NHKマイルC
レース展望

3歳マイル王決定戦。過去10年で1番人気は[4-0-2-4]で4連対。前走連対馬は[4-0-1-1]に対し、前走3着以下は[0-0-1-3]で連対なく不振。昨年は皐月賞6着のペールギュントが4着に敗れている。武豊騎手が10年のうち7年で1番人気になり、[2-0-2-3]で2連対のみ。武豊騎乗の1番人気が崩れて波乱になることが多い。1番人気で勝ったシーキングザパール、エルコンドルパサー、クロフネ、キングカメハメハメハは、その後にもG1を制している。今年の1番人気は皐月賞で5着に敗れたフサイチリシャールか。武豊騎手はニュージーランドT3着のロジックに騎乗する。

2番人気は[2-3-0-5]で5連対、3番人気は[0-0-2-8]で連対なく不振。1、2番人気で決着したのは97年の1回しかない。馬連は10倍台までが5回と半数を占めるが、最近5年は68倍、48倍、175倍、13倍、48倍と荒れている。連対馬20頭のうち13頭が前走連対しており、前走10着以下に敗れた馬は[0-1-1-33]で1連対のみ。前走大敗した馬の巻き返しは厳しい。00年以降のニュージーランドT勝ち馬は、NHKマイルCで17、7、2、14、17着、同2着馬は3、4、17、14、10着。中山と東京はコースが全く違うため、同じ1600mでも関連性は低い。

昨年の朝日杯FSを勝った2歳王者フサイチリシャールとニュージーランドTを勝ったマイネルスケルツィがかなり人気を集めそう。フサイチリシャールはここまで8戦して[4-2-0-2]で、1800m以下では[3-2-0-0]で連対率100%。皐月賞は結果的に少しスパートが早かったが、積極的な競馬で力は出し切った印象。外を回ったメイショウサムソンに上がり3Fで1.1秒差をつけられたあたり、距離が長かったのかもしれない。今回は距離が2F短くなるのはプラスだろう。東京マイルの経験はないが、東スポ杯2歳S1着、共同通信杯2着と東京芝コースの実績はある。

ハイペースで前に行った場合にどこまで踏ん張れるかは未知数だが、スピードの持続力があるので簡単にはバテないはず。スピード能力の優れた馬、切れ味のある馬をどう完封するかが課題になる。松田国厩舎は東京芝重賞で1番人気になると[7-4-1-0]。直線で致命的な不利があったNHKマイルCのタニノギムレット以外は連対を確保している。3歳春の東京芝重賞に絶対的な自信を持っている松田国厩舎。ちなみに2番人気では[0-0-1-3]。過去10年のNHKマイルCで前走3着以下に敗れた1番人気は連対がないというデータを打ち破るか。

マイネルスケルツィはきさらぎ賞3着馬。1、2着のドリムーパスポートとメイショウサムソンが皐月賞で連対、4着グロリアスウィークは弥生賞2着、5着アドマイヤメインは毎日杯と青葉賞を連勝したようにきさらぎ賞はレベルが高かった。もしフサイチリシャールが出走していれば何着だったか。マイネルスケルツィ自身はその後、黄梅賞とニュージーランドTを連勝。ニュージーランドTは1番人気でマークされる厳しい展開だったが、地力の高さを見せつけた。東京では新馬戦でジャリスコライト、未勝利戦でマチカネゲンジに差されて2着。今度は切れ味が問われるのでタイミングよくスパートしたい。少し馬体のボリューム感が薄れたが大丈夫か。

ニュージーランドT3着馬でここまで7戦して[2-2-3-0]で複勝率100%のロジック、皐月賞は12着惨敗したがアーリントンCでロジックに3馬身半差をつけて楽勝したステキシンスケクン、ニュージーランドTで逃げて2着に粘り、今回も横山典騎手が騎乗するファイングレイン、骨折明けも休養前のジュニアCとクロッカスSで強い競馬をしているアドマイヤカリブ、東京コースが[2-1-0-0]と得意で33秒台の末脚があるアポロノサトリ、ファルコンSで直線一気を決めたタガノバスティーユ、ジュニアCでアドマイヤカリブをゴール寸前で差したキンシャサノキセキあたりが人気面で続きそう。

ロジックは差す競馬を覚えてきたので直線の長い東京コースもこなしそう。乗り慣れた武豊騎手なら大崩れはないはず。時々、パドックでイレ込んで発汗するので、当日の気配に注意したい。ステキシンスケクンは馬体が少し細くなってきた感があるが、距離が短くなるのはプラス。天皇賞(春)でストラタジェムを3着に持ってきたボス騎手がマイルでどう乗るか。ファイングレインは気の悪さのある馬で今の時点では前に行ってスムーズな競馬が良さそう。ただし今回は前に行く馬が揃っているので、横山典騎手がひと工夫して一発狙ってくるかもしれない。

アドマイヤカリブは骨折は軽度だったようで調教の動きは良く、馬体の張りも目立つ。昨年夏の函館では少し脚捌きに硬さがあったが、今は少しほぐれてきた感じで動きが良くなっている。骨折明けだと馬が加減して走らないことがあるが、今回は果たしてどうだろう。サクラバクシンオー産駒だが、中山マイルのジュニアCでいい競馬をしているし、相馬眼的にも距離はこなしそう。アポロノサトリはゲートで暴れて出遅れることが多いが、鞍上も出遅れることが多い蛯名騎手。そのあたりが気になるが、今の馬場で33秒台で上がれれば。

タガノバスティーユは馬体の作りから距離の克服が課題。今回も終い勝負に賭けそうなので、距離を克服した上で展開の助けが欲しい。キンシャサノキセキは南半球産馬で他馬より2キロ軽い55キロで出走できる。ジュニアCでアドマイヤカリブを差し切ったときの走りを見る限り、ここ2戦が本来の能力ではないだろう。ジュニアCで走り過ぎた影響があったのか、その後熱発したが、それで調子が狂った感もある。「キンシャサの奇跡」は格闘技ファンにはかなり有名な話。不屈の闘志で巻き返すか。3歳戦の基本は相馬眼。今回も相馬眼的に評価できる馬で勝負したい。

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