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ジャパンC
レース回顧

ゼンノロブロイは中団を進み、直線で満を持して追い出すと楽々と抜け出して3馬身差でレースを制した。上がり3Fはメンバー最速の34.3秒。一頭だけに次元の違う末脚だった。これまでG1では善戦止まりだった馬が、天皇賞(秋)とジャパンCを連勝。キングカメハメハの引退、タップダンスシチーの海外遠征、同期のライバルの引退&回避でメンバーは楽だったが、時計やレースぶりは高評価できるもの。パドックでは落ち着き十分で天皇賞(秋)のときより気配は良く映った。藤沢和厩舎は天皇賞(秋)3連覇。ペリエ騎手は2連覇。菊花賞で4着に敗れた借りをきっちり返した。次走は有馬記念。昨年は3着に敗れたが、パワーアップした今ならチャンスだろう。タップダンスシチーを負かして年度代表馬に上り詰めるか。

コスモバルクは2番手からしぶとく粘って2着。直線で一旦はポリシーメイカーに交わされたが、内から食い下がってゴール前できっちり差し返した。これこそがコスモバルクの真骨頂。凄い勝負根性だ。92年のダービーで2番手を進んだライスシャワーがマヤノペトリュースを差し返して2着を確保したシーンを思い出した。ゼンノロブロイには完敗だったが、内容は評価したい。鍛え上げられて完成度の高さで勝負してきた馬だが、まだ奥はありそう。今回はリングハミに替えて鞍上にルメール騎手。2番手で折り合ったことも収穫だろう。パドックではプラス6キロで少し腹回りに余裕があったが、時期的なものもあるのだろう。次走の有馬記念は五十嵐冬騎手に戻る。打倒ゼンノロブイ、秘策はあるはずだ。

デルタブルースは出遅れて後方を進んだが、直線で馬群を割って3着まで追い上げた。直線でアンカツの激しい鞭が飛んだが、それに馬が応えてナリタセンチュリーとの競り合いをきっちり制した。8番人気で菊花賞を制し、7番人気でジャパンC3着。しかも上がり3Fはメンバー2位の34.6秒。まだ馬体には緩い部分があるが、それでこれだけの結果を残すのだから驚く。最後の手応えからしてもう少し前につけていればゼンノロブロイに迫っていたかもしれない。長い距離で一気にG1まで上り詰めるダンスインザダークの血。次走は再度アンカツで有馬記念に向かう。怖いコンビだ。

ナリタセンチュリーは中団から差して来たが5着まで。京都大賞典の切れ味からするとラストの伸びが物足りなかった。直線でアンカツの強烈な鞭に馬が怯んだことも影響したが、どうやら道中で落鉄していたようだ。天皇賞(春)5着に続き、ジャパンCも5着。G2の壁は超えたが、G1ではもう一歩足りない。この馬の切れ味を生かすにはパンパンの良馬場の方がいいようだ。上位に来た馬は荒れ馬場をこなすパワータイプの馬だった。今回は馬体が4キロ減っていたし、使い込むと脚捌きが硬くなるタイプ。次走は状態面に注意を払いたい。

ハーツクライは最後方から直線一気に賭けたが10着止まり。道中は馬場のいい外を進むなど、武豊騎手は工夫していたが、全く見せ場はなかった。当日は12キロ減の480キロ。坂路で一杯に追ったぶんもあるが、レースぶりを見ると馬に疲れがあったか。ダービーで2分23秒台で走ったストレスは相当に大きいものなのかもしれない。キングカメハメは引退に追い込まれ、3着のハイアーゲームも秋はいいところがない。有馬記念に向けてどこまで立て直してくるか。

ホオキパウェーブは向こう正面で最後方まで下がり、あとはそのまま回ってきただけで16着惨敗。荒れ馬場を気にしたのか、道中何度も故障したような格好をしたようだ。最終調教の動きは良かったし、パドックでも気配は上々だったが、一体どうしたのだろう。荒れ馬場でこういう競馬をしたことは今後忘れないようにしたい。相馬眼的に能力はあるので、春のG1戦線での活躍を期待したい。

外国馬はポリシーメイカーの4着が最高。もう少し仕掛けを遅らせていれば2着はあったか。外国馬の中で最も人気のない馬が最先着。ルルーシュ調教師と馬主のウィルデンシュタイン氏は1990年のジャパンC2着馬オード以来のコンビ。日本に合う馬を連れてきたのだろう。フォア賞で同馬に騎乗したペリエ騎手はジャパンCでは勝負にならないと話していたようだが、結果は逆だった。その他の馬も人気と着順が反比例。ほとんど見せ場はなかった。

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