ダービー
レース展望

第73回、日本ダービー。一昨年のダービーの展望では「NHKマイルCで次元の違うレースをしたキングカメハメハは別格。相馬眼的な裏づけがあるだけに能力は確かだろう」、昨年は「ディープインパクトは相馬眼的に見ても今年のメンバーでは抜けた存在。過去4戦で見せたパフォーマンスから現時点で現役最強馬の可能性もある。いや世界レベルかもしれない」と書いた。キングカメハメハとディープインパクトは圧倒的な強さでともに2分23秒3のダービー最速タイムで制した。今年はそのレベルの馬はいないが、例年と比べてもメンバーは粒揃いでレベルは低くはない。抜けた馬がいない今年のダービー。馬券は面白そうだ。

過去10年で1番人気は[6-3-1-0]で9連対。97年にメジロブライトが3着に敗れたが、それ以外は連対しており、現在5連勝中。今年の1番人気は果たしてどの馬か。2番人気は[1-1-0-8]で2連対、3番人気は[1-4-2-3]で5連対。連対馬20頭のうち17頭が5番人気以内。最近7年のうち6年が1番人気と2番人気または3番人気の決着で馬連は10倍以下が6回と堅く収まることが多い。連対馬20頭のうち19頭に重賞勝ちがあった。ハイレベルな戦いで重賞未勝利馬では通用しにくい。最近は前走重賞を勝った馬が好成績。直線の長い東京コースで差し追い込み馬の活躍が目立っている。

メイショウサムソンは皐月賞馬。レベルの高かったきさらぎ賞で57キロを背負って正攻法の競馬で2着した実績はダテではなかった。皐月賞では初の芝2000mとG1実績のない石橋守騎手が嫌われて6番人気の低評価。97年のサニーブライアンは11番人気で皐月賞を勝ち、6番人気でダービーを制した。人気にならないという点で似ているが、メイショウサムソンは最終調教の動きが良く、週末が雨模様となれば1番人気になるかもしれない。現時点の完成度が高く、馬が競馬をよく知っており最後の叩き合いに強い。瀬戸口調教師は距離が延びるのはいいとコメントをしている。

ドリームパスポートは皐月賞2着。きさらぎ賞の勝ち馬だが、G1実績のない高田騎手が騎乗したこともあり10番人気だった。これまで8戦して[2-4-2-0]と堅実で勝ち馬は京都2歳Sのマルカシェンクを除き全てG1馬になっている。一瞬の切れ味が持ち味なので直線の長い東京コースが課題だが、母の父トニービンなら違った面を出すかもしれない。今回は四位騎手に乗り替わる。フサイチジャンクは皐月賞3着。勝負どころの3、4コーナーで仕掛けたが、反応が悪く一気に上がって行けなかったのが堪えた感。3億3千万円の高額馬で馬体の作りは目立つ。美浦入りして仕上げた効果が実を結ぶか。

アドマイヤムーンは皐月賞4着。直線でいつもの伸びがなかった。外枠スタートで位置取りが悪くなり、3、4コーナーでかなり外を回り、雨で渋った馬場など、悪いことが重なったようだ。東京コースは共同通信杯を楽勝した舞台。エンドスウィープ産駒だけに距離延長が課題か。鞍上はダービー4勝の武豊騎手。フサイチリシャールは皐月賞5着。ここ2戦不甲斐ない競馬が続いているが、ここは予定通りのステップ。松田国調教師は調教を緩めていない。サクラメガワンダーは皐月賞6着。母サクラメガはサクラチトセオー(秋の天皇賞馬)の半妹。東京コースで末脚が爆発するか。鞍上は地方騎手初のダービー制覇を狙う内田博騎手。

アドマイヤメインは青葉賞を逃げて4馬身差で楽勝。条件戦から3連勝したが、いずれも前半5Fと後半5Fを60秒台でまとめている。平均ペースで逃げて実にしぶとい馬。勝ちパターンができているので今回も迷いはなさそうだ。青葉賞で騎乗した武豊騎手は少し複雑な思いか。鞍上は石橋守騎手と同期の柴田善騎手。マルカシェンクは京都新聞杯5着。骨折明けだったが、後方からメンバー最速の33.0秒で上がって一応の脚は見せた。アエローザは4着でダービー出走権を逃したが、マルカシェンクはダービーに向けての試走としては悪くない。瀬戸口厩舎はメイショウサムソンと2頭出しになる。

今年の桜花賞を勝ったアンカツ(46歳)は95年桜花賞でライデンリーダーに騎乗し1番人気で4着。オークスを勝った本田騎手(47歳)は01年オークスでテイエムオーシャンに騎乗し1番人気で3着に敗れていた。牝馬クラシックのテーマは1番人気敗退からのリベンジだった。皐月賞はメイショウサムソンが勝ち、石橋守騎手(39歳)が悲願の中央競馬G1初制覇。騎手生活22年目のG1制覇だった。今年騎乗する騎手でダービーを勝っているのは、武豊騎手、藤田騎手、アンカツの3人のみ。今回のテーマは「悲願のダービー制覇」か。ここで名前が挙がらなかった馬を含め、各馬の詳細は有力馬診断と相馬眼予想でお届けする。

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