菊花賞
レース展望

クラシック最終戦となる菊花賞。今年の注目は何と言ってもネオユニヴァースだろう。ナリタブライアン以来9年ぶりの3冠馬誕生なるのかどうか。結論から言うとその確率はかなり高いとみている。今年の菊花賞はネオユニヴァース、ゼンノロブロイ、サクラプレジデント、ザッツザプレンティの4頭とそれ以外の馬とは能力差があるように思える。世間は3強対決と言うが、相馬眼的にザッツザプレンティも含めてここでは4強。もちろん穴馬探しを諦めた訳ではないが、今のところ4頭で決着する可能性が高いとみている。

ネオユニヴァースはダービーのパドックでじっくり観察したが、馬体の作り、バランスもさることながら、とにかく気合乗りが素晴らしく、かなりのオーラをかもし出していた。有料版のパドック診断ではネオユニヴァースが1番手評価。このとき直感的にダービーだけではなく、菊花賞もこの馬にやられると思ったほど。神戸新聞杯でもじっくり観察したが、相馬眼的に3冠馬になる(菊花賞を勝つ)資質は十分にある。

ネオユニヴァースは宝塚記念を使ったことで秋に疲労が残るか不安視されたが、神戸新聞杯での馬体、気配を見る限り問題なさそうだ。神戸新聞杯ではゼンノロブロイに0.7秒の差をつけられたが、福永騎手がトライアルの競馬に徹したのだから仕方ない。4コーナーで行こうと思えば行けたし、直線でも目一杯に追っていない。調教の動きを見ると動きが素軽くなり、明らかに調子を上げている。本番の今回は渾身の仕上げ。距離3000mは全く問題なく、京都は3戦3勝の得意コース。今度はゼンノロブロイに負けられない。

残る3頭ではザッツザプレンティに注目したい。全姉マニックサンデー、近親にバブルガムフェローなどがいて距離は2000mがベストと思われがちだが、相馬眼的にかなりのスタミナがあるとみている。実際、ダービーでは18番枠を引いたことで終始大外を回ってしかも向こう正面からスパートしたが、それでネオユニヴァースとは0.2秒差だった。アンカツは何も考えずにスムーズに乗ると話していたが、かなり無謀な騎乗。ただザッツザプレンティのスタミナを証明してくれたのだから、それを見逃す手はない。

ただ問題はネオユニヴァースと同じ社台RHの持ち馬ということ。皐月賞でネオユニヴァースが勝てたのもアンカツが直線で道を譲ったことが大きかったし、ダービーでもアンカツは内のネオユニヴァースを意識しながら追っていた。ネオユニバースに3冠がかかっているだけにどんな競馬をするのか分からないが、ザッツザプレンティが先に抜け出した後にネオユニヴァースが差して来れない場合も考えられる。調教の動きを見ると春より腰がパンとしてきた印象で動きは明らかに前走以上。春からの成長ということを考えても狙い目は十分ありそうだ。重馬場になれば心肺機能の高さと持ち前のスタミナが生きるのでチャンスは広がる。

ゼンノロブロイは神戸新聞杯の弾け方は半端じゃかなったように2000mならネオユニバースが完調でも勝てるかもしれない。ただし今回は3000mの長距離戦。2000mであれほど切れる馬が3000mで同じように切れるのかどうか。超スローの決め手勝負なら弾けそうな気もするが、今回はスタミナ勝負に持ち込みたい馬が多いので、そういう流れになるかどうかは微妙。ただダービーでネオユニヴァースとの差を最後に詰めたようにゼンノロブロイには底力があるので、大きくは評価を下げられない。まして鞍上はペリエ騎手。怖い存在であることは間違いない。

サクラプレジデントはダービーのレースぶりを見ると長距離はいかにも駄目そうだが、武豊騎手が騎乗するようになってからは折り合いがつくようになった。マルゼンスキーの肌にサンデーサイレンスというのはスペシャルウィークと同じで血統的に3000mは全く問題はない。ただし馬体の作りや走法から長距離向きとは言いにくい。そのあたりをどう武豊騎手がごまかして騎乗するか。97年の春天でマヤノトップガンがサクラローレルとマーベラスサンデーを差し切ったようなレースが武豊騎手のイメージか。一発狙いに徹してくると少し怖いところもある。

あとは神戸新聞杯4着のリンカーン、ラジオたんぱ賞とセントライト記念を連勝中のヴィータローザ、スタミナ豊富で京都外回りコースが合うチャクラ、前走はマイルを使ったが長距離の適性があるアスクジュビリーあたりだが、上位4頭と比較するやや落ちる印象。食い込みあれば前走不利があったリンカーンだが、まだ坂路で速い時計が出ない実状ではどうだろう。血統的にはパシフィカスの血が流れるシルクチャンピオン、父ダンスインザダーク、母ディクタスで菊花賞向きの血が流れるマッキーマックスあたりだが、上位4頭を負かすところまで行くかどうか。展開、馬場、枠順などからもう少し穴馬を探してみたい。

[Home]