ヴィクトリアマイル
レース展望

今年から新設された古馬牝馬による東京マイルG1。ヴィクトリアマイルの新設によってステップレースを含め、古馬牝馬路線がかなり充実してきた。第一回の今年はどんなレースになるのか注目したい。人気になるのはラインクラフト、エアメサイア、ダンスインザムードの3頭。ラインクラフトはここまで12戦して[6-3-2-1]で昨年の阪神牝馬Sで4着に敗れた以外は全て3着以内を確保している。休み明けの高松宮記念は初の芝1200mだったが、オレハマッテルゼと首差の惜しい2着。前走の阪神牝馬Sは好位から抜け出してエアメサイアに3馬身差をつけて圧勝した。

マイルCSで3着、高松宮記念で2着したように牡馬混合G1でも通用する能力の持ち主。今回は牝馬限定戦でしかも定量の55キロというのだから有利。普通に走れば大きく崩れることはないだろう。東京芝1600mは昨年のNHKマイルCを勝ったようにコース実績もある。叩き3戦目で調子は良さそうだし、死角らしい死角が見当たらないというのが一般的な見解。昨年のNHKマイルCは前半3F35.5秒、5F59.4秒で例年よりペースが遅かったこと、今年は芝1200m、1400mと短い距離を使い前走芝1400mで圧勝したことをどう考えるか。あとは雨か。

エアメサイアはローズSと秋華賞でラインクラフトをゴール寸前できっちり差し切った。距離が長ければ、折り合いがつき自在性のあるエアメサイアに分がある。前走の阪神牝馬Sはラインクラフトが最も得意とする芝1400mで3馬身差をつけられたが、ラインクラフトが道中内ラチ沿いを通ったのに対し、エアメサイアは大外枠スタートで終始外を通ってきた。着差は開いたが、コース取りの差があったことを考慮したい。今回の東京芝1600mはマイルより長い距離をこなすスタミナが問われるコース。武豊騎手はラインクラフトの負かし方をよく知っている。前走つけられた差は詰まりそうだ。

ダンスインザムードは天皇賞(秋)2着、マイルCS2着、天皇賞(秋)3着と牡馬混合G1で善戦してきた。昨年のマイルCSではラインクラフトより1キロ重い55キロを背負ってクビ差の4着。パドックでイレ込んで発汗したり、レースで掛かって失速したりして成績にムラがあるが、昨年の天皇賞(秋)以降は安定して力を出している。マイラーズCでひと叩きして本番というステップもいいし、パドックでイレ込まなければ力を出せるだろう。スピードの持続力と2000mをこなすスタミナを生かしたい。北村騎手は初G1制覇が懸かる。今回で4歳馬との力関係が明らかになりそうだ。

あとは中山牝馬Sで阪神JF以来の勝ち星を挙げたヤマニンシュクル、骨折明けを使われて徐々に本来の走りを取り戻しているディアデラノビア、昨年左回りの新潟記念と府中牝馬Sを勝ったヤマニンアラバスタ、4連勝で一気にオープン入りした上がり馬アグネスラズベリが人気面で続きそう。ディアデラノビアはここに来て馬体が増えてきたことが好印象。東京コースではフローラSで大外一気を決め、オークスはエアメサイアとクビ差の3着。フローラSは内を通った馬が断然有利な馬場だった。3歳春はラインクラフト、エアメサイアと差のない競馬をしていた馬。ここでもやれる力はある。

アグネスラズベリは以前は馬体重が安定しなかったり、ゲートが悪く差して届かないレースがあったが、最近は馬体が充実してレースぶりが安定してきた。少し頭は高いが、直線で伸びてくる姿は走る馬のそれ。初重賞挑戦がG1というのは楽ではないが、牝馬同士なら何とかならないか。父エアジハードで母の父トニービン。東京コースで末脚が爆発しても驚けない。東京は週末雨が降りそう。馬場が悪化すると重の巧拙が問われそうだ。枠順や馬場状態によってかなり結果は変わりそう。最後まで粘り強く予想した人に勝利の女神は微笑むはずだ。

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