阪神JF
レース回顧
ショウナンパントルは出遅れ気味のスタートで内々の後方を進んだ。直線で馬場の真ん中から鋭く伸びると最後はアンブロワーズとラインクラフトとの競り合いを制して優勝。ラインクラフトが4コーナーで大外に出したことで馬場の真ん中がぽっかり空いたのがラッキーだった。内々をロスなく回って上がり3Fはメンバー最速の34.4秒の切れ味。少し嵌った感じはあるが、鋭い決め手があるからこその勝利だろう。G1は狙って獲るもの。デイリー杯2歳Sで長距離輸送、右回り、ハイペースを経験させた陣営の思惑がピタリ決まった印象。パドックでは落ち着き十分だった。手前の関係で右回りの方が良さそうだが、手前を替えてからも伸びるので東京コースもこなしそう。もうひと皮剥ければ来年のG1でも活躍できそうだ。
アンブロワーズは道中5、6番手につけて直線で一旦抜け出したが、最後にショウナンパントルに差されて惜しい2着。ホワイト騎手は道中からラインクラフトを気にして何度も後ろを振り返っていた。陣営から指示が出ていたのか、ラインクラフトを内に押し込めたかったのかは定かではないが、少し気にし過ぎた感。あとは競り合って勝負強いタイプなので、もう少し仕掛けを遅らせれば結果は違ったかもしれない。ただ能力があることは証明できた。パドックではプラス22キロだったが、馬体は成長してさらに良くなっていた。やはり相馬眼的に高評価できる馬。マイルより長い距離をこなす可能性も出てきた感。来春の活躍が楽しみ。
ラインクラフトは6、7番手から4コーナーで大外に出して差してきたが、あと一歩届かずに3着。向こう正面でガツンと躓いていたし、4コーナーでは外に持ち出す大きなロス。直線で前走のように伸びなかったのは、舌がハミを越していたのと坂のせいだろう。それで上位2頭とこの差ならやはり能力はある。ファンタジーSを4馬身差で圧勝し単勝1.5倍に支持されたが、前哨戦であそこまで後続を離して勝つ必要は果たしてあったか。予想通り上積みはなかった。馬体はまだ肉付きが良くないが、芯の強いタイプ。同じエンドスウィープ産駒のスイープトウショウは紅梅Sで馬体の良化が見られたが、この馬はどこで変わるか。相馬眼的な裏づけができてから狙いたい。
ハギノコマチは中団のやや後ろから伸びて4着。新馬戦の直線で他馬を止まって見える末脚で楽勝したが、今回もいい切れ味を見せた。パドックでは仕上がりの良さが目立ったが、まだ馬体が小さく、今回が2戦目の競馬。藤田騎手は上手く乗っているが、現時点ではこれが精一杯だろう。母系のディクタスの切れ味を受け継いでいそうなので、今後の成長次第で楽しみが出てきそう。
デアリングハートは中団からしぶとく伸びて5着。パドックではイレ込み気味で煩かったが、キャリア1戦で外枠を克服してこの競馬ができれば今後の目処は立ったか。社台RHの馬で父はサンデーサイレンス。馬が成長して落ち着きが出てくれば面白い馬になる。ただ馬体は一戦ごとに減って410キロ台まで落ち込んでいる。まずはそこをクリアしないといけない。
ジェダイトは中団から伸びて6着。もっと前に行ける馬だが、柴田善騎手が無難に乗った印象。馬体は少し腹回りが細く映るが、成長すればパンとしてくるだろう。基礎能力の高い馬で今後も重賞戦線で善戦できそうだ。全体的に柔軟性が出てくればもっと良くなる。
ライラプスは後方から大外を捲くって追い上げたが7着が精一杯。2コーナーでコスモマーベラスと接触して位置取りが悪くなったのが痛かった。最後は伸びてきたが、外々を回ってはさすがに辛かったか。上位に来た馬は全て内枠の馬で枠順の差がモロに出た印象。この着順がこの馬の実力ではないだろう。ただ現時点で馬体の作りはアンブロワーズに水をあけられている。松田国調教師がどこまで馬体の成長を促すかが鍵。
リヴァプールは最後方から追い上げたが8着まで。いい脚を長く使っているが、とにかく位置取りが悪過ぎた。本来はもっと前に行けるスピードがあるだけに8月から使い詰めできた影響があるのかもしれない。ひと息入れて立て直せば馬体的にもっとやれそう。脚質的に東京コースが合う。
エリモファイナルは直線で行き場がなく最内を突いたが、伸び切れずに9着。前半から掛かり気味だったし、馬体が10キロ減っていたことが影響した印象。最後はバッタリ止まっていないし、これでトップと0.5秒差なら悪くない。新馬、未勝利戦の内容から能力はありそうなので、この一戦だけでは見限れない。距離が伸びれば新味を出す可能性がある。
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