宝塚記念
レース展望(2)

ロブロイは1番人気になるかは微妙だが、前年の年度代表馬、有馬記念1着以来の出走、藤沢和厩舎、デザーモ騎手、黒鹿毛というのはシンボリクリスエスと同じ。藤沢和厩舎はクリスエスの雪辱をロブロイで果たすつもりだろう。この後は8月16日の英G1・インターナショナルSが控えているが、オーナーの大迫氏が18日に死去されただけに負けられない一戦になった。クリスエスのときより早く入厩させ、ここまで順調に乗り込んできている。過去10年の宝塚記念で休み明けの馬が連対したことがないのは気になるが、まずは最終調教の動き、気配に注目。

陣営が気にするのはやはり暑さか。宝塚記念が97年にこの時期に移動してからの毛色別成績は、栗毛[4-2-1-23]、鹿毛[3-5-7-43]、栃栗毛[1-0-0-1]、芦毛[1-0-0-1]、黒鹿毛[0-2-1-18]、青鹿毛[0-0-0-4]。黒鹿毛で2着したのはステイゴールドとスペシャルウィーク。そのとき勝ったのは栗毛のサイレンススズカとグラスワンダーだった。週間予報によると土日は晴れて気温は30℃を超えるようだ。ゼンノロブロイは昨年の宝塚記念を走ったし、それほど暑さに弱いとは思わないが、当日の気配に注意したい。

デザーモ騎手は宝塚記念に3回騎乗してアドマイヤボス6着(4人気)、エアシャカール4着(2人気)、シンボリクリスエス5着(1人気)に終わっている。エアとクリスエスは強引な騎乗が目についた。阪神芝2000mは[2-3-0-6]で連対率45.5%だが、阪神芝2200mは[0-0-0-8]と不振。最近は重賞で乗れていない印象が強いが、今回はどうだろう。ただし03年の神戸新聞杯で当時のロブロイのベストパフォーマンスを引き出したのはデザーモ騎手だった。2冠馬ネオユニヴァースを負かして「この馬が一番強いことを証明できた」とコメント。今回も最強を証明できるか。

タップは金鯱賞を3連覇。昨年はハイペースで強引なレースをしてレコード勝ちしたが、今年はスローに落としてそのまま逃げ切った。ラスト4Fは11.6-11.4-11.1-11.3秒で後続を全く寄せ付けなかった。59キロを背負ってこの持続力はさすがだ。宝塚記念に向けて目一杯に仕上げていなかったし、今回はベストの叩き2戦目で更なる上積みが見込める。佐々木晶調教師が自信を持って送り出すのというのなら仕上がりは万全なのだろう。最近はパドックでタップダンスを踏まなくなったが、ピークに仕上げたのなら一応注意したい。

タップは今回どういうレースをするのだろう。コスモバルク、ビッグゴールドとの兼ね合いはやはり気になる。バルクの岡田氏は「最初の1Fでタップが行かなければバルクを行かせ、タップが行けば2番手」と作戦を公開している。ただしバルクは折り合いに難があるので、タップがハナを切っても掛かって競りかけてくることもあり得る。タップ陣営としてはバルクには有馬記念のときのように差す競馬をしてもらった方が作戦は立てやすい。バルクが芝2200mのセントライト記念を2分10秒1のレコードで勝っているだけに厄介だろう。

ビッグゴールドは春天の4コーナーで凄い行きっぷりを見せ2着に踏ん張った。ラスト5Fいい脚を使えるし、タップにとってはこの馬も煩い存在。鞍上が強引に来る和田騎手というのも嫌なところだろう。03年の有馬記念はザッツザプレンティとアクティブバイオが競りながら逃げてタップは少しチグハグなレースになり8着に敗れた。今回もそのときと同じようなことがイメージできなくもないが、当時のタップはJC激走の反動があった。今回はそのときとはデキが違うので、昨年の宝塚記念のように力で捻じ伏せる競馬か。

ただしバルクとビッグが想定以上に粘り強く、しかもロブロイが早め仕掛けてくるようだとレースの激しさは昨年の宝塚記念以上になる。昨年の宝塚記念のラスト5Fは11.9-12.1-12.0-11.4-12.7秒。途中からハナを切ったタップがラスト2F目を11.4秒で後続を突き放してそのまま押し切った。一昨年のラスト5Fは11.8-11.9-11.8-12.2-12.9秒。ラスト2Fが12秒台に落ちて差し追い込みが決まった。タップが崩れるとすればこのパターンか。能力は上位で調子も良さそうだが、今回は展開が鍵になりそうだ。

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