エリザベス女王杯
レース展望

3歳馬と古馬が争う女王決定戦。古馬に解放された過去9年の1番人気は[2-3-1-3]で5連対、2番人気は[4-2-0-3]で6連対。毎年1、2番人気のどちらかが必ず連対している。最近4年はその年の秋華賞馬が1番人気になっており、テイエムオーシャン5着、ファインモーション1着、スティルインラブ2着、スイープトウショウ5着。極端な脚質の馬は連対を外している。連対馬18頭のうち14頭に牝馬限定G1で連対があり、残る4頭にはG2またはG3で連対があった。古馬牝馬唯一のG1でレベルが高く、重賞実績がないと通用しない。

エアメサイアは秋華賞で初G1制覇。ローズSと同じような競馬でラインクラフトをゴール寸前で差し切った。春は重賞であと一歩足りなかった馬が秋を迎えて心身ともに本格化。シーザリオとディアデラノビアが故障でリタイアしたことでメンバーが楽になったこともあるが、ここ2走は強い内容だった。秋3走目になるが、引き続き調教は動いているようだし、今回も力を出せそうだ。距離延長は苦にしないし、末脚に磨きがかかった今なら外回りコースの方が競馬はしやすい。3連勝でG1連勝は十分にありそうだ。

スイープトウショウが前2走連対を外し、女王杯連勝中のアドマイヤグルーヴは天皇賞(秋)で17着に惨敗。エアメサイアはエリザベス女王杯4連勝中の武豊騎手が騎乗するし、秋華賞馬が1番人気になる例年の傾向通り1番人気になりそうだ。03年以降の牝馬限定G1で1番人気は[2-4-2-5]に対し、2番人気は[8-1-0-4]。スティルインラブの3冠、アドマイヤグルーヴの女王杯連覇はともに2番人気だった。今年は桜花賞のラインクラフト、秋華賞のエアメサイアが2番人気。1番人気になるとマークが厳しくなる。エアメサイアは1番人気をクリアできるか。

スイープトウショウは休み明けの毎日王冠は6着、天皇賞(秋)は5着に敗れた。宝塚記念の走りを考えると物足りないが、直線の長い東京コースは仕掛けどころが難しいということもあるのだろう。天皇賞(秋)はスローの上がり勝負で外を回ってはさすがに厳しかった。京都外回りも直線が長いので仕掛けどころが難しいが、スタートが決まれば宝塚記念のような競馬をするのだろう。昨年の女王杯は出遅れてメンバー最速の33.2秒で追い込んだが、スローの上がり勝負で5着に敗れた。今年は展開的な紛れを地力でクリアしたい。

天皇賞(秋)では馬場入りを拒んで入場後は全く動かなくなり、仕方なく池添騎手が下馬して返し馬ができなかった。最近は気の悪さを見せているのが気掛かりだが、今回はどうなのだろう。昨年のように出遅れてスローの上がり勝負になると同じような結果も十分に考えられる。3歳以降、2戦連続同じ競馬場だとチューリップ賞1着→桜花賞5着、秋華賞1着→女王杯5着、毎日王冠6着→天皇賞(秋)5着で2戦目は不振。久々の京都という条件では紅梅S1着、秋華賞1着。予想の拠りどころはこのあたりか。

ヤマニンアラバスタは新潟記念と府中牝馬Sを連勝し本格化してきた。パドックでは馬体が細く見えたり、発汗して腹回りが黒ずんでいたりするが、それでも結果を出している。今回は長距離輸送、斤量56キロをこなせるかが課題だが、今の勢いは無視できない。アドマイヤグルーヴは女王杯3連覇が懸かる。天皇賞(秋)は外枠スタートから流れに乗れずに17着に惨敗。馬体は460キロ台に絞れていたが、上村騎手がテン乗りということもあったのだろう。今回は人馬とも2戦目。得意コースで巻き返せるか。

あとは昨年の2着馬で府中牝馬Sをひと叩きされたオースミハルカ、クイーンSでヘヴンリーロマンスに勝ったレクレドール、マーメイドS2着、府中牝馬S2着と牝馬重賞で堅実に走っているマイネサマンサあたりが人気になりそうだ。オースミハルカは外国馬サミットヴィルとの兼ね合いが鍵になるが、昨年のようにスローでスムーズに前につけられればしぶとく粘りそう。レクレドールは前走はひと息入れた後で本番前の仕上げ。今回はどこまで上向いてくるか。マイネサマンサは2000m以上は初めてで折り合いが鍵。この秋まだ未勝利のルメール騎手がどう乗りこなすか。

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