[an error occurred while processing this directive]
阪神JF
レース展望

2歳女王決定戦。これまで無敗の2歳女王は5頭。一昨年はピースオブワールドが4戦4勝で無敗女王に輝いている。昨年はスイープトウショウが新馬、ファンタジーSを制して挑んだが、直線で大きな不利があり5着に敗れた。今年はスイープトウショウと同じエンドスウィープ産駒でしかも同じステップで来たラインクラフトが挑む。他にも無敗の馬はいるが、1番人気はこの馬だろう。鞍上はピースオブワールドを無敗女王に導いた福永騎手。ラインクラフトを負かす馬がいるのかどうかが今回の焦点になる。

過去10年で1番人気は[4-0-2-4]で連対率40%。連対を外した6頭全てが前走京都芝1400mで連対していた。直線に坂のない京都での好走が評価されて1番人気になった馬はデータ的に危険。ファンタジーSの最先着馬は[1-1-1-5]で連対率25%。勝ったのは一昨年のピースオブワールドのみ。また、過去10年の勝ち馬は全て2勝以上を挙げていた。逃げ馬は[2-2-2-4]で複勝率60%。昨年は10番人気のヤマニンアルシオンが逃げて2着に入り穴をあけている。

ラインクラフトは新馬戦で5馬身、ファンタジーSで4馬身差をつけて圧勝した。スイープトウショウと同じエンドスウィープ産駒だが、好位につけて切れる脚を使える自在性は高評価できる。この時期に芝1400mで2F目から最後まで11秒台で走れる馬はそうはいない。馬体はまだ肉付きがそれほど良くないが、芯の強そうな馬でこれから馬体が追いついてくるのだろう。今回は1F延長と坂のある阪神コース。雨で馬場が渋る可能性もある。ここでは詳しく書かないが、相馬眼的な評価も加えて総合的に判断したい。

ライラプスはデイリー杯2歳Sで牡馬相手に2着に好走した。勝ったペールギュントが東京スポーツ杯2歳Sで2着している。前走のファンタジーSは流れに乗れず位置取りが悪くなったが、最後に外から4着まで追い上げた。負けはしたが、脚質の幅を広げたという点で収穫はあったか。阪神コースは新馬戦の芝1400mで2着に3馬身差をつけて楽勝している。松田国厩舎で鍛えられている馬で直線の坂は苦にしない。前走はこのレースに向けて目一杯に仕上げていなかったので上積みも見込めそうだ。武豊騎手が今度はどう乗るか。

リヴァプールはここまで5戦して[2-1-2-0]と全て3着以内を確保。5戦のうち4戦がメンバー最速の上がりで切れる脚があるのが魅力。前走のファンタジーSは前半の行きっぷりが悪く後方からの競馬になったが、上がり3Fはラインクラフトを0.1秒上回った。ただし相手は前に行ってのもの。上がりが上回ったといっても逆転できるかどうかは微妙。ダンスインザダーク産駒で体型的にも距離延長はプラスに働きそうなので、そのあたりに期待か。相手なりに走るタイプで今回も大崩れはなさそうだ。

アンブロワーズはここまで2戦2勝。この馬にも無敗の女王のチャンスがある。函館2歳Sはスタートがひと息で苦しい競馬だったが、ホワイト騎手が強引に上がって行くと直線できっちり抜け出して後続を完封した。7着のスキップジャックが京王杯2歳Sを快勝したようにメンバーのレベルは低くない。パドックでは馬に覇気があり、馬体も目立っていた。相馬眼的に高評価できる馬で能力は確かだろう。距離と直線に坂のある阪神コースは未知数だが、こなす下地はありそうだ。ラインクラフト陣営が警戒するのは相馬眼的な裏づけのあるこの馬かもしれない。

あとは赤松賞を勝ったジェダイト、新潟2歳S2着があるショウナンパントル、ファンタジーS2着のモンローブロンドあたりが人気になりそう。ジェダイトは札幌2歳Sで牡馬相手に0.4秒差の4着。前走マイル戦を勝っており、距離の不安はない。鞍上は昨年コンコルディアを3着に持ってきた柴田善騎手。ショウナンパントルはデイリー杯2歳Sで長距離輸送を経験。マイル戦を選んで使ってきたところも好感が持てる。モンローブロンドは前走ラインクラフトに水をあけられたが、今回はアンカツが騎乗する。上がり勝負になれば台頭の余地がある。

人気がないところではカシマフラワーに少し注目したい。3連闘で臨んだ函館2歳Sで3着したが、その後も使い続けられて3連勝を飾った。500万条件は2馬身半差、すずらん賞は不利な外枠を克服して2馬身差、エーデルワイス賞では6馬身差の圧勝。これだけ使われると馬がへこたれるものだが、一戦ごとに馬体が充実してきているのだから驚く。距離延長が課題だが、今の充実ぶりとキャリアは無視できない。栗東入りして調整されているあたりに勝負気配を感じさせる。G1特有の激しい競馬で上がりが掛かれば一発ありそうだ。

2004/12/02
競馬アナリストGM

[Home]