朝日杯FS
レース回顧

コスモサンビームは5番手から徐々に進出し、直線でアポインテッドデイの内に潜り込むと一気に末脚を爆発させ、最後はメイショウボーラーを首差交わしてレースを制した。1枠で前半ロスなく進めたことが有利に働いたこともあるが、最後の切れ味はとにかく凄かった。最後の苦しいところで他馬と回転数の違う走りができるというのはかなり高レベル。直線でアポインテッドデイが外に寄れた瞬間に内を突いて目一杯に追ったバルジュー騎手の手綱捌きも光った。今後は調教師はマイル路線を進ませたいようだが、馬主サイドの要請によってはまだどうなるか分からない。同馬主のコスモバルクもザグレブ産駒だが、ザグレブがアイルランドに帰った後に走り出すのだから競馬は面白い。佐々木晶厩舎はジャパンCのタップダンスシチーに続き1枠1番でG1制覇。有馬記念でタップダンスシチーが1枠1番に入るようだと面白い。

メイショウボーラーは前半5F57.5秒のハイペースで逃げて直線で後続を引き離したが、最後はコスモサンビームに差されて惜しい2着。ゲート入りを嫌がって少しテンションが上がったことと、スタートしてすぐ内のリガードシチーを行く気を見せたことで一気に行き過ぎてしまったが、それにしてもこのペースで最後まで粘るのだから強い。競馬にタラレバは厳禁と言われるが、8枠でなければ勝っていたかもしれないというのが正直な印象。ただし今後は他馬も成長して追いついてくる。朝日杯を逃げ切った後に皐月賞、ダービーを制したミホノブルボンとは馬体が違うが、白井調教師が今後どういう馬に仕上げてくるのか注目したい。

アポインテッドデイは2番手からしぶとく粘って3着。直線でこれからというときにフラフラしてしまったが、能力のあるところを見せた。レースぶりに派手さはないが、スピードの持続力のあるタイプでこれからパンとしてくればもっと走ってくるだろう。10番人気と全く人気はなかったが、この馬の本質を理解できた人にとっては実においしい馬券になった。京王杯2歳Sのゴール後にコスモサンビームに並びかけていたのを見逃してはいけない。堀井厩舎は朝日杯FSに有力馬を送り込んでくるがあと一歩足りない。ただ着実に着順を上げてきている。来年も出走させてきたら注目したい。

フォーカルポイントは最後方から追い込んで4着に突っ込んだ。メンバー2位のコスモサンビームの上がり35.8秒を0.9秒上回る34.9秒の切れ味。東京スポーツ杯2歳Sでアドマイヤビッグに迫った脚はやはりダテではなかった。スタート後に同厩のフサイチホクトセイが内に斜行したことで大きな不利を被り、位置取りが悪くなったのが惜しまれる。同厩だけに調教師も頭が痛いだろう。フォーカルポイントはまだ馬体の完成度がそれほど高くなく、今後の上積みがかなり期待できそう。馬が走りに前向きになりつつあるのもいい。東京コースで激走がありそうなので注意したい。

フサイチホクトセイは5番手から最内を突いて一瞬伸びかけたが、最後のひと伸びがなく5着。馬体が絞れ、状態は上向いていたが、最後伸びなかったのは距離なのかもしれない。馬体を見ても適距離は1200mから1400mあたりにありそう。ただこれからの成長で馬が変わる可能性があるので決めつけてはいけない。迫力満点の馬体はかなり目立つので、脚元さえ無事なら活躍できそうだ。

グレイトジャーニーは後方から徐々に進出したが、最後の切れ味がなく7着止まり。マイネルパナッシュの競走中止や道中小さな不利が微妙に影響して位置取りが悪くなったが、最後もう少し切れて欲しいという感じも残った。このあたりはキャリアの差も多少あるのだろう。ただ後方から差を詰めてきたように悲観する内容ではない。パドックではバランスのいい馬体と柔らかさのある歩様がひと際目を引いた。資質の高さは明らかなので、今後走ってきそうだ。走る馬に共通する柔らかさに力強さが加わったときG1制覇が見えてくるはずだ。


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