秋華賞
レース展望

牝馬クラシック最終戦。過去9年で1番人気は[3-1-1-4]で4連対。連対を外した5頭のうち4頭はオークス連対馬で桜花賞では連対していなかった。過去9年で武豊騎手が1番人気に5回なっており[1-1-0-3]で連対率40%。エアグルーヴ、トゥザヴィクトリー、ダンスインザムードで連対を外している。馬連は昨年21倍の中穴になったが、その前の8年は10倍以下が4回、万馬券が4回と両極端。1番人気が連対すると相手に人気薄が来て堅く収まり、連対を外すと人気薄が絡んで波乱になるのがパターン。1番人気の取捨がポイントになる。

脚質別では逃げ1先行5差し4追込8で差し追い込み馬の活躍が目立つ。内回りコースで直線が短いため前に行った馬が有利だが、騎手心理が働いて流れが速くなると差し追い込みが決まる。99年はハイペースになり人気薄追い込み馬2頭で決着したが、00年は逆にペースが緩んで前残りになった。騎手心理は前年の結果に左右される面もある。昨年はスイープトウショウが直線一気の追い込みを決めた。今年はどんな流れになるのだろう。流れが速くなると前走で上がり3Fがメンバー1、2位の馬が穴をあけることが多い。

今年はローズSで接戦を演じたエアメサイアとラインクラフトの一騎打ちムード。鞍上は今年のG1で大活躍の武豊騎手と福永騎手。2頭がかなりの人気を集めそうだ。エアメサイアは母エアデジャヴーが果たせなかったG1制覇が懸かる。母は桜花賞3着、オークス2着、前哨戦のクイーンSを勝ち、秋華賞は3着だった。エアメサイアは桜花賞4着、オークス2着、前哨戦のローズS1着とここまで母と同じようなステップできている。ローズSは直線で鋭く伸びて先に抜け出したラインクラフトを差し切った。上がり3Fはメンバー最速の34.2秒。一頭だけ次元の違う末脚だった。

桜花賞ではラインクラフトに完敗だったが、距離2000mでひとまずは逆転した。ただラインクラフトは折り合いを欠き、本来の力を出していない。しかも今回は直線が平坦の京都コースに替わる。ローズSの後に武豊騎手が強気なコメントをしなかったこのあたりからだろう。ローズSで馬体が8キロ減っていたが、伊藤雄厩舎ならその点は十分にケアしてくるはず。エアメサイアの武器は自在性と末脚の切れ味。武豊騎手はどう乗るのだろう。次週ディープインパクトで3冠獲りに挑むが、まずはラインフクラトの変則3冠と福永騎手の牝馬3冠を阻止するか。

ラインクラフトは桜花賞でシーザリオを完封し、NHKマイルCでは牡馬を負かした。ここまで7戦して[5-1-1-0]でG1を2勝。新馬戦で見せたインパクトのある走りはやはりG1馬のものだった。G1を勝つ馬は新馬のときからひと味違う。ローズSは折り合いを欠きながら何とか2番手で我慢し、4コーナー手前で早めにスパート。直線では後続を引き離したが、最後にエアメサイアに差された。負けはしたが、本番前に課題は見えたし、距離にも目処を立てた。今回も折り合いを欠くようだと厳しいが、2000mを一度経験したことで変わってきそうだ。

ローズSは本番前の仕上げでプラス4キロ。北海道からの輸送で馬体がガレたようだが、レースの前までに立ち直ってくるあたり、よほど芯が強いのだろう。京都コースは新馬戦とファンタジーSを勝っており2戦2勝。3番手につけて上がり3Fをそれぞれ34.1秒、34.3秒でまとめて2着に大きな差をつけて楽勝している。直線に坂のある阪神コースもこなすが、直線が平坦の京都コースの方が最後の勢いが持続する。怖いのは乱ペースに巻き込まれること。差す競馬もできるので、福永騎手がそこはケアしてくるだろう。人馬とも3冠が懸かる。

あとは桜花賞3着&NHKマイルC2着のデアリングハートを筆頭にチューリップ賞の勝ち馬エイシンテンダー、紫苑S2着で復調気配を見せた2歳女王ショウナンパントル、キングカメハメハの半妹でアンカツに乗り替わるレースパイロット、五頭連峰特別で古馬を斬り捨てたニシノナースコール、ロースS3着のライラプス、紫苑Sを勝ったコスモマーベラス、忘れな草賞の勝ち馬ジャダイトあたりが人気面で続きそう。秋華賞の歴史は「波乱」。エアメサイアとラインクラフトの2頭で堅く決まるのか、それとも人気薄の台頭があるのだろうか。予想の基本は相馬眼。今回も相馬眼的に評価できる馬で勝負したい。

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