菊花賞
レース展望

クラシック最終戦となる菊花賞。過去10年で1番人気は[1-1-1-7]で2連対。98年にスペシャルウィークが2着して以降連対がなく、アドマイヤベガ6着、アグネスフライト5着、ジャングルポケット4着、ノーリーズン落馬、ネオユニバース3着、ハーツクライ7着とダービー馬でも沈んでいる。最近4年は3番人気以内の連対がなく、馬連は462.1倍、960.7倍、55.4倍、112.8倍と大荒れ。天皇賞(春)は3年連続で馬連万馬券。最近の京都長距離G1は波乱が当たり前になりつつある。以前は堅く収まることが多かったが、最近はステイヤータイプが減ったことが影響しているのだろう。

過去10年の連対馬20頭のうち19頭が前走6着以内。例外は02年に札幌記念13着から巻き返したファストタテヤマ。前走4着以下に敗れた6頭のうち5頭に芝2200M以上で連対があった。前走4着以下の馬は距離実績がないと苦しい。神戸新聞杯で連対した馬は人気になるが、過去5年で[0-0-1-6]と連対がなく不振。1番人気と神戸新聞杯連対馬の不振によって波乱が起きている。最近3年はファストタテヤマ、ザッツザプレンティ、デルタブルースとダンスインザダーク産駒が連続連対中。ダンスインザダーク産駒で長距離適性のある馬がいれば注目できる。

ディープインパクトはシンボリルドルフに以来21年ぶり史上2頭目の無敗の3冠馬に王手をかけた。デビュー戦で見せた圧倒的なパフォーマンス。3冠馬になるのはこういう馬と思った人も多いはずだ。3歳馬同士では力が違うことはこれまでのレースで既に証明している。ダービーで見せた末脚は凄かったが、秋は馬が心身ともに成長してさらに力をつけている。距離3000m、京都の坂超えは初めてだが、普通に走れば3冠達成だろう。レースが厳しくなればなるほど着差は広がりそう。能力は既に世界レベル。無敗の3冠馬誕生の瞬間を目に焼き付けたい。

ひとつ気になるのはスタート。デビューしてからスタートだけは変わっていない。ゲートが開くと両前脚を上げて飛び跳ねるようにスタートする。皐月賞で躓いて落馬寸前になったが、あれは偶然ではなさそう。今回も後方からの競馬になるが、スタートで落馬したらその時点で終わり。当日はおそらくディープの3冠で異様なムード。ディープは大丈夫でも他の馬がゲートで煩いとつられることもある。武豊騎手は02年に1番人気のノーリーズン(池江郎厩舎)に騎乗しスタート直後に落馬した。もし落馬したら3冠達成より「ディープインパクト」。そんなことはあってはならないが・・・。

シックスセンスは皐月賞2着、ダービー3着、神戸新聞杯2着。普通の年ならシックスセンスが皐月賞馬でインティライミがダービー馬なのだろう。神戸新聞杯の1分58秒8は馬場を考えればレベルは高い。中団で折り合えたのもいいし、脚捌きには鋭さがあった。馬体は春とそれほど変わらないが、馬は成長して力をつけている。陣営がディープを負かす気があるなら、ディープより前につけて早めにスパートするのだろう。ただディープが強過ぎるとそれによって苦しくなることも考えられる。みんなが白旗ムードではレースは面白くない。真っ向勝負かそれとも2着狙いか。

ローゼンクロイツは春のG1は不振に終わったが、神戸新聞杯3着で再浮上してきた。プラス12キロで馬体に余裕は感じられたが、最後の直線ではシックスセンスに詰め寄った。今回は馬体が絞れてくればもっと走れそうだ。これまで関西のレースでは[3-2-1-0]と崩れておらず、京都芝(全て内回り)は[2-1-0-0]。距離3000mがどうかだが、坂路で動かない馬は長距離得意な馬が多い。母の父Shirley Heightsでその血は菊花賞で御用達のNever Bendにつながる。この距離で真価を発揮するか。アンカツは今年の天皇賞(春)をスズカマンボで制した。ローゼンクロイツは馬群を捌いてこれる。

アドマイヤフジは皐月賞5着、ダービー4着。秋緒戦のセントライト記念は出遅れて最後方から追い込んできたが4着に敗れた。休み明けでプラス18キロ。成長分もあるが、太めが残っていた。賞金的に菊花賞の出走が危ぶまれたが、蓋を開けてみれば全馬が出走。菊花賞に出走できると踏んで目一杯に仕上げなかった陣営の采配は見事に当たった感。今回は馬体が絞れていれば変わってきそうだ。母アドマイヤラピスはステイヤーズS2着、嵐山S1着など長距離で活躍した馬。血統的に距離はこなしそうだが、アドマイヤベガ産駒特有の緩さがまだ残っている。G1だけにそこがどうかだろう。

フサイチアウステルは初重賞挑戦となったセントライト記念で2着。最後にキングストレイルに差されたが、正攻法の競馬で何とか2着を確保した。芝2500mのかきつばた賞を勝っているように距離はこなす。関口氏の馬だけにディープに真っ向勝負を挑んでくるのだろう。フサイチ&藤田騎手は96年のダービーをフサイチコンコルドで制したコンビ。そのときの1番人気は武豊騎乗のダンスインザダークだった。フサイチアウステルの池江寿調教師がディープの池江郎調教師の息子というのも興味深い。今回も正攻法の競馬で早めにスパート。ディープに何かあればそのまま粘り込むといった感じだろう。

アドマイヤジャパンは皐月賞で3着したが、ダービー10着、神戸新聞杯5着と他馬に水をあけられている。ただ前走は休み明けで最後は横山典騎手が追っていなかった。2着と0.9秒差というのは大きいが、調子を上げてくるようなら巻き返す余地はある。横山典騎手は過去5年の京都芝3000mで[1-3-0-0]。先週はニシノナースコールを3着に持ってきた。マルブツライトはセントライト記念5着。直線で前が詰まる不利が響いたもので力負けではない。前走不利のあった馬は次走激走することが多い。松岡騎手は所属厩舎の前田禎調教師が15日に他界。今回は思い切った騎乗をしてきそうだ。

枠順が決まり、いよいよムードが高まってきた。あとは最終調教の動きと気配、展開、馬場などを考慮して最終決断を下したい。3歳戦は相馬眼を重視という基本スタンスは変わらない。長距離を走る馬はどういう馬なのか、そのあたりを有力馬診断と予想でフォローアップしていきたい。日曜は今のところ晴れ時々曇りの予報だが、土曜は雨が降りそう。JRAの馬場の設定の影響もあるので、予想までにチェックすることは沢山ある。最後まで粘り強い予想をした人に勝利の女神は微笑むはずだ。

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