スプリンターズS
レース回顧

カルストンライトオは前半3F33.6秒のハイペースで逃げると直線入り口で一気に後続を突き放し4馬身差で圧勝した。ラストは13.0秒掛かったが、上がり3F36.3秒はデュランダルの35.8秒に次ぐもの。ラチ沿いをロスなく進んで自分の競馬に徹した大西騎手が馬の持ち味を最大限に引き出した印象。競りかけてくる馬がいなかったことと差し馬が切れる脚を使えない不良馬場が有利に働いた感もある。これまでスピードだけで押し切る競馬をしていた馬が、今年のアイビスSDでは道中スピードをコントロールしてラスト11.2秒でまとめた。6歳にして見せたこの変化。G1制覇への布石だったか。今後は直線1000mの香港スプリントに向かうようだ。

デュランダルはそろっと出して最後方を進み、徐々に外に出して3コーナー過ぎから捲くる競馬。いつもより早めにスパートしたが、直線では内の馬を交わしたところがゴールで2着が精一杯だった。ただ1番ロスの大きい競馬をしてカルストンライトオ以外を差し切ったのだから凄い。しかも休み明けで得意とは言えない不良馬場。2着に負けたが、底力は存分に示した感。パドックでは休み明けで絶好調時の雰囲気はなかったが、外めを周回してこの馬らしさを見せていた。昨年のスプリンターズSからこれでG1で4戦連続連対。次走はマイルCS。良馬場なら究極の切れ味が見せてくれそうだ。

ケープオブグッドホープは中団を進み、直線で空いたスペースを割って抜け出し3着に入った。一瞬のタイミングを見逃さずにスパートしたプレブル騎手の腕が光った。良馬場希望の馬だったが、日本の不良馬場はそれほど悪くなかったようだ。パンパンの良馬場での高速決着になるより、むしろ良かったのかもしれない。香港から遠征してくる馬は侮れない。

ウインラディウスは後方から追い込んで4着。道中後方でためて直線勝負に賭けたが、直線に向いたところでデュランダルに被せられたのが少し響いた感。あそこでまともなら3着はあったかもしれない。今回で1200mにも目処を立てたが、本質的に1400mがベストの馬。次走はさらに良くなってきそうなので、スワンSに出走してくるようなら面白そうだ。

シルキーラグーンは5、6番手を進み、直線でしぶとく伸びて5着に入った。稍重くらいが得意な馬だが、不良馬場でも道中スムーズに追走していた。内枠スタートから内々を進んで直線で抜け出してくるのが好走パターンだが、今回は外々を回って好走したように力をつけてきているのだろう。馬体も成長してきたし、重賞でも十分やれそうだ。中京コースも走るので、CBC賞が稍重くらいになるようなら一発ありそうだ。

キーンランドスワンは中団からしぶとく伸びたが6着止まり。馬体が絞れて前走より良くなっていたが、馬場を気にしたのか、最後の直線では手前を替えていなかった。最後伸びなかったのはそのせいだろう。

シーイズトウショウは外めの3、4番手を進んだが、直線で伸び切れずに7着に敗れた。中舘騎手は武豊騎手のゴールデンキャストをマークしていたが、不良馬場を考えたらマークする相手が違ったか。自分の競馬に徹したカルストンライトオと相手に合わせたシーイズトウショウ。その差がはっきり出てしまった感。パドックでは馬体、気配とも目立っていた。

サニングデールは内々の後方を進んだが、直線で馬群を割ろうとしたときに後藤騎手のアシュダウンエクスプレスにぶつけられて結局追うことなしに9着に敗れた。先行馬が失速して直線では内側が壁になるという特殊な競馬。外に出すチャンスはあったようだが、勝つために内を突いたようだ。調子が良かっただけに残念な競馬。巻き返しを期待したい。

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