菊花賞
レース回顧
デルタブルースはポツンと離れた5番手を進み、3コーナー過ぎからからスパート。直線入り口で逃げたコスモバルクに並びかけて競り落とすとそのままゴールに飛び込んでレースを制した。有力馬がハーツクライを意識した競馬をする中、自分の競馬に徹して結果を出した岩田騎手の好騎乗に馬が応えた。天皇賞(春)でヴィータローザに騎乗し4番手から全く動けずに12着に惨敗。そのときに「前に行ったが周囲が行かないのでジッとしたらこんな結果になってしまった。恥ずかしい。」とコメントした岩田騎手。今回は期するものがあったのだろう。積極的に仕掛けて自ら勝利を掴んだ。パドックではプラス10キロで少し太く見えたが、それでG1を勝つのだから凄いと言うべきか。だたダンスインザダーク産駒で体型的にも長距離タイプなのは間違いない。色々な意味を含めて今後注目していきたい。
ホオキパウェーブは後方3番手を進み、3コーナー手前から徐々に進出。直線では馬群に突っ込み、内の空いたスペースに切れ込で差してきたが、前を捕まえるところまではいかずに2着に敗れた。上がり3Fはメンバー最速の35.1秒。もう少し前に位置していれば結果は違ったかもしれないが、1周目の4コーナーでガツンと躓いた。そのあたりを考慮して横山典騎手は大事に乗ったのだろう。直線で捌いてきたのは横山典騎手の腕。ただまともなら勝てるレースだったことも付け加えておく。骨折で騎乗できなかった藤田騎手は歯痒かったか。パドックでは少し煩かったが、馬体はほぼ万全の仕上がり。馬体のバランスが良く、後肢の踏み込みも力強かった。ここまで成長を促して仕上げきた二ノ宮調教師はさすがだ。今年もまだ競馬は続くが、来年の天皇賞(春)でデルタブルースにリベンジできるか楽しみだ。
オペラシチーはスタート後に各馬に寄られて行くに行けずに最後方からの競馬。スタンド前から徐々に進出して4コーナーで先団に取りついたが、直線で伸び切れずに3着に敗れた。1枠が悪い方に出てしまい、とにかく前半の位置取りが悪過ぎた。ただ自分から動いてトップと0.3秒差の3着。直線で一杯になりながら手前を替えてコスモバルクを差したところを高く評価したい。今回は仕上げられたとはいえ、2000m以上の経験がなく、まだキャリア4戦でのもの。それでこれだけいい脚を長く使って好走するのだから末恐ろしい馬。相馬眼的が裏づけがあるので能力は確かだろう。これまでずっと言い続けてきたが、脚質的に有馬記念が面白そう。ただ同一馬主&厩舎のタップダンスシチーがいるし、ファン投票で選出されないと出走は難しい。屈腱炎でキングカメハメハの引退が決まった。今後はオペラシチーを追いかけたい。来年はこの馬の時代になるかもしれない。
コスモバルクはスタート後にモエレエルコンドルに寄られて掛かると一気に先頭に立った。その後にペースを落としたが、最後はデルタブルースに競り負けて4着。道中13秒台のラップを2回刻んだように暴走はしなかったが、やはりスタート後に掛かったのが最後に響いた印象。ただデルタブルースに比べて3000mを乗り切るキャパシティーが小さいのも事実。五十嵐冬騎手は上手く乗ったし、力を出し切っての敗戦だろう。北海道からの長距離輸送をクリアして0.3秒差の4着。クラシック3戦を盛り上げてきた北海道の雄。ここまで最善を尽くした陣営とコスモバルクに拍手を送りたい。今後はジャパンC、有馬記念に挑戦するようだ。まだ戦いは始まったばかり。3歳牡馬の代表の一頭としてがんばってもらいたい。
スズカマンボは後方から差を詰めたが6着止まり。ハーツクライをマークして仕掛けをギリギリまで遅らせたが、最後の直線では伸び切れなかった。もう少し前に行った方がいい馬だが、アンカツが3000mの距離を考えてのことだろう。ただこれまで4戦4敗だったハーツクライに先着した。アンカツは自分の最低限の仕事はしている。適距離に戻ればもっとやれるだろう。例年のパターンだと京阪杯に出走すると面白そうだ。
ハーツクライは後方3番手を進み、直線勝負に賭けたが7着に敗れた。1番人気で一か八かの競馬をしたように武豊騎手は終い勝負でないとまだやれる力はないと思っていたのだろう。果たしてそんなにハーツクライは弱いのか。直線であれほど内にもたれてフットワークが乱れたハーツクライをこれまで見たことがない。南部杯ではアドマイヤドンが伸びを欠き、秋華賞ではダンスインザムードが走るのを止めようとし、今回はハーツクライがフットワークが乱れて伸びを欠いた。これは単なる偶然なのだろうか。相馬眼的に走る能力のある馬が走らない。その答えはアンカツが出すはずだ。今後もこのパターンの乗り替わりは注意したい。
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