有馬記念
レース回顧

シンボリクリスエスは3コーナー過ぎでリンカーンがスパートすると一緒に上がって行き、直線では一頭だけ次元の違う伸び脚で9馬身差をつけて楽勝した。全く危なげないレースぶりでレコード勝ち。早めに動くと終いが甘くなるという心配もあったが、藤沢流ハードトレで鍛えられたシンボリクリスエスは難なくそれを乗り越えた。ジャパンCのときはゲートで暴れたが、今回は大外枠で最後のゲート入りだったことも良かったのだろう。パドックでは2キロしか減っていなかったが、研ぎ澄まされた馬体は既に他馬を圧倒していた。サラブレットの理想形とも言える好馬体は相馬眼のいいお手本になる。これだけのレースを見せられて引退とは何とも勿体ないが、種牡馬としての血統的な魅力もあるので仕方ないところ。黒鹿毛の大型馬が出たら思わず馬券を買ってしまいそうだ。産駒のデビューが今から待ち遠しい。

リンカーンは4番手を進み、3コーナー過ぎから大外を捲くって直線入り口で先頭に立つとそのまま粘り込んで2着を確保。3コーナーでタップダンスシチーが内に入った瞬間に外から被せるようにスパート。多少ごちゃつくシーンはあったが、武豊騎手の頭脳プレーが光った。最後はゼンノロブロイに迫られたが、直線入り口での貯金があれば粘り込めるというのは計算通りなのだろう。さすがに有馬記念を知り尽くしている武豊騎手といった感じだが、それに応えたリンカーンも立派。パドックを見る限り絶好調という感じではなかっただけに評価したい。春は天皇賞を目指すが、ネオユニバース、ゼンノロブロイ、ザッツザプレンティの4歳対決が今から楽しみだ。馬体がさらに成長すれば坂路の動きも良くなってくるだろう。

ゼンノロブロイは内々の4、5番手を進み、4コーナーで外に出して差してきたが、最後はリンカーンと3/4馬身差の3着。シンボリクリスエスとは大きな差があったが、リンカーンとは仕掛けのタイミングの差だろう。もう少し切れ味を生かせる流れならもっと際どいレースができたはずだが、現時点での力は出し切った印象。プラス12キロだったが、菊花賞のときより馬体に実が入った印象で調子を上げていた。どんなレースでも崩れないのがゼンノロブロイの強み。今まさに力をつけているところなので春には頂点に立っているかもしれない。春天でザッツザプレンティのロングスパートにどう対応するか。藤沢和調教師がどう仕上げていくを注目していきたい。

ツルマルボーイは離れた最後方から追い込んで3着と半馬身差の4着。上がり3Fはシンボリクリスエスを0.1秒上回るメンバー最速の35.2秒。3コーナーでは前との差がかなりあり圏外と思われたが、それにしてもよく追い込んできた。もう少し前につけていれば2着はあったかもしれないが、極端なレースをしたから末脚が爆発したとも言える。ただ馬体を見る限りは絶好調という感じではなかった。休み明け走るので復帰戦から注意していきたい。

ウインブレイズは中団からしぶとく伸びて5着。4コーナーでごちゃついて外に出すのに手間取ったのが痛かった。もう少しスムーズならもっと際どかっただろう。ただ厳しいレースで5着したことを評価したい。パドックでは馬体を大きく見せて堂々と周回。馬体の張り、雰囲気はかなり目立っていた。6歳にしてようやく本格化。相手なりに堅実に走るので今後も期待できそうだ。

タップダンスシチーは1周目の4コーナーまで逃げたが、ザッツザプレンティとアクティブバイオを前に行かせて3番手。3コーナーで内に入れたところでリンカーンに被せられて4コーナーで窮屈になるシーンがあったが、そこから抜け出す脚がなく8着に敗れた。自分の競馬をさせて貰えなかったが、それ以前にパドックでジャパンCのときの迫力がなかった。ジャパンC後も調教の動きが良く反動はないように見えたが、実際は違っていた。重馬場のジャパンCでの激走は想像以上に過酷ということなのだろう。来秋は凱旋門賞に挑戦するようだ。明け8歳なので、どこまでピークを維持できるかが鍵になる。

ザッツザプレンティは前半から11秒台のラップで飛ばしてアクティブバイオと競り合い、4コーナーからズルズルと後退して11着惨敗。これまではかかることはなかったが、1周目の直線入り口で2頭に挟まれたことで馬がムキになってしまったようだ。タフな馬でパドックでも馬体、気配は良かったが、菊花賞、ジャパンCで激走したストレスがあったか。来春の目標は春の天皇賞。もうワンランク上に成長しそうなので、まだ強くなる。ヒシミラクルとの超ロングスパート対決をぜひ見せてもらいたい。


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