有馬記念
レース展望

今年の最後を飾るグランプリ有馬記念。今年は95年以来8年ぶりの12頭立て。2冠馬ネオユニヴァース、3冠牝馬スティルインラブ、昨年の1番人気ファインモーションの参戦がないのは残念だが、秋のG1を制したシンボリクリスエス、タップダンスシチー、ザッツザプレンティの3頭が揃って出走する。古くはオグリキャップのラストランV、トウカイテイオーの奇跡の復活などのドラマが繰り広げられてきたが、今年はどんなドラマがあるのか楽しみだ。今年最後の大一番。各馬不利なく力を出し切るレースを期待したい。

1番人気はシンボリクリスエス。ジャパンCは重馬場でしかも各馬にマークされて伸び伸び走れなかったのが大きな敗因。重馬場はこなすが、マークされてストレスの大きい競馬になったことも影響した。勝ったタップダンスシチーが調教やレースでも鍛え上げられているのに対し、シンボリクリスエスはそこまでは鍛えられていない。荒れた重馬場でその差が出たような気がする。ジャパンC前はいつもより調教が軽かったが、レース当日はプラス6キロ。ひと叩きされて中3週ということを考えると多少太かったか。

今回はジャパンCの前とは全く違う乗り込み量。同じ中3週でも調教はかなり強化されている。今回が引退レースだが、それを意識させないくらいの仕上げだ。レース後に引退式というと同じ藤沢和厩舎のタイキシャトルを思い出すが、タイキシャトルはプラス6キロで3着に敗れた。シンボリクリスエスが当日プラス体重だと評価を下げたい気もするが、時期的なこともあるので馬体を見てみないと何とも言えない。現時点では太め感はないので、おそらくマイナス体重での出走になるとみている。

藤沢和調教師は直線に向いた時にタップダンスシチーと5馬身差なら何とかなると話している。ジャパンCで逃げ切られただけにもっと積極的に負かしに行っても良さそうだが、宝塚記念のことが頭にあるのだろう。早く仕掛けて強引な競馬をすると最後伸びない。昨年の有馬記念のようにギリギリまで溜める競馬か。追われてからトップギアに入るまでの時間が短いので中山の急坂で加速できるのが強み。前に目標になる馬がいると加速して抜かしに行くので、タップダンスシチーが格好の目標になるかもしれない。ただ逆にタップダンスシチーのペースに翻弄される可能性も多少残している。

ゼンノロブロイは菊花賞以来2ヶ月ぶりの実戦。菊花賞では3コーナーで外から一気に来られて行き場を失い後方に下がったが、最後鋭く伸びて0.5秒差の4着まで盛り返した。ペリエ騎手の騎乗ミスと言われているが、騎手にしか分からない部分もあったのだろう。パドックでは前捌きに硬さがありスムーズさを欠いていた。当初は秋天が目標だったため、神戸新聞杯を菊花賞のトライアルという位置づけで走らなかったことが微妙に影響したように思える。秋天なら中4週だが、菊花賞だと中3週。そのあたりが調整過程にも表れていた。それでも最後に伸びてきたのは底力の証明。そこは評価しないといけないだろう。

先週の調教ではシンボリクリスエスに少し遊ばれたが、最終調教では最後まで楽な手応えのまま先着した。馬体も成長しているし、今回は菊花賞のときより仕上がりは良さそう。藤沢和調教師は見かけはまだ少し頼りない感じと話しているが、それは究極のサラブレットであるシンボリクリスエスと比較しての話なのだろう。相馬眼的には既に古馬と対等にやれるところまできている。競馬センスはシンボリクリスエス以上なので、どんな競馬でもできるのが強みだ。

藤沢和厩舎と柴田善騎手の重賞での成績は[2-2-2-19]で連対率16.0%。今年は[1-0-1-13]で連対率6.7%と良くないが、ゼンノロブロイのような馬に騎乗していないこともある。柴田善騎手は先週の日曜に馬に蹴られて足を負傷した。スポーツ選手は怪我をしたとき好成績を挙げることが非常に多い。99年に横山典騎手がブラックホークでスプリンターズSを勝ったときも捻挫をおしての騎乗だった。土曜の騎乗を見てみないと分からないが、プラスに働くような気がしている。


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