが気にはなるが、劇走する可能性はありそうだ。
ヤマニンスフィアーは紫苑Sで勝負どころで行き場を失い、最後は内を突いて差してきたが0.3秒差の3着。直前の強い調教のためか馬体が18キロ減っていたことも多少影響したのだろう。北海道で1000万条件を勝ってきたようにこの夏に力をつけてきた一頭。最終調教では調教師の考える時計より2秒速かったようだが、馬体がフックラと戻り、しなやかな走りはかなり目立っていた。有力馬と真っ向勝負では辛いが、内を突くなど器用な脚があるので上位争いしてきそうだ。3連複には絡めておきたい馬。
あとは2歳女王ピースオブワールド、クイーンSを勝ったオースミハルカ、ローズSで2着に踏ん張ったヤマカツリリーなど走られても驚けない馬が多い。人気がないところではマイネサマンサに注目したい。忘れな草賞を勝った当時はオークスの穴馬と言われた馬で、新馬、500万、忘れな草賞まで上がり3Fは全てメンバー最速。忘れな草賞では初芝でしかも道中かかってメンバー最速の上がりを繰り出し、後にスイートピーSを勝ったメモリーキアヌに2馬身差をつけて勝ったのだから評価できる。忘れな草賞の勝ちタイム2分1秒5はローズSと同タイム。スローの切れ味勝負だと苦しいが、激しいペースになれば前に行ってしぶとさを発揮する。シリウスSをマイネルセレクトで制した中村均調教師と大西騎手のコンビも不気味だ。
これまで挙げてきたように一発の魅力がある伏兵馬が多数いる今年の秋華賞。スティルインラブが勝って3冠制覇なるのか、それともアドマイヤグルーヴが春2冠1番人気で敗れた雪辱を果たすのか、あるいは人気薄伏兵馬が突込み大波乱になるのかどうか。馬体重やイレ込みがポイントになりそうな馬が多いので、レース当日の気配をよくチェックしてから馬券を買いたいところ。各馬不利がなく力を出し切れるレースを期待したい。
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