ﾏｲﾙCS展望

ﾏｲﾙCS
ﾚｰｽ展望

3歳馬と古馬が激突する秋のﾏｲﾙ王決定戦｡過去10年で1番人気は[4-1-0-5]で5連対｡1番人気がG1馬なら[4-0-0-1]で信頼度は高いが､G1馬でないと[0-1-0-4]で1連対のみ｡2番人気は[1-2-2-5]､3番人気は[0-1-1-8]とひと息｡過去10年で馬連は3番人気以内での決着は1回もない｡そのため馬連は10倍以下はなく､10～30倍台が7回､万馬券が3回とやや波乱傾向｡連続開催の終盤で荒れ馬場で行われることが多く､過去10年で1､2枠はともに[0-0-2-17]で連対がなく不振｡これが波乱要因のひとつ｡今年も枠順と馬場状態に注意したい｡

ﾃﾞｭﾗﾝﾀﾞﾙは同一G1-3連覇の偉業に挑む｡日本では03年にｽﾌﾟﾘﾝﾀｰｽﾞSを勝ってからG1で6戦連続連対中｡前走のｽﾌﾟﾘﾝﾀｰｽﾞSは休み明けで完調ではなかったが､上がり3Fﾒﾝﾊﾞｰ最速の32.7秒で追い込み2着を確保した｡中山で32秒台の末脚はまさに極限｡今年6歳になったが､全く衰えはないようだ｡休み明けは[0-4-1-0]で2着が多いが､2戦目は[3-0-0-0]で勝率100%｡03年ｽﾌﾟﾘﾝﾀｰｽﾞS(1着)と04年ﾏｲﾙCS(1着)も2戦目だった｡ひと叩きすると一気に調子を上げてくるﾀｲﾌﾟ｡今回もその通りなら3連覇の可能性が高そうだ｡

池添騎手は先週のｴﾘｻﾞﾍﾞｽ女王杯をｽｲｰﾌﾟﾄｳｼｮｳで制し､2週連続G1制覇が懸かる｡今回もﾃﾞｭﾗﾝﾀﾞﾙの末脚を信頼して後方から追い込む競馬だろう｡今秋のG1は天皇賞(秋)をはじめｽﾛｰの上がり勝負になることが多い｡ﾃﾞｭﾗﾝﾀﾞﾙが負けるとすれば､極限の脚を使っても届かない流れになった場合か｡昨年ﾃﾞｭﾗﾝﾀﾞﾙの池添騎手はﾌｧｲﾝﾓｰｼｮﾝをﾏｰｸして外に出させないようにした｡結局ﾌｧｲﾝﾓｰｼｮﾝは外に出せず直線で馬群を突き9着に敗れた｡今年これと同じことをﾃﾞｭﾗﾝﾀﾞﾙにする騎手はいないのか｡ﾃﾞｭﾗﾝﾀﾞﾙは大外から追い込む競馬しかしていない｡

ﾗｲﾝｸﾗﾌﾄは桜花賞とNHKﾏｲﾙCを制した｡秋はﾛｰｽﾞS､秋華賞ともｴｱﾒｻｲｱにｺﾞｰﾙ寸前で差されて2着｡当初はｴﾘｻﾞﾍﾞｽ女王杯に向かう予定だったが､距離適性を考慮してﾏｲﾙCSにぶつけてきた｡過去10年でその年の桜花賞馬は3頭出走し､ｷｮｳｴｲﾏｰﾁ2着､ｱﾛｰｷｬﾘｰ18着､ﾀﾞﾝｽｲﾝｻﾞﾑｰﾄﾞ2着｡ﾛｰｽﾞS1着､秋華賞2着とﾗｲﾝｸﾗﾌﾄと同じようなｽﾃｯﾌﾟできたｷｮｳｴｲﾏｰﾁはﾊｲﾍﾟｰｽで逃げてﾀｲｷｼｬﾄﾙの2着に善戦した｡ﾗｲﾝｸﾗﾌﾄと古馬との力関係はどうなのだろう｡直線が平坦な京都ｺｰｽはｽﾋﾟｰﾄﾞの持続力を生かせる舞台｡好位追走からどこまで踏ん張れるか｡

