金鯱賞
レース回顧

タップダンスシチーは3番手を進み、4コーナー先頭から後続を一気に突き放すと最後はブルーイレヴンの追撃を凌ぎ切ってレースを制した。サイレンススズカより0.3秒早い、1分57秒5のレコードタイム。今年7歳になったが、59キロを背負ってこのレースぶりなら力の衰えはなさそうだ。馬がよく競馬を分かっているし、佐藤哲騎手も馬のことを知り尽くしている。直線入り口で後続を一気に突き放したレースぶりは圧巻だった。次走の宝塚記念はこのひと叩きでさらに調子を上げてきそうなので相当やれそうだ。有馬記念では惨敗したが、4歳馬を力で捻じ伏せるシーンは十分に考えられる。激しいレースで各馬の底力が明らかになりそうだ。

ブルーイレヴンは道中最内をロスなく回り、直線で外に出すと猛然と追い込んで頭差の惜しい2着。あと数メートルあれば差し切っていたが、タップダンスシチーもそれを見越してスパートしているし、相手が59キロで休み明けだったことを考えるとまだ力差がありそう。ただし、今回は折り合いに進境を見せたし、末脚の切れも際立っていた。一戦ごとに成長してきているので今後が楽しみだ。もう少し底力が充填されれば、毎日王冠、天皇賞(秋)あたりで面白い存在になりそう。

ザッツザプレンティは好位を進み、直線で一旦手応えが怪しくなったが、最後しぶとく伸びて3着を確保した。最後は地力のあるところを見せたが、小回りコースでこの時計では仕方ないところ。馬体が徐々に減って菊花賞当時と比べると物足りなさが残るが、暑さに弱いタイプなのかもしれない。今回は高速決着にある程度対応したが、得意の重馬場になると走りが一変する馬。その点は注意したい。

マグナーテンは2番手からなだれ込んで4着。4コーナーでタップダンスシチーが捲くってきたときに手綱を引っ張っていたが、あれは何の意味があるのか。時計を考えると仕方ないのかもしれないが、スピードがあるだけにもう少し強気にいっても良かったように思える。田中勝騎手が控え過ぎて持ち味を殺してしまった印象。マグナーテンは暑くなると調子を上げるので、引き続き注意したい。

アドマイヤグルーヴは武豊騎手が馬群を上手く捌いて進出したが、直線で伸びを欠き5着に敗れた。前走がプラス18キロで今回は10キロ減で絞れていたが、パドックでの気配は前走の方が良かった。前走の大阪杯で牡馬と戦って負けたことで馬の闘争心が薄れたか。57キロで高速決着というのもあるのだろうが、少し気になるところ。ただこういうタイプは牝馬同士になると強さを発揮するので要注意。

スティルインラブは中団を進んだが、直線では全く見せ場なく8着に敗れた。休み明けでプラス8キロ。パドックで集中して周回する馬だが、今回は煩く、少し発汗していた。馬場に出てからも煩かったし、休み明け初戦はやはり良くないようだ。このあたりは陣営は最初から考慮しているので、目一杯に仕上げていない。次は変わってきそうだ。ただ今日のタップダンスシチーの強さを見ると逆転するのは楽ではない。何かしら作戦が必要だろう。

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