天皇賞(春)
レース展望

最強ステイヤー決定戦。過去10年で1番人気は[3-2-2-3]で5連対。以前は菊花賞または天皇賞(春)で連対がある馬が結果を出していたが、02年以降は菊花賞馬ナリタトップロード3着、菊花賞2着馬リンカーンが13、6着と不振。2番人気は[3-0-3-4]で3連対、3番人気は[1-4-1-4]で5連対。馬連は10倍台までが6回と以前は堅く収まることが多かったが、最近3年は3番人気以内の連対がなく全て万馬券決着。昨年は13-14-4番人気で決着し馬連850倍、3連単は193万馬券だった。人気の盲点になった長距離重賞実績馬に注意したい。

ディープインパクトは有馬記念で連勝が途切れた。前に行った馬が残る緩い流れで前半最後方追走、洋芝が剥げた内側を通った馬が有利な馬場で外を通り、コーナーで大外を回るコースロス、さらに12.0秒前後で流れた後半に外を回って徐々に上がって行きかなりの脚を使った。これだけ不利な状況下で上がり3Fメンバー最速の34.6秒でハーツクライに半馬身差まで迫ったのだから強い。ハーツクライは今年ドバイシーマクラシックを楽勝している。今年緒戦の阪神大賞典は早めに動いて4コーナーで先頭に立つとほとんど追うことなく3馬身半差で楽勝した。

稍重の馬場、強風によって時計、上がりとも遅かったが、一昨年の菊花賞馬デルタブルースを子供扱い。一頭だけ次元の違う競馬だった。重い馬場で楽勝したことで陣営は海外でやれる自信がついたはず。凱旋門賞でやれる目処は立ったとみたい。最近は調教で動かなくなりつつあるが、鞍上のマジックもあるのでそこは考慮したい。当日馬体が極端に減ったり、イレ込んでいなければ力は出せるだろう。キャリアを積んだことで折り合いもつくはずだ。今回、武豊騎手はどういう競馬をするのだろう。そこが予想のポイントになるかもしれない。

リンカーンは昨秋、超スローペースになった天皇賞(秋)で15着に敗れた以外は京都大賞典1着、ジャパンC4着、有馬記念3着と強敵相手に善戦した。今年緒戦の日経賞はメンバーがそれほど強くなかったが、直線できっちり抜け出して快勝。一時期不振に陥っていたが、完全に脱したようだ。横山典騎手との息も合っている。天皇賞(春)はここ2年1番人気で13着、6着に終わっているが、折り合いに進境を見せた今ならここ2年のようなことはないだろう。ディープインパクトを負かしにいかなければいけない立場だが、横山典騎手はどう乗るか。

デルタブルースはダンスインザダーク産駒で菊花賞1着、ステイヤーズS1着、阪神大賞典3着と長丁場で堅実。前走トウカイトリックにスタミナ負けしたが、斤量2キロ差があった。古馬になってパフォーマンスを引き上げていないのが少し気になるが、3、4コーナーの下りで勢いをつけられる京都外回りの長丁場と岩田騎手で変わるか。マッキーマックスはダイヤモンドSをレコード勝ち。前走の産経大阪杯は雨で悪化したタフな馬場で後方から2着に突っ込んだ。条件戦で不甲斐ないレースが続いていたが、ようやく本格化したようだ。ダンスインザダーク産駒でスタミナは十分。藤田騎手は攻めてきそうだ。

あとは昨年の菊花賞3着馬ローゼンクロイツ、海外遠征明けをひと叩きされたアイポッパー、ここ2戦でスタミナを証明したトウカイトリック、一時期の不振を脱し渋った馬場でも堅実に走っているシルクフェイマス、一昨年の京都大賞典の勝ち馬で休み明け3戦3勝のナリタセンチュリーあたり。トウカイトリックは穴職人・芹沢騎手がどんな展開を仕掛けてくるか。ディープインパクトとともに展開の鍵を握りそうだ。過去10年の京都芝3000〜3200mの騎手別では武豊騎手[7-4-4-15](連対率37%)、横山典騎手[4-5-2-4](連対率60%)が好成績。この2人の牙城を崩すには、想定の範囲内の騎乗では厳しいかもしれない。

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