オークス
レース回顧
ダイワエルシエーロは向こう正面から先頭に立ってペースを落とし4コーナー手前からスパートすると最後までしぶとく粘ってそのまま逃げ切った。前に行ってスピードの持続力を生かし切った福永騎手のファインプレー。この日は7Rと9Rで最内を通った逃げ馬が勝っており、コース取りも有利に働いた印象もある。ただし、ダイワエルシエーロのスピードの持続力と底力があってこその勝利。桜花賞では大外枠を引き、力を出し切れなかったが、大一番で見事に巻き返した。松田国厩舎で鍛え上げられた馬は能力が反映されやすい東京コースに強い。秋にはひと回り成長した姿を見せてくれることを期待したい。オークスは440キロ以下の小柄な馬が強いと言われるが、ダイワエルシエーロは430キロ。来年も小柄な馬に要注意。
スイープトウショウは内々で折り合って直線で馬群を割って伸びてきたが3/4馬身差の惜しい2着。距離が不安視されていたが、スローでマイルの競馬になったのが良かったのだろう。稍重の馬場でメンバー最速の34.2秒の切れ味は高評価できる。初めて内々を進む競馬もクリアしたし、今後に向けて大きいレースだった。本馬場入場をかなりごねたようだが、自分が納得するときちんと動く馬。今回はゲート入りもスムーズで、スタートも抜群だった。ガニ股走法はハーツクライに通じるものがあるが、どちらも凄い瞬発力を備えたタイプ。秋にはまた違った姿を見せてくれるだろう。
ヤマニンアラバスタは後方から追い込んで3着。直線ではかなり前との差があったが、凄い末脚でダンスインザムードを差し切った。4コーナーでごちゃついたし、外々を回るかなりのロスがあっただけに強い内容。もう少しペースが早ければ際どかったかもしれない。馬体は腹めが細く、決して目立つ馬ではないが、スタミナと息の長い末脚はいいものがある。既に11戦使われているので、今後どこまで成長するのかは少し疑問だが、馬体に実が入ってくるようなら楽しみはある。
ダンスインザムードは好位を進み、直線で外に出して追ったが、内に寄れて伸びを欠き4着に敗れた。初めて前後左右を囲まれて、しかも泥を被る競馬で道中息が入らなかったのだろう。テンションが上がり気味だったので大事に乗ったのかもしれないが、能力があるのは分かっているのだから横綱相撲の競馬でも良かったように思える。パドックではテンションが高かったが、地下馬道で発汗が目立っていたところを見るといつもとは少し違っていたのかもしれない。プラス12キロに関しては前走は輸送があったし、見た目は全く太いという感じはなかった。調教でも時計にならないところで負荷をかけていたので太め残りだったとは思わない。藤沢和調教師は弁解しないが、何を言っても言い訳になるので、これから証明してくしかない。あと誤算があったとすれば疲れでクイーンCを回避し、東京コースを経験できなかったことだろう。クイーンCを勝ったのはダイワエルシエーロだった。相馬眼的に相当なレベルにあることは間違いないので、今後の活躍を期待したい。
ヤマニンシュクルは後方から差してきたが5着が精一杯。スローペースで上がりが速くなったことが堪えた印象。息の長い末脚と切れ味のある馬だが、徐々に加速してスピードを持続するタイプなので、渋った馬場で持ち味を削がれたのだろう。パドックでは馬体の作り、気配は目立っていたが、全く力を出し切れなかった。走法的に東京コースは合うはずなので、良馬場なら見直したい。相馬眼的に牡馬相手でもやれそうな馬。
ウイングレットは前に行ってしぶとく粘ったが、最後は一杯になって7着。距離2400m、渋った馬場と条件は厳しかったが、よく踏ん張っている。昨夏より馬体の成長が見られるし、スピードがあるので適距離なら相当やれそうだ。ためれば切れそうなので、どこかで脚質転換をしてくるかもしれない。
アズマサンダースは3番手を進んだが、直線でダンスインザムードに寄られる不利が響いて8着に敗れた。不利の後、蛯名騎手が外に出して目一杯に追ったが、ああいう形になるとさすがに苦しい。馬体はこの距離で絞ったのか、それとも1週前の激しい調教と輸送で減ったのかは微妙だが、パドックでの気配は悪くなかった。距離の守備範囲は広そうなので、今後の牝馬戦線を盛り上げていってくれるだろう。G1を勝つにはもうワンパンチ欲しい。
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