ジャパンCダート
レース回顧

フリートストリートダンサーは3コーナー過ぎからスパートして先頭に並びかけると直線では一気に後続を突き放した。最後はアドマイヤドンと激しい叩き合いになったがゴール寸前で差し返してレースを制した。好スタートから先行してスムーズに進められたことが勝因のひとつ。あとは大型馬だがそれほどパワー型ではないので不良馬場が有利に働いた印象。パドック診断で取り上げたように当日の仕上がりも良かった。最後の直線でコート騎手が鞭を持ち替えて目一杯に追ったことも見逃せない。初めての外国馬優勝で来年は大物が参戦してきそうだ。

アドマイヤドンは好位から徐々に進出。直線に向くとしぶとく伸びて一旦は先頭に立ったが、最後はフリートストリートダンサーに差し返られて4センチ差の2着。アンカツが目一杯追って力を出し切ったが、それにしても惜しい敗戦。アンカツはセントウルSでは2センチ、スプリンターズSでは15センチに続き、またしても少差での2着となった。当日はプラス3キロで馬体は細くなく、パドックでもいいときの気合の乗った表情を見せていた。調教は動かなかったが、きっちり仕上がっていたことは覚えておきたい。次走は有馬記念になるようだが、元々芝で走っていたので大きな問題ないだろう。多少疲れが心配だが、馬場が荒れれば見せ場以上があるかもしれない。

ハギノハイグレイドは中団から差して5馬身差の3着。好位を進んでいたが、いつものように勝負どころで置かれたことで前の馬に離されてしまった。最後は伸びてきたが、このあたりが改善されないと一線級相手では苦しい。パドックでは腹回りの張りが素晴らしく、松田国調教師、渾身の仕上げといった印象。7歳馬だが、今後も頑張って欲しい。

スターキングマンは中団を進み、直線で内を突いて伸びてきたが最後はハギノハイグレイドに交わされて4着。2100mの距離に不安があったが、この走りになら大きな問題はなさそう。左回り走る馬で直線での伸び脚はそれなりに見どころがあった。アドマイヤドンがいなければG1を勝てるところまで地力強化されている。

ディーエスサンダーは後方からしぶとく伸びて5着。最後しぶとく伸びてきたように力は出し切った印象。前に行った馬に有利な馬場状態だったことを考えると良く走っている。長い距離でゆったりとしたペースで進められると強いタイプなので、そういう条件が揃ったときに狙いたい。

サイレントディールは好位を進んだが、直線で伸びを欠き7着に敗れた。ペリエ騎手は下を気にしながら走っていたと話しているが、前走も馬場は渋っていたのでそのあたりは少し微妙。プラス10キロだったが、馬体が戻ったといった印象でパドックでは前走より良く見えた。武蔵野Sでは1枠が有利に働いた感が強いので、そのあたりを今回見極めたかったが、まだグレーの部分を残している。ただ脚捌きはダート向きで適性が高いことは間違いない。

ユートピアは好位を進んだが、向こう正面で手綱が動き、直線では全く見せ場なく12着敗退。泥を被らないように外を通ったが、前走と同じように途中から手応えが悪くなった。武豊騎手は精神的なものかもしれないと話しているが、確かにそうなのかもしれない。集中力が持続していないように見えるので距離が短縮すれば一変する可能性がある。調教の動きや馬体からもっと走っていい馬。

ビッグウルフは後方からそのまま雪崩れ込んで13着。渋った馬場は得意だが、全く見せ場がなかった。パドックでは仕上がりが良く見えただけに不可解な敗戦。430キロ台の馬体でストライドが小さいため、広い東京コースは合わないのかもしれない。渋った馬場は本来は合うタイプ。今回の敗戦だけで大きく評価は下げられない。

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