天皇賞(秋)
レース展望(1)

外国産馬の出走を巡り、前哨戦から色々あったが、結局は登録した4頭とも出走できそう。ファインモーションの出走がないのが残念だが、毎日王冠で惨敗したのだから仕方ない。メンバーを見渡すと当初出走を表明していたゼンノロブロイでも十分勝負になりそうだが、大将格は同じ藤沢和厩舎のシンボリクリスエス。宝塚記念は5着に敗れたが、昨年の秋は本当に強かったし、有馬記念での末脚のインパクトは忘れられない。これに続くのはローエングリン、アグネスデジタル、エイシンプレストン、ツルマルボーイといったところ。今回のポイントはシンボリクリスエスの取捨。まずはここから探ってみたい。

シンボリクリスエスは相馬眼的にサラプレットの理想形とも言える馬体の作り。宝塚記念の前にツルマルボーイを管理する橋口調教師が「あんな馬が出走するのに勝つと言ったら馬鹿かと思われる」と話したようだが、馬体だけならシンボリクリスエスに勝てる馬はいない。ただし宝塚記念ではあのデザーモが騎乗して5着に敗れた。当日は内が伸びない馬場だったとは言え、昨年秋の末脚は影を潜めた。休み明けでも十分に乗り込まれたし、パドックでは後脚の踏み込みが少し浅かったが、仕上がり自体は悪くなかった。

何が言いたいかというと競馬では強い馬がいつも勝つ訳ではないということ。宝塚記念のような強引な競馬はシンボリクリスエスには合わないし、今回も同じような競馬をすれば最後脚が上がるだろう。強い馬でも自分に合った競馬ができなければ簡単には勝てない。菊花賞を勝ったザッツザプレンティはダービーでの無謀な騎乗から陣営はスタミナがあることを学び、菊花賞ではそれを実践した。シンボリクリスエスは宝塚記念で課題は見えている。陣営もそれを把握しているし、今回は宝塚記念のような競馬はしないだろう。ただ展開に左右される部分がなくもない。

あとは宝塚記念以来となる点だろう。過去にはタマモクロスが制しているが、過去10年では休み明けで連対した馬はいない。エアジハード(安田記念)とメイショウドトウ(宝塚記念)が3着に入ったが、前走G1を勝っていた。シンボリクリスエスは9月末からじっくり乗り込まれているし、昨年ダービー以来となった神戸新聞杯を勝ったように秋の鉄砲駆けの実績もある。ただし賞金が2倍で種牡馬としての価値が高まるジャパンCの叩き台ということも考えられなくもない。最終調教の動きと馬体の仕上がりから力を発揮できるデキかどうか判断したい。

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