弥生賞
レース回顧

コスモバルクは2番手を進み、直線で逃げたメイショウボーラーをきっちりと差し切ってレースを制した。前半5F60.9秒のゆったりとした流れだったが、2番手からメンバー最速の34.6秒の末脚を使ったのだから評価できる。しかも道中少しかかっていた。馬体の作り、調教の動きがこれまでのイメージを一新した点も見逃せない。バランスがいいとは言えない走法は父ザグレブ譲り。父は3戦目の愛ダービーを6馬身差で制したが、コスモバルクも距離は持ちそうだ。たんぱ杯に続き、サンデー産駒の良血馬を撃破。良血馬が鍛えられていないとは言わないが、ビッグレッドフォームで丹念に鍛えられたからこその勝利だろう。北海道での調整、長距離輸送など大きなハンデはあったが、田部調教師は「この馬の調整は手の内に入っている」と自信を持って話す。五十嵐冬樹騎手が「僕が乗った中では生涯で1番強い馬」と語った。陣営の揺るぎない自信。皐月賞に向けてクリアしないといけない課題も多いが、陣営にはそのゴールがはっきりと見えているだろう。既にその先も視界に入っているに違いない。皐月賞はもっと激しいレースになるが、それによってコスモバルクのパフォーマンスの高さがさらに明らかになる可能性が高い。

メイショウボーラーはスローペースで逃げてラスト3Fからスパート。最後はコスモバルクに交わされたが2着を確保した。折り合りに進境を見せたが、この馬の持ち味であるスピードを引き出せなかったのはやや不満が残る。トライアルと言ってしまえばそれまでだが、終いの切れ味で勝負するタイプではない。本番はもっと激しい戦いになるだけに真価が問われそうだ。パドックでは馬体の作り、気配はかなり目立っていた。相馬眼的に距離はもっと短いところに適性があるが、3歳春は完成度の高さで距離はこなすもの。皐月賞は強気に乗らないと勝ちは見えてこない。ただそれをやると惨敗の可能性も少なからずある。馬の能力を最大限に引き出す作戦とラップ。昨年、外々を回って3着に終わった福永騎手がどんな結論を出すか楽しみだ。

メテオバーストは3番手からしぶとく伸びて最後はメイショウボーラーに詰め寄ったが1馬身差の3着。休み明けでテンションが高かったが、色々な面で陣営の工夫が見られた。レースではアンカツがスローを読んでいたのか、最初から前につける作戦。これが功を奏した感じがしないでもないが、初めての2000mで本番の権利を獲ったのだから素直に評価したい。まだ前捌きが少し硬いが、昨年より良くなっていた。調教の動きはいいが、そのあたりが改善されればもっと走れるるだろう。切れ味より、しぶとさを生かした方が良さそうなので、本番でも流れ次第では残り目があるかもしれない。

ハイアーゲームは出遅れて後方を進み、直線では大外から伸びて4着まで追い上げた。直線では少し前が詰まったが、東京コースで見せるような鋭い切れ味はなかった。相馬眼的に相当な能力があるのは間違いないが、小回りの中山でスローペースだと現時点ではこれくらいなのかもしれない。皐月賞は賞金的にかなり厳しくなったが、出走できれば流れ次第である程度は対応できるだろう。走法的に東京コースが合うので、ダービーに出走できればかなり面白い存在。陣営がどう仕上げてくるのか、注目していきたい。

フォーカルポイントは後方から徐々に進出したが、直線で後ろから来たハイアーゲームに差されて5着に敗れた。賞金的に皐月賞に出走できるとは言っても物足りない内容。ただし、道中折り合いを欠いていたし、直線でも手前を替えていなかった。折り合いを欠いた理由は分からないが、横山典騎手は分かっているはずなので、次は対策してくるだろう。これが本番ではなくて良かったというのが正直なところか。この一戦だけで見限る訳にはいかない。朝日杯FSで見せた芯の入った末脚がこの馬の大きな武器。横山典騎手が大胆に乗ると本番は怖い。

トゥルーリーズンは中団からしぶとく伸びて6着。キャリア3戦目でこの内容なら今後の目処は立ったとみたい。馬体の作り、気配から能力は高いので、使われるごとに力をつけてきそうだ。中山もこなせなくはないが、走法的に東京コースの方が合いそう。今後の成長次第で大化けする可能性を秘めている。

グレイトジャーニーは中団から徐々に進出したが、直線で伸びを欠き7着に敗れた。早めに仕掛けていく展開が向かなかったしにしても、馬体の張り、気配とも良く、かなり仕上がっていただけにトゥルーリーズンから3馬身半差というのはいただけない。坂路で鍛えてパワーアップを図っているが、中山の急坂が向かないのかもしれない。朝日杯FSでは不利があったが、上がり3Fは今回とほぼ同じだった。ノーリーズンの半弟で血統的な魅力はあるが、皐月賞に向けて陣営がどう対策してくるか、しっかり見ていきたい。


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