秋華賞
レース展望

3歳牝馬3冠の最終戦。過去10年で1番人気は[3-2-1-4]で5連対。連対した5頭のうち3頭は桜花賞連対馬。逆に連対を外した5頭のうち4頭はオークス連対馬で桜花賞では連対していなかった。今年はどちらのタイプが1番人気になるのだろう。ちなみに武豊騎手は1番人気で[1-1-0-3]で連対率40%だが、ローズS勝ち馬に騎乗すると[3-1-0-0]で連対率100%というデータもある(今年のローズSは中京芝2000m)。2番人気は[4-2-1-3]で6連対、3番人気は[0-2-1-7]で2連対。最近5年は1、2番人気のどちらかが必ず連対しており、連対馬は全て5番人気以内と人気馬が結果を出している。

以前は荒れるレースとして有名で96年から00年まで5年のうち4年が馬連万馬券だったが、01年以降の5年のうち4年が1-2番人気または1-3番人気の決着で馬連は10倍以下の低配当。最近は一転して荒れなくなった。1番人気が乱ペースに巻き込まれて直線で失速し、人気薄追い込み馬が突っ込むというのが波乱のパターン。最近は乱ペースになりにくいが、波乱を演出するとすれば追い込み馬。追い込んで連対した9頭のうち8頭が前走の上がり3Fがメンバー1、2位だった。今年はアドマイヤキッス、サンドリオン、キープユアスマイルの3頭が該当する(アサヒライジングはアメリカンオークスの上がりが未発表)。

アドマイヤキッスはチューリップ賞1着、桜花賞2着、オークス4着、ローズS1着とオークス以外は連対を確保。オークスは縦長の展開になったことで途中から動いて行くしかなく、そのぶん切れる脚を使えなかった。上がり3F35.5秒はカワカミプリンセスと同タイム。流れに乗れればもう少しやれたのではないか。ローズSは内をロスなく進めたことが有利だった感があるが、上がり3Fが初めて35秒を切ったことは評価できる。離れた相手を差し切ったところに精神面の成長を感じさせた。京都は初めてだが、距離は目処が立っている。トライアルに強いタイプといった感もあるが、武豊騎手次第でチャンスはある。

カワカミプリンセスは49年ぶりに無敗でオークスを制した。オークスはスローの上がり勝負になるのが例年のパターンだが、ハイペースの消耗戦で勝ったのだから確かな地力があるのだろう。君子蘭賞で見せたインパクトはやはりダテではなかった。オークスの着順は不利のあった馬を除くとその時点の力関係を如術に表しているのではないか。01年のオークスで断然人気になったテイエムオーシャンで3着に敗れた本田騎手&西浦厩舎が見事にリベンジしたが、今回はテイエムオーシャンと同様にぶっつけで臨んできた。力はあるが、このローテーションがどう出るか。相馬眼的に来年は牡馬と対等にやれそうな馬。

キストゥヘヴンは桜花賞馬。オークスはメンバー2位タイの35.3秒で追い込んできたが、距離を意識して後方に控え過ぎたのが応えた印象。外枠の影響もあった。秋緒戦はセントライト記念で差す競馬をして5着。いかにも秋華賞に向けてというレースだった。春より馬体が成長してきたのは好感が持てるし、末脚健在を印象づけた。今度は勝ちに来そうだ。フサイチパンドラはムラ馬だが、オークスで2着したように能力はある。ローズSは折り合っていたが、直線で伸び切れず3着が精一杯。不甲斐ない内容だが、3冠馬スティルインラブもローズSは見せ場なく敗れている。今回は白井調教師が本番の仕上げで来る。

アサヒライジングは桜花賞4着、オークス3着、アメリカンオークス2着。アメリカンオークスは出遅れて差す競馬になったが、それでも崩れなかった。オークスでは2番手から最後までしぶとく粘って3/4馬身+クビ差の3着。古賀慎厩舎に移ってから馬体の作りが変わり、力を出せるようになった。今回は本来の前に行く競馬。展開の鍵を握りそうだ。サンドリオンは未勝利、500万条件、紫苑Sを3連勝。紫苑Sは初芝でメンバー2位の33.6秒で突き抜けたのだから凄い。馬体の作り、気配もいいし、能力の絶対値が高いのだろう。川田騎手が乗ると最後にひと伸びする馬が多いが、今回は骨折で騎乗できないのが痛い。

ローズSで途中から逃げて最後までしぶとく粘って2着したシェルズレイ、今回と同じコースのマーメイドSを大外一気の豪脚で古馬を撃破したソリッドプラチナム、レベルの高かったフラワーC3着馬で前走札幌の1000万条件をレコード勝ちしたブルーメンブラット、オークス5着、ローズS4着と一線級を相手に善戦しているニシノフジムスメ、ここ2戦不振も阪神JF2着の実績があり、今回は新馬戦を勝った横山典騎手に戻るシークレットコードと伏兵はかなり多い。激変があるとすれば田中章厩舎のもう一頭タッチザピーク。クイーンSはハイペースに巻き込まれて惨敗したが、池添騎手が得意技を駆使すれば嵌る可能性がある。

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