宝塚記念
レース展望

春のグランプリ宝塚記念。3歳馬とネオユニヴァースの出走がないのが残念だが、春の王者を決めるにふさわしい好メンバーが揃った。過去10年で1番人気は[6-2-0-2]で8連対。ファン投票1位が1番人気になると[4-2-0-1]で唯一連対を外したのは昨年のシンボリクリスエス。ただし有馬記念以来の休み明けだった。順調に使われている馬なら連対率100%。今年のファン投票1位は天皇賞(春)で13着に敗れたリンカーン。例年とは違う感じだが、それだけ今の中長距離路線にスターがいないという証拠。果たして1番人気になるのかどうか。いずれにしても有力各馬の人気は接近したものになりそうだ。天皇賞(春)は積極性に欠ける情けないレースだっただけに宝塚記念は力と力のぶつかり合いを見てみたいもの。各馬不利なく力を出し切るレースを期待したい。

タップダンスシチーは金鯱賞で59キロを背負って1分57秒5でレコード勝ち。サイレンススズカのレコードを0.3秒更新した。休み明けで59キロを背負ってレコード勝ちだと常識的に反動が心配だが、叩き2戦目でさらに調子を上げるのがこの馬のパターンだけに心配無用か。ブルーイレヴンと接戦だったことを危惧する向きもあるが、59キロを背い厳しい展開で前に行って押し切ったことを評価したい。過去10年の連対馬は全て4、5歳馬でデータ的に苦しいが、今のデキならデータを覆しても何ら不思議でない。馬は競馬を分かっているし、阪神の高速決着にも対応できるタイプ。右回りだと内にもたれるので直線で内ラチを頼りたいが、その点で大外枠を引いたのが少し気になる。ただ底力は相当なものがあるので、強気な競馬をしても簡単にはバテないだろう。

ゼンノロブロイは天皇賞(春)で好位からなだれ込んで2着。高評価はできないが、今回は距離短縮が有利に働きそう。陣営は元々、天皇賞(春)より距離適性のある宝塚記念が目標だろう。昨年の神戸新聞杯では直線で弾けて3馬身半差の圧勝。インパクトのある走りだった。今回はG1-102連敗中の田中勝騎手がテン乗りになる。宝塚記念初出場、阪神芝2200mは2レースしか経験がないのが気になるが、ゼンノロブロイは競馬センスがいいし、芝2200mなら切れる脚が使える。田中勝騎手が上手く乗って勝ちに行くとタップダンスシチーの底力に屈しそうなので、逆に少し下手に乗って終いを生かした方がいいかもしれない。本人も安田記念のバランスオブゲームを考えればその点は分かるはず。あとはゼンノロブロイが黒鹿毛ということ。この時期に移動した過去4年で黒鹿毛は[0-0-0-10]。昨年のシンボリクリスエスも黒鹿毛だった。晴れて日差しが強いようなら、その点を少し注意したい。

リンカーンは天皇賞(春)では折り合いを欠き13着に敗れた。スタート後に中団につけたが、そこで控えたことで折り合いを欠き始めた。最後の直線ではネオユニヴァースと接触したように何かがおかしかった。武豊騎手の進言で初めてメンコをつけたことが微妙に影響したのかもしれない。馬体の作りや坂路で時計が出ないところから長距離適性があるのは確かだが、それにしても不甲斐ない内容だった。阪神コースは4戦3勝。神戸新聞杯で4着に敗れたが、直線で前が詰まる不利があった。まともなら2着だったかもしれない。開幕2週目の馬場で高速決着になったときが課題だが、有馬記念で4コーナー先頭から2着に粘ったように底力もある。武豊騎手は今期のG1は大不振だが、乗り方ひとつで上位争いしてきそうだ。

ツルマルボーイは安田記念で初のG1制覇。グリーンベルト、雨で渋った馬場など課題が多かったが、最後はアンカツの腕と馬の底力で捻じ伏せた印象。宝塚記念は2年連続で2着に好走しているが、一昨年はメンバーのレベルが低く、昨年は前が崩れる展開でいかにも展開が嵌ったという感じもある。ただし、底力が充填された今なら古馬の意地を見せてくれるだろう。昨年のように展開が嵌るとは限らないので、ある程度の位置につける作戦もありそうだが、それによって終いの伸びを欠く可能性も否定できない。あとは得意の東京で目一杯走った後の中2週。元々間隔を空けて使った方がいいタイプだけに状態面が大きな鍵を握りそうだ。

あとはシルクフェイマス、ザッツザプレンティ、ローエングリンなどが人気になりそうだが、調教診断と有力馬診断で詰めていきたい。6月の終わりで気温が高くなってきているので、調子の見極めが大きなポイントになりそうだ。現4歳世代は昨秋の古馬混合戦以降はG1を勝っておらず、弱い世代というのも納得できなくもないが、中長距離路線のジャパンC、有馬記念、天皇賞(春)では1着馬に離されたとはいえ2着を確保している。充実期を迎える時期だけに阪神芝2200mの適性のある馬なら一気に頂点に立つことも可能だろう。G1は狙って獲るもの。宝塚記念を目標に仕上げてきた底力のある馬を狙いたい。

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