宝塚記念
レース展望
春のグランプリ宝塚記念。昨年はタップダンスシチーとゼンノロブロイが断然人気になったが7着と3着に終わった。勝ったのは安田記念2着も11番人気の低評価だった牝馬スイープトウショウ。2着にハーツクライが突っ込み、馬連は万馬券、3連単は17万馬券の大波乱。タップダンスシチーとゼンノロブロイの馬連は2.7倍で馬連10倍以下はこの1点のみだった。今年は天皇賞(春)をレコードで圧勝したディープインパクトが単勝1.1倍前後の断然人気になり、2番人気はリンカーンでこの2頭の馬連は2倍前後だろう。果たして人気通り堅く収まるのか、それとも波乱があるのか。後に語り継がれるような好レースを期待したい。
過去10年で1番人気は[6-2-0-2]で8連対。1番人気はファン投票1位の4、5歳馬で休み明けでなければ[3-2-0-0]と信頼できる。馬連は10倍台までが7回と堅く収まることが多いが、最近3年は140倍、19倍、113倍と荒れている。過去10年の連対馬20頭のうち18頭が前走3着以内。残る2頭は天皇賞(春)5着から巻き返したマヤノトップガンとハーツクライでこの2頭にはG1実績があった。G1実績がなければ前走3着以内が条件。今年は阪神が改修工事のため、京都で行われる。京都外回りは3コーナーにアップダウンのある特殊コース。京都外回りコースで実績のある馬に注意したい。
ディープインパクトはここまで10戦9勝2着1回。昨年の有馬記念で先着を許したハーツクライはその後ドバイシーマクラシックを楽勝している。今年は阪神大賞典と天皇賞(春)をいずれも3馬身半差で圧勝。これまで早い上がりを繰り出して勝ってきたが、阪神大賞典では稍重、力のいる馬場、風が強く、上がりのかかる展開で上がり3Fは36.8秒。タフな条件で能力の絶対値が違うことを改めて証明した。重い馬場で楽勝したことで陣営は海外でやれる自信がついたのではないか。今回はほぼ勝負づけが済んだメンバー。まともならまず負けることはないだろう。
ただし昔から言われているように競馬に絶対はない。実際、ディープインパクトは有馬記念で2着に敗れている。今回はそのときとは仕上がり具合が違うし、キャリアを積んでさらに力をつけている。メンバーからみても負ける確率はかなり低そうだが、負けるとすればどんな場合か。前走がデビュー以来最軽量の438キロで今回想定外の馬体減があった場合、雨で極端に馬場が悪化した場合、33秒台の末脚を繰り出しても届かなかった場合などだろう。ポイントは週末の雨と展開。武豊騎手の想定の範囲内では勝てない。有馬記念を勝ったハーツクライは先行抜け出しだった。
リンカーンは一時期不振に陥っていたが、昨年秋は超スローペースの天皇賞(秋)を除き、京都大賞典1着、ジャパンC4着、有馬記念3着に好走。今年は日経賞1着、天皇賞(春)2着とディープインパクト以外には負けていない。今回はディープインパクトが出走しなければ1番人気で初G1制覇のチャンスだったが、またディープインパクトと戦うことになった。良馬場の上がり勝負ではディープインパクトに勝つのは厳しい。無理にディープインパクトを負かそうとして奇策を打てば2、3着を外すことも考えられる。横山典騎手はどんな騎乗をするのだろう。不良馬場の未勝利戦を楽勝したように重は鬼。
コスモバルクはシンガポール航空国際Cを勝ち、地方馬として初の海外G1制覇を達成した。その後、家畜伝染病の疑いで帰国が遅れたが、JRAの特例措置で京都競馬場で着地検疫できたのは大きい。芝2200mはセントライト記念を2分10秒1のJRAレコードで勝っている。持ち前のしぶとさと勝負根性でどこまで踏ん張れるか。アイポッパーは天皇賞(春)4着、目黒記念2着と使われながら調子を上げてきた。未だ重賞未勝利だが、能力がG1級なのは証明済み。京都芝2200〜2400mは[3-2-0-0]で京都替わりは大きなプラス。この馬で[6-5-1-3]と相性のいい藤田騎手が持ってくるか。
ダイワメジャーは前走安田記念4着。1枠1番スタートから上がりの早い競馬になり不完全燃焼だった。今回は距離延長が課題だが、皐月賞を1分58秒6で勝っているだけにこなす下地はなくはない。ただ距離延長でノドの不安が多少ある。今回はアンカツが騎乗停止中のため、四位騎手が騎乗する。カンパニーは安田記念で11着に敗れたが、不利があったので度外視できる。大阪杯で2000mをこなしたが、今回はさらに1F延長が課題。昨年の京阪杯でインパクトのある勝ち方をしたように京都に替わるのはプラスに働きそう。末脚の切れ味はこのメンバーでも上位。あとは条件が揃えば。
ハットトリックは京都芝4戦4勝。昨年はマイルCSで初G1制覇し、続く香港マイルも持ち前の末脚でブッコ抜いた。距離2200mは未知数だが、昨年の天皇賞(秋)ではメンバー最速の32.6秒で7着に突っ込んでいる。ドバイDF15着のアサクサデンエンは安田記念で復活した。得意の京都外回りなら一発あっても驚けない。ナリタセンチュリーは京都芝2200〜2400mで[3-0-0-1]で京都大賞典と京都記念を勝っている。天皇賞(春)は休み明けで12着に終わったが、ひと叩きされて本調子に戻っていれば得意の京都外回りだけに侮れない。田島裕騎手で人気が落ちるようなら馬券的に妙味か。
バランスオブゲームはG1では頭打ちで距離も1800mがベストだが、敢えてG2の芝2000〜2500mでみると[2-2-0-2]。中山記念で59キロを背負ってダイワメジャーを子供扱い。これは並の馬にはできない芸当。トウカイカムカムは3連勝で臨んだ天皇賞(春)で5着に好走。馬体が充実してここに来て力つけている。小柄な馬だが斤量泣きしないし、今勢いがある。シルクフェイマスは今年は渋った馬場でも途中でキレなくなった。一昨年2着したときのようなレースができれば。ファストタテヤマは京都外回りで大駆けがある。天皇賞(春)の内容は悪くなかった。チャクラはいつもより坂路の動きがいい。そこに期待か。
京都は先週から開幕したが、雨で馬場が渋っていたため、前開催のように極端に上がりは早くはなかった。良馬場になれば上がりは早くなりそうだが、週末は雨予報で今のままの予報だと馬場は渋りそう。先週のマーメイドSは良発表でも馬場は緩かったようだが、勝ったソリッドプラチナムは直線の短い内回りコースで大外一気を決めた。脚力があれば多少馬場が緩くても突っ込めることを覚えておきたい。昨年は各馬の走法と馬場とのマッチングを重視してガニ股走法のスイープトウショウとハーツクライの評価を上げて3連単17万馬券的中。今年も馬場と走法のマッチングを重視したい。
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