ﾀﾞﾝｽｲﾝｻﾞﾑｰﾄﾞは昨年の2着馬｡今年は春から5戦して大敗が続いていたが､昨年2着した天皇賞(秋)で3着に入った｡府中牝馬Sの時点で馬体が絞れて調子を上げていたが､位置取りが悪過ぎて追い込み切れなかった｡天皇賞(秋)は展開と位置取りが嵌った感もあるが､力がなくては直線で抜け出せない｡ﾊﾟﾄﾞｯｸでｲﾚ込んで発汗していなかったし､ほぼ復活したとみたい｡牝馬だが間隔を詰めて使った方がﾊﾟﾄﾞｯｸでｲﾚ込まないし結果も出ている｡当日の気配次第だが､昨年くらいは走れそうだ｡あとは相手関係と枠順だろう｡

ﾊｯﾄﾄﾘｯｸは天皇賞(秋)でﾒﾝﾊﾞｰ最速の32.6秒の末脚で0.4秒差の7着まで追い上げた｡東京新聞杯を勝った後不振だったが､ﾏｲﾗｰｽﾞCは4ｺｰﾅｰで他馬と接触､安田記念は前が詰まって追えず､毎日王冠と天皇賞(秋)はｽﾛｰﾍﾟｰｽと敗因はある｡G1級のﾒﾝﾊﾞｰと戦ってきたので､そろそろ地力が強化されていい頃｡京都芝1600mは京都金杯で追い込みを決めた得意ｺｰｽ｡ﾍﾟﾘｴ騎手は前走で馬の特徴を掴んでいれば､今回は勝てる位置＆ﾀｲﾐﾝｸﾞで追い出すはず｡ﾊｯﾄﾄﾘｯｸは調子がいいとﾊﾟﾄﾞｯｸの外目を勢いよくｸﾞﾝｸﾞﾝ進む｡ﾃﾞｭﾗﾝﾀﾞﾙを外から差し切ったら世代交代か｡

ｻｲﾄﾞﾜｲﾝﾀﾞｰは骨折明けのｽﾜﾝSで2着に好走｡骨折の影響を心配したが､軽いもので競走能力に影響はないようだ｡03年のﾏｲﾙCSは1枠ｽﾀｰﾄから馬場の悪い内を通り直線で伸びを欠いたが､ｽﾜﾝSは同じような競馬で伸びてきた｡距離やﾒﾝﾊﾞｰは違うが､以前より力をつけているのかもしれない｡本番前に1度ﾚｰｽを使えたことは大きい｡今回は松永騎手に乗り替わる｡ﾀﾞｲﾜﾒｼﾞｬｰはここ3走は左回りで8､2､5着｡左回りは[0-1-0-4]に対し､右回りは[3-1-1-2]で皐月賞とﾀﾞｰﾋﾞｰ卿CTを制している｡ﾉﾄﾞに不安はあるが､右回りのﾏｲﾙという条件はいい｡

ｱﾄﾞﾏｲﾔﾏｯｸｽは今回が国内最終戦｡香港ｽﾌﾟﾘﾝﾄが引退ﾚｰｽになる｡以前はﾏｲﾙの適性が高かったが､最近はｽﾌﾟﾘﾝﾄ体型になり､気持ちの面でも距離が長いと集中力が続かないようだ｡ただそこは馬を知り尽くしている武豊騎手｡右回りのｽﾌﾟﾘﾝﾀｰｽﾞSでもまっすぐに伸びてきたし､何かしら対策してくるのだろう｡先週のｴﾘｻﾞﾍﾞｽ女王杯のｴｱﾒｻｲｱは不本意な競馬で5着｡今週はどんな騎乗を見せてくれるか｡あとはﾃﾚｸﾞﾉｼｽ､ﾛｰｴﾝｸﾞﾘﾝ､ﾊﾞﾗﾝｽｵﾌﾞｹﾞｰﾑなど伏兵も多い｡時期的に馬場の内側は荒れる傾向だが､先週は内外の差はそれほどなかった｡まずは土曜の競馬で見極めたい｡

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