ジャパンC
レース展望

今年で第24回を迎えるジャパンC。今年の外国馬は英2頭、仏2頭、愛1頭の5頭。ここ3年は7頭、7頭、9頭と外国馬の参戦は多かったが、今年は少し寂しい頭数となった。昨年はレーティング125のジョハー(ブリーダーズCターフ1着)、123のアンジュガブリエル(サンクルー大賞典1着)がいたが、今年は120のウォーサンとパワーズコートが最高値。レーティングが高ければいいというものではないが、果たしてどうなのだろう。

日本馬はG1馬がヒシミラクル、ゼンノロブロイ、デルタブルースの3頭のみ。昨年の菊花賞、天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念、今年の天皇賞(春)、宝塚記念、天皇賞(秋)で3着以内に入った馬はゼンノロブロイしかいない。シンボリクリスエスが引退し、タップダンスシチーは海外遠征明けで回避、ネオユニヴァース屈腱炎引退、ザッツザプレンティ屈腱炎、シルクフェイマスとリンカーンが回避。3歳馬はダービー馬キングカメハメハが屈腱炎で引退した。JRA50周年に史上最低メンバーとは言わないが、例年に比べると寂しいメンバーとなった感は否めない。

過去10年で1番人気は[1-1-5-3]で連対率20%。日本馬だと[1-1-4-1]で95年のナリタブライアン以外は3着以内を確保している。1番人気は3着が多いが、これに加担しているのが藤沢和厩舎とペリエ騎手。藤沢和厩舎はバブルガムフェロー、シンボリクリスエス(2回)が3着。ペリエ騎手はエリシオ、シンボリクリスエス(2回)が3着。今回は藤沢和厩舎のゼンノロブロイにペリエ騎手が騎乗する。おそらく1番人気になるが、そろそろジンクスを破るか。それともまた3着か。日本馬はG1馬が活躍しているが、今年のレベルならG1勝ちのない馬にもチャンスがありそうだ。

ゼンノロブロイは前走の天皇賞(秋)で念願の初G1制覇。昨年の神戸新聞杯の直線で弾けて3馬身半差の楽勝、天皇賞(秋)でも直線の伸びは際立っていた。やはり2000mだと終いの切れが違う。神戸新聞杯の前は天皇賞(秋)に向かうことを示唆していたが、楽勝したことと同厩のシンボリクリスエスがいたことで菊花賞に向かった。そこから全く勝てずに6連敗。G1でも崩れないが、2200m以上のレースでは勝ち切れなかった。今回は距離2400m。3歳時にダービー2着、青葉賞1着があるように東京芝2400mはこなすが、終いが甘くなる可能性は否定できない。

ただ相手なりに堅実に走る馬で距離が長いと思われた天皇賞(春)でも2着を確保した。今回も出遅れや大きな不利がなければ最低でも掲示板には来そうだ。もっと強気に言えば3着以内に来そうだ。おそらくそう思っている人は多いはずで、3連複や3連単はゼンノロブロイ絡みがかなり売れるのだろう。ひとつ注意したいのが、シンボリクリスエスが天皇賞(秋)を勝った後のジャパンCで2年連続でプラス6キロだったこと。時期的なものもあるが、ラストランの有馬記念の前と比較すると調教が生ぬるくなかったか。そして今回のゼンノロブロイの仕上げは果たしてどうなのか。

その他で人気になりそうなのは、コスモバルク、パワーズコート、ハイアーゲーム、ハーツクライ、ホオキパウェーブ、ナリタセンチュリーあたりか。コスモバルクは今回はハミをリングハミに変更して五十嵐冬騎手からルメール騎手に乗り替わる。天皇賞(秋)、マイルCSでダンスインザムードをきっちり2着に持ってきたルメール騎手の腕は確かだが、果たしてテン乗りでコスモバルクを乗りこなせるのかどうか。ダービーは8着に敗れたが、あれだけ暴走しては仕方ない。血統的に距離はこなすので、折り合えばこれまでの違ったバルクを見せるかもしれない。

パワーズコートはアーリントンミリオン1位入線も斜行で4位降着。そのときのタイムが2分00秒0で外国馬の中では時計の裏づけのある馬。ジャパンCに出走する外国馬は2400mより2000mの持ち時計のある馬の方が好成績を収めている印象がある。前走のブリーダーズCターフは出遅れて向こう正面から仕掛けて4コーナー先頭。直線で一杯になって3着に敗れたが、まともなら際どかっただろう。調教でも口向きの悪い馬で直線でまっすぐ走るかが課題。強引なスペンサー騎手がどう乗るか。あとは馬体や走法から東京コースの2400mが合うかどうかだろう。

ハイアーゲームはオールカマー4着、菊花賞11着とこの秋は不振。ただどちらも不得意な右回りでのもの。[3-1-1-0]と得意にしている東京コースなら一変があるかもしれない。青葉賞、ダービーくらい走れば格好はつけそうだ。ただダービーで激走した馬はキングカメハメハの屈腱炎引退を含め、かなり不振なのでその点をどう考えるかだろう。調教の動き、馬体、気配が上向いてくれば。ハーツクライにも同じことが言える。ダービーは展開が嵌ったとはいえ、大外を回って極限の切れ味だった。あとは武豊騎手で馬が変われるかどうかがポイント。

ホオキパウェーブはセントライト記念2着、菊花賞2着と連対を確保。春はソエで思うように調整ができなかったが、この秋は馬体を大きく見せ、春とは馬が変わっている。岡部騎手が春にカーネギーの代表産駒になれる素質があると話したが、その通りだった。東京芝2400mはゆりかもめ賞1着、青葉賞2着がある。今の充実ぶりを考えるとこのメンバーなら一発あっても驚けない。ナリタセンチュリーは京都大賞典でゼンノロブロイを差し切った。天皇賞(秋)はメンバー2位の34.5秒で唯一外から伸びてきた。外が伸びない馬場でこの末脚は評価できる。距離延長と東京コース2戦目で今回はもっといい競馬ができるだろう。鞍上は柴田善騎手。

外国馬はパワーズコートの他にウォーサン、フェニックスリーチ、ポリシーメイカー、リュヌドールが出走する。ウォーサンはバーデン大賞を勝っており、JRAの1億円ボーナス対象馬。勝てば賞金は3億5000万円だ。昨年は遠征先で蚊に刺された影響で参戦できなかったが、今年はブリテン調教師がメンバーシップ帯同させて連れてきた。ブリテン調教師は86年にジュピターアイランドで制している。外国馬はパンパンの良馬場の時計勝負、切れ味勝負、重馬場などで狙い馬が変わる。状況に応じて柔軟に対応できるようにしておかないといけない。日本馬を含め、もう少し突っ込んだ分析は有力馬診断でお届けする。

2004/11/25
競馬アナリストGM

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